富士市の空き家・土地を売却するには?遠方所有者が知っておきたい手続きと管理方法
親から相続した静岡県富士市の実家や土地を所有しているものの、自分は東京・神奈川・山梨など別の地域に住んでいて、頻繁に現地へ行けない。このような遠方所有者にとって、不動産売却は「価格を決めて買主を探す」だけではありません。
空き家であれば、売却が終わるまで建物を管理する必要があります。土地であれば、草木、境界、道路、農地、ハザードなど、現地を見なければ分からない問題が見つかることもあります。相続した物件なら、名義変更や相続人の整理が終わっていないこともあるでしょう。
結論からいうと、富士市の空き家・土地を遠方から売却する場合は、「現地へ何度も通うこと」よりも、最初に現地で行う作業と遠隔で進められる作業を分け、信頼できる現地窓口を決めることが重要です。
基本的な流れは、所有者・相続関係の確認、物件資料の収集、現地確認、管理方法の決定、査定、売却方法の選択、販売活動、契約、決済・引渡しです。
富士市では空き家バンクや空き家管理サービス、危険空家の除却補助なども用意されています。一方、市内には市街化区域だけでなく市街化調整区域もあり、農地、接道、洪水・内水、土砂災害、津波、富士山火山災害など、所在地によって確認事項が変わります。
この記事では、富士市に空き家・土地を所有しているものの遠方に住んでいる方に向けて、売却までの手続き、現地管理、査定、空き家バンク、契約・引渡し、税金までを順番に解説します。
株式会社Wakka
株式会社Wakkaは、山梨県南部町に拠点を置き、静岡県富士市・富士宮市でも不動産売却、空き家、相続不動産、土地、古家、農地付き住宅などの相談に対応しています。
遠方所有の不動産では、所有者が現地へ頻繁に行けないため、空き家の状態、残置物、境界、道路、農地などを誰が確認するのかを最初に決めることが重要です。株式会社Wakkaでは、単に売出価格を決めるのではなく、現在の物件状態と権利関係を整理し、「売却前に対応すること」と「買主へ説明して条件調整できること」を分けて考えることを重視しています。
また、株式会社Wakkaは南部町と空き家対策に関する協定を結んでいます。これは富士市の行政制度を代行するものではありませんが、空き家を放置せず、権利・建物・土地利用の課題を整理して売却や活用へつなげるという考え方を、富士市の遠方所有物件についても大切にしています。
株式会社Wakka
住所:〒409-2217 山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
目次
遠方に空き家・土地を持ったら最初に整理すること
1-1. 「すぐ売る」「しばらく管理する」を先に決める
1-2. 相続登記・所有者住所・共有者を確認する売却前に土地・建物の全体像を把握する
2-1. 手元の資料から土地・建物を一覧化する
2-2. 未登記建物・農地・私道など現地特有の問題を確認する遠方所有者が空き家を管理する方法
3-1. 定期的に確認したい建物・敷地のポイント
3-2. 富士市の空き家管理サービスも検討する片付け・解体の前に現況で査定する
4-1. 残置物があっても査定はできる
4-2. 古家付き・更地・土地のみの売却を比較する富士市で売却前に確認したい地域条件
5-1. 市街化調整区域・接道・ハザードを確認する
5-2. 農地・下水道など土地ごとの条件を確認する不動産会社の仲介と富士市空き家バンクを使い分ける
6-1. 通常の仲介売却は土地だけでも利用できる
6-2. 富士市空き家バンクには登録条件がある遠方から売買契約・決済を進める方法
7-1. 現地へ行く回数を減らすために役割を決める
7-2. 契約から決済・鍵の引渡しまで準備するまとめ|遠方所有では「売却」と「管理」を同時に設計する
8-1. 売却費用と税金を確認する
8-2. 富士市の空き家・土地売却チェックリスト遠方に空き家・土地を持ったら最初に整理すること
1-1. 「すぐ売る」「しばらく管理する」を先に決める
遠方所有の空き家で最初に決めたいのは、売出価格ではありません。
「できるだけ早く売却するのか」
「家族で今後の利用を検討するため、一定期間管理するのか」
という方針です。
この二つでは、必要な管理費用と売却準備が違います。
半年以内の売却を目指すのであれば、最低限の維持管理を行いながら査定・販売を進める方法が考えられます。一方、数年間保有する可能性があるなら、屋根・外壁・庭木・設備・火災保険など、中長期の管理まで考えなければなりません。
遠方所有者が避けたいのは、「まだ売るか決めていないから何もしない」という状態です。空き家は使用しなくても劣化し、敷地の雑草や庭木も成長します。放置期間が長くなるほど、売却前に修繕・伐採・片付けが必要となる可能性があります。
土地だけの場合も同じです。更地だから管理不要というわけではなく、雑草、樹木、越境、不法投棄、排水などの確認が必要です。
まず家族・共有者で「いつまでに方針を決めるか」を設定します。例えば、3か月以内に査定を取り、6か月以内に売却か保有継続かを決めるというように、期限を設定すると放置を防ぎやすくなります。
売却方針が固まっていなくても、不動産会社へ査定を依頼することはできます。現在の価格と売却条件を知ってから、売るかどうかを判断しても問題ありません。
1-2. 相続登記・所有者住所・共有者を確認する
相続した空き家・土地であれば、登記事項証明書を取得し、現在の登記名義人を確認します。
2024年4月1日から相続登記は義務化されました。不動産を相続によって取得したことを知った相続人は、原則としてその取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。2024年4月1日より前に発生した相続で、施行前から取得を知っていた場合には、原則2027年3月31日までが期限です。
遠方所有の物件では、親が亡くなった後も名義がそのままになり、固定資産税だけ相続人が支払っていることがあります。しかし、納税者になっていることと、売却できる登記名義人であることは同じではありません。
兄弟姉妹など複数人で共有している場合には、不動産全体を売却するために共有者全員の意思確認が必要です。遠方に住む共有者が複数いる場合は、契約日直前ではなく、査定段階で売却希望価格、費用負担、残置物、引渡し時期について認識をそろえておきます。
さらに2026年4月1日から、不動産所有者の住所・氏名変更登記も義務化されています。住所や氏名が変わった場合は原則2年以内、2026年4月1日より前に変更して未登記の場合は原則2028年3月31日までに変更登記が必要です。
登記簿には富士市の実家の住所ではなく、現在の所有者の旧住所が記録されていることもあります。売却直前になって住所変更登記が必要と分かると手続きが増えるため、早めに確認しましょう。
また、2026年2月2日から所有不動産記録証明制度が始まっています。本人や一定の相続人などが法務局へ請求することで、特定の名義人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧で確認できます。親が富士市内に実家以外の土地や山林を所有していた可能性がある場合、相続不動産の把握に役立ちます。
売却前に土地・建物の全体像を把握する
2-1. 手元の資料から土地・建物を一覧化する
遠方から売却を進めるときは、現地へ行く前に手元の資料を集めます。
確認したい資料には、固定資産税納税通知書・課税明細、登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面、権利証または登記識別情報、購入時の売買契約書、建築確認関係書類、測量図・境界確認書などがあります。
すべての資料がそろっていなければ査定できないわけではありません。しかし、資料があるほど「何を所有しているのか」「どこに問題があるのか」を早く把握できます。
特に固定資産税の課税明細では、宅地だけでなく、畑、田、山林、雑種地、倉庫など、本人が意識していなかった資産が載っていることがあります。
遠方所有者の場合、現地へ行く回数を減らすため、最初に不動産会社へ資料を共有し、「現地で何を確認すべきか」を決めてから訪問する方法が有効です。
例えば、境界標を探す必要があるなら、現地訪問時に草を刈って確認する。倉庫が登記されていない可能性があるなら、外観・寸法を確認する。井戸や浄化槽があるなら、設備位置を確認する。このように事前に目的を決めると、一度の訪問で得られる情報が増えます。
購入時の売買契約書や建築費用の資料は、売却後の譲渡所得税を計算するときにも重要です。家財を一括処分する前に、契約書、領収書、登記関係書類などが混ざっていないか確認してください。
2-2. 未登記建物・農地・私道など現地特有の問題を確認する
古い空き家では、母屋は登記されているものの、増築した部分、離れ、倉庫、車庫などが未登記ということがあります。
固定資産税が課税されていても、法務局には登記されていない場合があります。固定資産課税台帳と不動産登記簿は別の制度だからです。
未登記建物があるから直ちに売却できないわけではありません。しかし、買主の住宅ローン、抵当権設定、所有権移転などに影響する可能性があるため、必要に応じて土地家屋調査士へ建物表題登記などを相談します。
敷地の一部に田・畑が含まれている場合には農地法も確認します。実家と畑を一緒に広告できたとしても、農地部分の所有権移転には別途許可・届出が必要になることがあります。
また、現地までの道が私道の場合には、単に「車で通れる」というだけでなく、誰が道路を所有しているのか、通行・掘削にどのような条件があるのかを確認します。
遠方所有の場合、所有者本人が長年現地に住んでいないため、「昔から隣の土地を通っている」「水道管がどこを通っているか分からない」といった情報が失われていることがあります。
売却前に、現地を知る親族や近隣住民から聞ける情報があれば確認し、公的資料や登記と照らし合わせます。ただし、近隣の説明だけで権利関係を断定せず、必要な事項は法務局・市役所・専門家の資料で確認します。
遠方所有者が空き家を管理する方法
3-1. 定期的に確認したい建物・敷地のポイント
空き家は、売却活動中も所有者が管理する必要があります。
富士市も、空き家の管理は所有者の責任であり、家族・親族間で管理者を決め、売買・賃貸など今後の利用を検討するよう案内しています。また、管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、土地の固定資産税・都市計画税の住宅用地特例から外れる場合があります。
遠方所有者が定期的に確認したい主な項目は、屋根・外壁・窓・雨樋、雨漏り、雑草、庭木、越境、郵便物、不法投棄、害虫・害獣、給排水設備、門扉・塀、敷地内の異常などです。
特に台風や大雨の後は、屋根材、雨樋、庭木、擁壁などの状態が変わることがあります。数か月に一度の定期確認だけでなく、大きな災害の後に確認できる体制を作っておくと安心です。
遠方所有では、確認の頻度もあらかじめ決めておくと管理が属人化しにくくなります。例えば、通常時は1~2か月ごと、台風・大雨・強風の後は臨時確認を行うというように、定期確認と緊急確認を分けます。確認した日付と写真を残しておけば、建物の劣化がいつ進んだのかを追いやすく、売却時に買主へ現況を説明する際の参考にもなります。
近隣に親族や知人がいる場合でも、「何かあったら見てほしい」という曖昧な依頼だけでは、負担が偏りやすくなります。庭木が道路へ出たとき、台風で瓦が落ちたとき、不法投棄を見つけたときなど、どこまで連絡・対応をお願いするのかを決めておきましょう。緊急修繕が必要な場合に連絡する業者や、不動産会社の担当者も共有しておくと対応が早くなります。
郵便受けがいっぱいの状態は、空き家であることが外部から分かりやすくなる原因にもなります。郵便物の転送や回収方法も決めておきます。
電気・水道については、すぐに全て解約した方がよいとは限りません。内覧、清掃、通水、設備確認などに必要になることがあります。逆に長期保有で使わない場合には基本料金も発生するため、物件の管理方針に合わせて判断します。
火災保険等も確認してください。居住中の住宅として契約していた保険が、空き家になった後も同じ条件で継続できるとは限りません。保険会社・代理店へ利用状況の変更を伝え、売却までの補償内容を確認します。
3-2. 富士市の空き家管理サービスも検討する
東京や神奈川などから富士市へ毎月通うことが難しい場合には、第三者による管理サービスを利用する方法があります。
富士市は富士市シルバー人材センターと連携し、空き家管理サービスを案内しています。サービスでは、建物の屋根・外壁・外窓・雨樋などの目視確認、郵便受けの確認、雑草・植木・隣地境界周辺の状況などを確認し、写真付きで報告する仕組みがあります。
除草や植木剪定などは別途作業として依頼できる場合があります。
さらに、市外在住で富士市に空き家を所有している人向けに、この空き家管理サービスが富士市へのふるさと納税の返礼品として設定されています。富士市公式案内では、1万円の寄附で管理サービス1回とされています。
遠方所有者にとって重要なのは、管理を「帰省できたときに自分で行う作業」だけにしないことです。
例えば、日常的な見回りは管理サービス、売却に必要な確認は不動産会社、登記は司法書士・土地家屋調査士というように役割を分けると、所有者自身が毎回富士市へ行く必要を減らせます。
ただし、管理サービスは不動産売却の代理ではありません。建物の状態確認と、査定・販売・契約は役割が異なるため、売却を決めたら不動産会社へ別途相談します。
片付け・解体の前に現況で査定する
4-1. 残置物があっても査定はできる
遠方にある実家を売る際、「家の中を全部片付けないと不動産会社に見せられない」と考える必要はありません。
家具、家電、衣類、食器、布団、写真、農機具などが残った状態でも査定できます。
むしろ、処分費を支払う前に査定した方がよい場合があります。
残置物を全て処分する場合と、買主へ引き継ぐ条件で価格調整する場合では、売主の手取りが変わるからです。
例えば残置物処分に100万円必要で、その処分によって売却価格が100万円以上上がるとは限りません。現況のまま購入したい買主がいるなら、売主が先に全額負担しない方がよいケースもあります。
ただし、重要書類や思い出の品は、売却条件を決める前に分けておきます。権利証、登記識別情報、古い売買契約書、建築確認書類、領収書、測量図、遺言書、写真、位牌などを誤って処分しないよう注意してください。
査定時には、建物の傷みもそのまま見てもらいます。雨漏り、床のふわつき、設備故障などを隠すのではなく、どこまで修繕する価値があるかを査定結果と合わせて判断します。
4-2. 古家付き・更地・土地のみの売却を比較する
空き家が古い場合でも、最初から解体する必要はありません。
比較したいのは、現在のまま中古住宅・古家付き土地として売る場合、必要最低限の片付けをして売る場合、建物を解体して更地として売る場合です。
解体には費用がかかります。さらに住宅を取り壊すと、翌年以降、住宅用地に対する固定資産税等の特例が適用されなくなる可能性があります。
また、道路や都市計画条件によっては、現在建物が存在していても、取り壊した後の再建築に確認が必要なケースがあります。特に市街化調整区域や接道に特徴がある土地は、解体前に建替え条件を確認します。
富士市には危険空家除却促進補助金があります。2026年度の現行制度では、市の基準に該当する危険な空き家について、基本額は工事費の2分の1・上限30万円です。所有権を有する人全員が住民税非課税の場合には、工事費の10分の1・上限20万円の加算があります。制度は2025年4月1日から2027年3月31日までとされ、解体前の事前申請が必要です。
つまり「空き家を解体すれば必ず50万円補助される」という制度ではありません。建物状態、所有者、市税、勧告の有無など条件があります。
解体前には、現況査定額、更地査定額、解体費、補助制度、固定資産税、再建築条件を並べて比較してください。
一方、すでに建物を解体して土地だけになっている場合は、空き家としての価値ではなく、土地の形状、道路、用途地域、上下水道、ハザード、境界などを中心に査定します。
富士市で売却前に確認したい地域条件
5-1. 市街化調整区域・接道・ハザードを確認する
富士市は都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分しています。2026年3月31日時点の市公式情報では、市街化区域が約5,934.4ヘクタール、市街化調整区域が約15,171.6ヘクタールです。
市街化調整区域は、市街化を抑制する区域です。そのため、空き家や土地を売買すること自体とは別に、買主が購入後に新築、建替え、用途変更等を行えるかについて都市計画法上の確認が必要になる場合があります。
現在家が建っているからといって、買主が自由に建替えできるとは限りません。売却物件が市街化調整区域なら、過去の許可や現在の利用条件も含めて確認します。
道路も重要です。富士市は、建築物の敷地は原則として建築基準法上の道路に2メートル以上接する必要があると案内しています。現況が道路状でも建築基準法上の道路に該当しない場合があるため、ふじタウンマップの指定道路情報や建築土地対策課で確認します。
遠方所有の物件では、「親が普通に車で出入りしていたから問題ない」と判断しないことが重要です。私道や水路が介在している場合には、建築法令だけでなく、通行・掘削の権利関係も確認します。
ハザードについては、富士市が洪水、内水、土砂災害、津波、富士山火山災害等の防災マップを公開しています。2026年4月から富士市内水ハザードマップは水防法に基づくハザードマップとなっており、不動産取引時の情報提供についても市が案内しています。
ハザード区域に入っているから売却できないわけではありません。しかし、買主が購入を判断する重要な情報なので、販売前に所在地ごとのリスクを確認しておきます。
5-2. 農地・下水道など土地ごとの条件を確認する
住宅敷地の隣に田・畑を所有している場合には、農地法上の手続きが必要です。
富士市では、相続などによって農地の権利を取得した場合は農地法3条の3の届出、農地を農地のまま売買・貸借する場合には3条の許可が関係します。
農地を住宅・駐車場・資材置場などにする場合には4条・5条の転用手続きを確認します。市街化区域では届出、市街化調整区域や都市計画区域外では許可となるなど、区域によって手続きが異なります。
そのため、「空き家と隣の畑をまとめて売る」という場合でも、宅地と農地を同じように所有権移転できるとは限りません。買主の利用目的を確認し、農業委員会へ必要手続きを確認して契約条件に反映します。
上下水道も所在地ごとに確認します。
富士市では公共下水道の整備を継続しており、2026年7月公表の資料では2026年3月31日現在の供用開始区域が示されています。古い住宅の場合、公共下水道、浄化槽、汲み取りなど処理方法が異なることがあります。
設備が存在することと、現在正常に利用できることも別です。長期間使用していない水道、給湯器、浄化槽などは、使用可能と断定せず現況を確認します。
土地だけを売却する場合には、上下水道管が前面道路にあるか、敷地への引込みがあるか、既存メーターがあるかといった情報も買主の建築費に影響します。
不動産会社の仲介と富士市空き家バンクを使い分ける
6-1. 通常の仲介売却は土地だけでも利用できる
不動産会社へ依頼する通常の仲介売却では、中古住宅、古家付き土地、更地、農地を含む不動産など、物件条件に応じて販売方法を組み立てます。
遠方所有者の場合、不動産会社を選ぶときは査定価格だけでなく、現地対応の範囲を確認してください。
例えば、鍵を預けて内覧へ対応できるか、売却期間中に異常があった場合に連絡してくれるか、残置物処分・測量・登記など必要な業者や専門家との調整ができるか、オンラインで打合せできるか、といった点です。
売主が富士市へ毎回行く必要がない体制を作ることで、販売活動を止めずに進めやすくなります。
土地だけの場合は、空き家を対象とする富士市空き家バンクとは別に、通常の不動産仲介で販売方法を検討します。
更地の場合には、住宅用地だけに限定せず、その土地の法令条件に応じて、隣接所有者、事業者などを含めて買主を考える場合もあります。
売れない期間が続いたときは、単純な値下げだけではなく、「価格」「土地の使い方」「買主の対象」「販売する範囲」のどこに問題があるかを見直します。
6-2. 富士市空き家バンクには登録条件がある
富士市には空き家バンク制度があります。
これは、市内の空き家の売却・賃貸を希望する所有者から情報提供を受け、市内外の利用希望者へ情報を提供する制度です。
ただし、すべての空き家を登録できるわけではありません。
2026年8月更新の富士市公式案内では、登録できる空き家について、個人所有、宅建業法に基づく媒介契約を締結していること、相続・登記が完了していること、建築基準法上の是正指導を受けていないこと、接道要件を満たすことなど複数の要件が定められています。
市街化調整区域にある物件については、用途変更等の許可見込みがあることも登録要件です。
また、売買の場合、空き家バンク登録前に宅建業者と専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結する仕組みになっています。市が必要に応じて協力事業者を紹介しますが、問い合わせ、内覧、交渉、契約は媒介契約を締結した宅建業者等が担当します。
つまり、富士市空き家バンクは「市が不動産会社の代わりに売却してくれる制度」ではありません。
一方、空き家バンクへ登録された物件については、一定の条件を満たすリフォーム工事への補助制度があります。現行制度では基本額が工事費の2分の1・上限80万円で、市外からの転入者への加算20万円または媒介手数料の加算5万円のいずれか一方を追加できる仕組みです。制度は2027年3月31日までとされています。
買主側の改修負担を軽減できる可能性があるため、「まだ住める住宅」を売る場合には通常の仲介と合わせて検討する価値があります。
遠方から売買契約・決済を進める方法
7-1. 現地へ行く回数を減らすために役割を決める
遠方所有でも、不動産売却の全工程で富士市へ出向かなければならないわけではありません。
査定前の打合せ、価格相談、販売状況の報告などは電話・オンラインで進められます。鍵を不動産会社へ預けることができれば、所有者不在でも購入希望者の内覧へ対応しやすくなります。
宅地建物取引業法上の重要事項説明書等は、一定の要件のもと電子的方法による提供が認められており、ITを利用した重要事項説明も制度化されています。不動産会社・取引当事者の対応状況によっては、電子契約等を利用して移動負担を減らすこともできます。
ただし、「完全に一度も現地へ行かずに必ず売却できる」とは限りません。
売主本人の意思確認、司法書士による本人確認、原本書類の受渡し、物件の最終確認など、取引内容によって対応方法が異なります。
遠方所有者は、売却開始時に不動産会社と次の役割を決めておくとスムーズです。
・鍵を誰が保管するか
・内覧時に誰が立ち会うか
・台風等で異常があった場合に誰が確認するか
・郵便物や残置物を誰が管理するか
・境界確認や測量時の窓口を誰にするか
・司法書士との連絡を誰が取りまとめるか
・契約・決済で所有者本人の出席が必要か
現地作業を一つずつ所有者本人が行うのではなく、役割分担を決めておくことが遠方売却のポイントです。
7-2. 契約から決済・鍵の引渡しまで準備する
購入申込みが入ったら、売買価格だけでなく、契約日、手付金、住宅ローン、残置物、測量、修繕、農地法許可、引渡日などを確認します。
遠方所有者の場合、特に「引渡日までに何をするか」を細かく決めておく必要があります。
例えば、残置物撤去を売主負担とするなら、現地へ行かなくても処分業者が見積り・作業できるよう鍵と指示方法を決めます。境界確認が必要なら土地家屋調査士と隣接所有者との調整方法を決めます。
売買契約では、雨漏り、シロアリ、設備故障、越境、未登記建物など、売主が把握している重要な事項を不動産会社へ伝えます。相続した実家で売主自身が住んだことがない場合には、「知らないこと」を「問題がないこと」として説明しないようにします。
契約後、決済までに必要となり得る書類には、登記識別情報または権利証、印鑑証明書、本人確認書類などがあります。具体的な必要書類は登記内容や司法書士の確認方法によって異なるため、決済直前ではなく早めに確認してください。
売主の登記住所と現在住所が違う場合には、所有権移転の前提として住所変更登記が必要になることがあります。
決済日には、通常、買主から残代金を受領し、固定資産税等の精算、所有権移転登記の申請、仲介手数料・登記費用等の支払い、鍵・関係書類の引渡しを行います。
遠方所有者は、決済日当日の出席方法を契約前から確認しておくと安心です。本人確認や登記書類については司法書士の指示に従い、安易に家族へ代理を任せず、代理手続が必要な場合には委任状や本人確認方法を事前に整理します。
まとめ|遠方所有では「売却」と「管理」を同時に設計する
8-1. 売却費用と税金を確認する
空き家・土地の売却では、売買価格だけでなく最終的な手取りを確認します。
主な費用には、仲介手数料、紙で不動産売買契約書を作成する場合の印紙税、必要な登記費用、測量費、残置物処分費、解体費などがあります。
2024年7月1日から、価格800万円以下の宅地・建物には「低廉な空家等」に関する媒介報酬特例があります。一定の条件のもと、宅建業者が依頼者一方から受けられる報酬上限は30万円+消費税、消費税率10%なら33万円です。
土地・建物を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税等がかかることがあります。
相続した不動産では、原則として被相続人の取得費・取得時期を引き継ぎます。親が購入したときの売買契約書、建築請負契約書、領収書などがあれば保管してください。取得費が分からない場合には、一定の場合、売却代金の5%相当額を概算取得費とする方法があります。
相続した空き家については、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。
2026年9月現在、一定の要件を満たして2027年12月31日までに譲渡する場合が対象です。対象家屋は原則として1981年5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物ではないこと、相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったことなどの要件があります。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることや、売却代金が1億円以下であることなども確認が必要です。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、1人当たりの控除上限は2,000万円です。
特例を受けるには確定申告が必要です。また、対象空き家が富士市にある場合、特例に必要となる「被相続人居住用家屋等確認書」は富士市住宅政策課が申請窓口です。この確認書が交付されても税制特例の適用自体が確約されるわけではないため、最終的な適用は税務署・税理士へ確認します。
8-2. 富士市の空き家・土地売却チェックリスト
遠方から富士市の不動産を売却するときは、次の順番で整理すると進めやすくなります。
最初に登記名義人、相続人、共有者を確認します。
次に、固定資産税資料、登記、公図などから、空き家の敷地だけでなく畑、山林、倉庫など所有する不動産全体を把握します。
その後、現地で建物状態、残置物、境界、道路、越境、雑草・庭木などを確認し、売却までの管理方法を決めます。
管理は自分で定期訪問する方法だけでなく、親族、管理サービス、不動産会社などを役割に応じて使い分けます。
次に、片付けや解体をする前の状態で査定を受けます。
査定結果をもとに、中古住宅、古家付き土地、更地、土地のみのどの方法が適しているかを比較します。
市街化調整区域、農地、私道、接道、ハザードなどが関係する場合は販売前に確認します。
販売方法は通常の仲介を基本としつつ、「まだ住める空き家」で富士市空き家バンクの登録条件を満たす場合には、空き家バンクも検討できます。
そして、契約・決済を遠隔でどこまで進められるかを不動産会社・司法書士と確認し、所有者本人が富士市へ行く必要がある場面だけを整理します。
遠方所有で最も避けたいのは、「現地へ行けないから何もしない」という状態です。
売却まで数か月かかるとしても、管理を続けながら売却準備を同時に進めれば、建物の劣化や近隣トラブルを抑えやすくなります。
富士市の空き家・土地を売るときは、
「売れる状態になるまで自分で全部整えてから相談する」
のではなく、
「現状を確認し、管理しながら、売却に必要なことだけを順番に進める」
ことが重要です。
遠方に住んでいること自体は、売却できない理由ではありません。
現地確認、管理、査定、内覧、契約、登記のそれぞれについて「誰が担当するか」を決めることで、移動負担を抑えながら富士市の空き家・土地の売却を進めることができます。
株式会社Wakka
住所:山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
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