相続人と連絡が取れない不動産は売却できる?共有・遺産分割・所在不明の場合の対処法
相続人と連絡が取れない不動産は売却できる?共有・遺産分割・所在不明の場合の対処法
相続した実家や土地を売却しようとしたところ、
「兄弟の一人と何年も連絡を取っていない」
「相続人の住所が分からない」
「手紙を送っても返事がない」
「海外へ行ったまま連絡先が分からない」
「相続人の一人が生きているのかも分からない」
といった問題が見つかることがあります。
このような場合、
「連絡が取れる相続人だけで売却できないのか」
「多数決で売ることはできないのか」
「所在不明の相続人を除いて遺産分割できないのか」
と考える方もいるでしょう。
結論からいうと、相続人の一人と連絡が取れないからといって、その人を無視して不動産全体を自由に売却することは原則できません。
被相続人が亡くなり、遺産分割が終わっていない不動産は、共同相続人の関係を整理する必要があります。
また、すでに複数人の共有名義になっている不動産を全体として第三者へ売却する場合も、通常は共有者全員の意思が必要になります。
ただし、
「一人と連絡が取れないから永久に売却できない」
というわけでもありません。
状況によっては、
・戸籍や住所を調査して連絡を試みる
・家庭裁判所の遺産分割調停を利用する
・不在者財産管理人を選任する
・失踪宣告を検討する
・2023年4月から始まった所在等不明共有者に関する制度を利用する
・相続財産清算人を選任する
などの方法があります。
重要なのは、「連絡が取れない」という言葉だけで手続きを決めないことです。
例えば、
住所は分かっているが返事をしない人
と、
必要な調査をしても住所が分からない人
では使える制度が違います。
さらに、
相続人ではあるが遺産分割前の人
と、
すでに登記上の共有者になっている人
でも状況が異なります。
この記事では、
・相続人と連絡が取れない不動産を売却できるのか
・相続人全員の同意は必要なのか
・共有持分だけなら売れるのか
・住所が分からない相続人をどう調べるのか
・不在者財産管理人とは何か
・失踪宣告との違い
・2023年から始まった所在等不明共有者制度
・遺産分割調停を利用するケース
・相続人が誰もいない場合
・売却までに何から始めればよいのか
を、不動産実務の流れに沿って分かりやすく解説します。
株式会社Wakka
株式会社Wakkaは、山梨県南部町に拠点を置き、空き家、相続不動産、中古住宅、土地、農地付き住宅などの売買・売却相談に対応する不動産会社です。
相続した実家では、
・相続登記が終わっていない
・相続人の一人と連絡が取れない
・共有者が多数いる
・建物が未登記
・古い抵当権が残っている
・境界が分からない
・農地が付いている
・残置物が多い
など、複数の問題が同時に見つかることがあります。
株式会社Wakkaでは、単に「売れる・売れない」と判断するのではなく、現在の所有者は誰なのか、売却に必要な合意は誰から得る必要があるのか、専門家による手続きが必要なのかを整理したうえで、売却方法を考えることを重視しています。
必要に応じて司法書士、弁護士、土地家屋調査士、税理士などと連携しながら進めます。
また、株式会社Wakkaは南部町と空き家対策に関する協定を結んでいます。
相続後に空き家となった住宅を次の所有者へつなげるためには、建物の管理だけでなく、相続人、登記、共有、未登記建物など、不動産流通の前段階にある課題を整理することも重要です。
株式会社Wakka
住所:〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
目次
相続人と連絡が取れない不動産は売却できる?
遺産分割前の不動産を一人で勝手に売ることはできない
共有名義になっている不動産も全体売却には原則全員が関係する
「連絡が取れない」の状況を最初に分ける
住所は分かるが返事がない場合
住所・居所そのものが分からない場合
遺産分割がまとまらない場合はどうする?
相続人全員による協議が難しければ遺産分割調停
相続登記の期限には相続人申告登記という選択肢もある
相続人の所在が本当に分からない場合
不在者財産管理人を利用する方法
長期間生死不明なら失踪宣告という制度もある
2023年から始まった「所在等不明共有者」の制度
不明共有者の持分を取得できる制度
不動産全体を第三者へ売るための譲渡権限付与制度
自分の共有持分だけを売ることはできる?
持分だけの売却と不動産全体の売却は別
持分売却を急ぐ前に共有関係の解消方法を比較する
相続人不存在・相続放棄の場合はどうする?
「所在不明」と「相続人がいない」は別問題
相続財産清算人が不動産を売却することもある
まとめ|相続人と連絡が取れなくても解決手段を順番に確認する
不動産売却までの具体的な流れ
不動産会社・司法書士・弁護士等の役割
1. 相続人と連絡が取れない不動産は売却できる?
1-1. 遺産分割前の不動産を一人で勝手に売ることはできない
例えば、父が亡くなり、相続人が、
母
長男
長女
の3人だったとします。
父名義の実家について、まだ遺産分割協議をしていないにもかかわらず、長男だけが、
「自分が実家を管理しているので売却します」
と不動産全体を自由に処分することはできません。
相続が開始すると、遺産は共同相続人の関係の中で扱われます。
誰が実家を取得するのかを遺産分割協議で決める場合には、共同相続人全員で合意する必要があります。
そのため、
母と長男は売りたい
長女と連絡が取れない
という状態では、
「3人中2人が賛成なので売却できる」
という多数決にはなりません。
まず長女との連絡・所在確認を行い、遺産分割を進める必要があります。
また、遺産分割協議書を作成するときも、連絡が取れない相続人を勝手に外すことはできません。
相続人の範囲を正確に確認することが最初の手続きです。
1-2. 共有名義になっている不動産も全体売却には原則全員が関係する
すでに相続登記をして、
長男 2分の1
長女 2分の1
という共有名義になっているケースもあります。
この場合、長男と長女はそれぞれ自分の共有持分を持っています。
しかし、土地・建物全体を一人の買主へ完全な所有権として売却するのであれば、通常は双方が売主として関与します。
長男が単独で、
「長女と連絡が取れないので、家全体を売ります」
ということは原則できません。
一方、長男が自分の2分の1持分だけを第三者へ譲渡することができる場合はあります。
ただし、
「自分の持分を売れる」
ことと、
「不動産全体を売れる」
ことはまったく別です。
一般の住宅購入者は、不動産全体を取得して自由に利用することを希望するケースが多いため、共有持分だけの売却は市場性や価格面で大きな制約を受ける可能性があります。
したがって、相続不動産では、持分だけを急いで売却する前に、共有関係そのものを整理できないか検討する方がよいでしょう。
2. 「連絡が取れない」の状況を最初に分ける
2-1. 住所は分かるが返事がない場合
「相続人と連絡が取れない」といっても、
住所は分かっている
電話番号も分かっている
手紙を送っても返事がない
というケースがあります。
この場合、その相続人は「所在不明」とは限りません。
相続人が意図的に返信しない場合や、遺産分割へ参加したくない場合もあります。
まず、
・電話
・書面
・配達記録が残る郵便
・親族等を通じた連絡
など、適切な方法で連絡を試みます。
感情的な対立が予想される場合には、
「家を売りたいので印鑑をください」
という話から始めるより、
・どのような相続財産があるか
・固定資産税や管理費がどの程度かかっているか
・建物がどのような状態か
・売却査定額はいくらか
・残した場合の費用や管理負担はどうなるか
など、客観的な情報を整理して伝える方が話し合いやすくなります。
それでも協議がまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停を検討します。
単に相手が電話へ出ないという理由だけで、不在者財産管理人や所在等不明共有者制度が直ちに利用できるわけではありません。
2-2. 住所・居所そのものが分からない場合
一方、
昔家を出てから数十年間連絡がない
住民票上の住所にも住んでいない
親族も連絡先を知らない
という場合があります。
このような場合は、まず所在を調査します。
相続手続きでは一般に、
・戸籍
・除籍
・改製原戸籍
・戸籍の附票
などを利用して、相続関係や住所の履歴を確認します。
ただし、戸籍等は誰でも自由に取得できるものではなく、請求できる人や目的が法律で定められています。
相続登記等の手続きを司法書士へ依頼している場合や、法律上の紛争対応を弁護士へ依頼している場合には、それぞれの業務範囲内で必要な調査を進めてもらうことがあります。
ここで大切なのは、
「電話番号を知らない=所在不明」ではない
という点です。
2023年4月から始まった所在等不明共有者制度でも、登記簿や住民票など必要な調査を行ってもなお、共有者の氏名・住所・居所等を把握できないことが前提となります。
住所が分かっているのに相手が協議へ応じない場合は、別の手続きになります。
3. 遺産分割がまとまらない場合はどうする?
3-1. 相続人全員による協議が難しければ遺産分割調停
相続人の所在は分かっているものの、
返事をしない
売却に反対している
遺産の分け方で意見が合わない
という場合には、家庭裁判所の遺産分割手続を利用できます。
遺産分割調停は、共同相続人の一人または数人が、他の相続人全員を相手方として申し立てる手続きです。
調停では、
・誰が不動産を取得するのか
・不動産を売却して代金を分けるのか
・他の相続人へ代償金を払うのか
・預貯金等とどのように調整するのか
などについて話し合います。
例えば、
実家を売却して代金を3人で分ける
という方法もあれば、
長男が実家を取得し、長女へ代償金を払う
という方法も考えられます。
調停で話し合いがまとまらない場合には、原則として審判手続へ移行し、家庭裁判所が事情を踏まえて判断します。
したがって、
「一人が反対すれば一生何もできない」
というわけではありません。
ただし、家庭裁判所を利用する場合には一定の期間が必要になります。
売却期限が迫ってから調停を始めるのではなく、協議が難しいと分かった段階で早めに対応を検討することが重要です。
3-2. 相続登記の期限には相続人申告登記という選択肢もある
ここで注意したいのが相続登記の義務です。
2024年4月1日から相続登記は義務化されています。
相続によって不動産を取得したことを知った相続人は、原則としてその取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、2024年4月1日より前に相続したことを知っている未登記不動産については、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
しかし、
「相続人の一人が返事をしないため遺産分割できない」
ということもあります。
このような場合に、相続登記の申請義務を簡易に履行するため設けられているのが「相続人申告登記」です。
相続人申告登記は、相続人が自分が相続人であること等を法務局へ申し出る制度です。
他の相続人全員との遺産分割がまとまっていなくても、申出人が単独で利用できます。
ただし重要なのは、
相続人申告登記をしただけでは不動産を売却できる状態にはならない
という点です。
相続人申告登記は、あくまで相続登記の申請義務を簡易に履行するための仕組みであり、不動産の権利関係を確定させる通常の相続登記とは異なります。
不動産を売却する場合には、最終的に誰が所有者となるのかを整理し、必要な相続登記を行う必要があります。
4. 相続人の所在が本当に分からない場合
4-1. 不在者財産管理人を利用する方法
必要な調査をしても相続人の所在が分からない場合には、「不在者財産管理人」という制度を検討することがあります。
不在者財産管理人とは、従来の住所や居所を離れ、容易に戻る見込みがない人について、その人の財産を管理するため家庭裁判所が選任する人です。
例えば、
父が死亡
相続人は長男・長女
長女は20年以上前から所在不明
という場合です。
長女を除いて遺産分割することはできません。
そこで、利害関係人等が家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てます。
選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を保存・管理します。
そして家庭裁判所から「権限外行為許可」を受けることで、不在者に代わって、
・遺産分割協議
・不動産売却
などを行える場合があります。
ここで注意したいのは、不在者財産管理人は、
「家を売るためだけの代理人」
ではないということです。
不在者本人の利益を守るための財産管理人です。
そのため遺産分割でも、不在者に著しく不利な条件を自由に受け入れられるものではありません。
また、申立てに際し、管理費用や報酬等に充てるため家庭裁判所から予納金を求められる場合があります。
金額や手続期間は事件ごとに異なります。
4-2. 長期間生死不明なら失踪宣告という制度もある
相続人の「住所が分からない」だけではなく、
生きているのかどうか自体が長期間分からない
という場合があります。
この場合には「失踪宣告」という制度があります。
普通失踪では、不在者の生死が7年間明らかでない場合、家庭裁判所は利害関係人の申立てにより失踪宣告をすることができます。
失踪宣告が確定すると、その人は法律上、一定の時点で死亡したものとみなされます。
すると、その人について新たな相続が発生することになります。
例えば、
父の相続人である長男が長年生死不明
↓
長男について失踪宣告
↓
長男が死亡したものとみなされる
↓
長男の相続人を確認
という流れになる可能性があります。
ただし、失踪宣告は単なる「不動産売却を進めるための制度」ではありません。
婚姻や相続など、不在者の法律関係全体に大きな影響を与えます。
したがって、
「7年間連絡がないので失踪宣告をすればよい」
と安易に選ぶのではなく、不在者財産管理人など他の制度との違いを弁護士等へ相談しながら検討することが重要です。
5. 2023年から始まった「所在等不明共有者」の制度
5-1. 不明共有者の持分を取得できる制度
2023年4月1日から、共有不動産について重要な新制度が始まりました。
その一つが、
所在等不明共有者の持分取得制度
です。
例えば、
土地をA・B・Cの3人で共有
↓
Cについて必要な調査をしても住所・居所が分からない
というケースです。
従来は、共有状態を解消するために不在者財産管理人を選任したり、共有物分割訴訟を行ったりする必要があり、手続きが複雑になる場合がありました。
現在は、一定の条件を満たすと、共有者が地方裁判所へ申し立て、裁判所の決定によって所在等不明共有者の持分を取得できる制度があります。
ただし、無償で取得する制度ではありません。
裁判所が定めた金額を供託する必要があります。
所在等不明共有者は、後からその供託金の支払いを請求できます。
また、「所在等不明」と認められるためには、
登記簿を見ただけで住所が古い
という程度では足りません。
住民票等を含め、必要な調査を尽くしても氏名や住所・居所が分からないことが必要です。
さらに、所在等不明共有者の持分が共同相続人間で遺産分割すべき相続財産である場合には注意が必要です。
原則として、相続開始から10年を経過していないと、この持分取得制度を利用できない場合があります。
「相続したばかりで一人だけ住所が分からない」
というケースでは、まず不在者財産管理人等を検討することになります。
5-2. 不動産全体を第三者へ売るための譲渡権限付与制度
もう一つ重要なのが、
所在等不明共有者の持分を第三者へ譲渡する権限の付与
を裁判所へ求める制度です。
これは、所在等不明共有者以外の共有者全員が、自分たちの持分を同じ第三者へ売却することを条件に、所在等不明共有者の持分についても、その第三者へ譲渡できる権限を与えてもらう制度です。
例えば、
A 3分の1
B 3分の1
C 3分の1
の共有不動産で、Cが所在不明だったとします。
AとBが不動産全体を買主Dへ売却したい場合、条件を満たせば地方裁判所へ申立てを行い、Cの持分についてDへ譲渡する権限を得られる可能性があります。
この制度でも、Cの持分価格に相当する金銭について供託が必要です。
つまり、
「連絡が取れない共有者の持分を勝手に売る制度」
ではありません。
裁判所の手続きを経て、所在不明者の財産的利益を金銭で保護したうえで売却する制度です。
また、対象となる所在等不明共有者の持分が、共同相続人間で遺産分割をすべき相続財産に属する場合には、原則として相続開始から10年経過していることが必要とされています。
この制度は2023年から利用可能になった比較的新しい仕組みであるため、
「相続人が所在不明なら必ず不在者財産管理人」
という説明だけでは現在の制度を十分に反映していません。
一方で、すべての相続案件に利用できる制度でもありません。
遺産分割前なのか、すでに通常の共有になっているのか、相続開始から何年経っているのかなどを確認して使い分けます。
6. 自分の共有持分だけを売ることはできる?
6-1. 持分だけの売却と不動産全体の売却は別
すでに共有名義となっている不動産について、
「他の共有者と連絡が取れないなら、自分の持分だけ売ってしまいたい」
と考える方もいます。
自己の共有持分を第三者へ譲渡できる場合はあります。
例えば、
長男 2分の1
長女 2分の1
という土地で、長男が自分の持分2分の1を第三者へ売却するケースです。
しかし、買主が取得するのは、
土地全体ではなく2分の1の共有持分
です。
土地を物理的に半分自由に使えるという意味ではありません。
新しい買主は長女と共有関係になります。
そのため一般の住宅購入希望者にとって、共有持分だけを購入するメリットは限定的です。
また、共有持分のみを専門的に買い取る事業者もありますが、通常の不動産全体を市場で売却する場合に比べ、価格条件が大きく異なる可能性があります。
「早く現金化できる」という一点だけで判断せず、
・全員で一括売却できないか
・持分を他の共有者へ売れないか
・他の共有者の持分を取得できないか
・共有物分割を検討するか
などを比較する必要があります。
6-2. 持分売却を急ぐ前に共有関係の解消方法を比較する
共有不動産を整理する方法は、持分売却だけではありません。
例えば、
方法1 共有者全員で第三者へ売る
不動産全体として一般市場へ売却します。
方法2 一人が他の共有者の持分を買い取る
単独所有にしてから売却または利用します。
方法3 共有者の一人へ代償金を支払い整理する
相続直後であれば遺産分割の中で調整できることがあります。
方法4 共有物分割を検討する
現物分割、代償分割的な解決、換価など、状況によって方法を検討します。
方法5 所在等不明共有者制度を利用する
必要な条件を満たす場合です。
どの方法が適切かは、
・不動産価格
・持分割合
・共有者との関係
・相続開始からの期間
・所在不明者の有無
・建物の利用状態
・売却を急ぐ理由
などで変わります。
特に、相続した空き家が長期間放置されている場合には、固定資産税や管理費だけでなく、建物の劣化も進みます。
権利問題の整理を後回しにするほど売却しやすくなるわけではありません。
7. 相続人不存在・相続放棄の場合はどうする?
7-1. 「所在不明」と「相続人がいない」は別問題
もう一つ区別したいのが、
相続人の所在が分からない
場合と、
そもそも相続人がいない
場合です。
例えば、
配偶者なし
子なし
両親死亡
兄弟姉妹なし
で法定相続人が存在しないケースがあります。
また、相続人はいたものの、全員が家庭裁判所で相続放棄をした結果、相続する人がいなくなる場合もあります。
この状態では、
「所在不明の相続人がいる」
わけではありません。
相続人の存在・不存在が明らかでない場合や、全員の相続放棄によって相続人がいなくなった場合には、「相続財産清算人」の制度が関係します。
以前は「相続財産管理人」という名称が使われていましたが、2023年4月施行の民法改正後、相続人不存在の場合に相続財産を清算する者は「相続財産清算人」とされています。
7-2. 相続財産清算人が不動産を売却することもある
相続財産清算人は、家庭裁判所によって選任されます。
相続財産を管理し、
・債権者への支払い
・受遺者への対応
・相続人の捜索
・必要な財産の換価
などを行います。
必要があれば、家庭裁判所の許可を得て、不動産を売却して金銭へ換えることもあります。
その後、
債権者への支払い
特別縁故者への財産分与
などを経て残った財産は、最終的に国庫へ帰属することになります。
したがって、
「相続人が誰もいない土地だから誰も売れない」
というだけではありません。
相続財産清算人を通じた手続きで売却される可能性があります。
ただし、相続財産清算人の選任には家庭裁判所への申立てが必要です。
一般の所有者が自分の不動産を売却する場合とは手続きが大きく異なります。
8. まとめ|相続人と連絡が取れなくても解決手段を順番に確認する
8-1. 不動産売却までの具体的な流れ
相続人と連絡が取れない不動産では、最初から「裁判しかない」と考える必要はありません。
まず次の順番で整理します。
1.被相続人名義の不動産を確認する
登記事項証明書、固定資産税資料、名寄帳等を確認します。
2026年2月2日からは、一定の条件のもと、法務局で特定の被相続人が登記名義人となっている不動産を一覧化する「所有不動産記録証明制度」も始まっています。
2.相続人を確定する
戸籍等から法定相続人を確認します。
3.遺言書を確認する
遺言がある場合には、遺産分割協議をしないで権利が確定する部分があるため、内容を先に確認します。
4.連絡が取れない相続人の状況を確認する
住所が分かるが返事がないのか、住所自体が不明なのか、生死も不明なのかを分けます。
5.不動産会社へ査定を依頼する
権利関係が完全に整理される前でも、不動産の市場価格や売却方法を確認することは可能です。
売却価格が分かれば、遺産分割の話し合いを進めやすくなる場合もあります。
6.協議できるなら遺産分割を進める
相続人全員で合意し、不動産を誰が取得するのか決めます。
7.協議できなければ制度を選ぶ
状況によって、
・遺産分割調停
・不在者財産管理人
・失踪宣告
・所在等不明共有者制度
・相続財産清算人
などを検討します。
8.相続登記を行う
売却できる所有関係へ整理します。
相続人申告登記だけでは売却できない点に注意します。
9.その他の問題も確認する
未登記建物、抵当権、境界、農地、接道、残置物等を確認します。
10.売買契約・決済へ進む
最終的に売却権限のある所有者を確定し、買主へ所有権移転登記を行います。
重要なのは、
「連絡が取れない相続人がいる」
という事実だけで売却を諦めないことです。
その人が、
単に返信しないのか
住所不明なのか
生死不明なのか
すでに共有者なのか
まだ遺産分割前なのか
によって解決方法は変わります。
8-2. 不動産会社・司法書士・弁護士等の役割
相続人と連絡が取れない不動産では、専門家の役割を正しく分けることも重要です。
不動産会社
・不動産査定
・売却可能性の確認
・媒介
・販売活動
・共有関係を踏まえた売却方法の検討
・売買契約、条件調整
を担当します。
権利関係が整理される前でも、売却価格や市場性を確認することで、その後の遺産分割を検討しやすくなる場合があります。
司法書士
・相続登記
・法定相続情報や登記に必要な相続関係の整理
・所有権移転登記
・抵当権抹消
など権利登記を扱います。
弁護士
・相続人への交渉
・遺産分割をめぐる紛争
・遺産分割調停・審判への対応
・共有関係の紛争
・所在不明者が関係する法的手続き
など、紛争性がある場合に重要な相談先になります。
土地家屋調査士
・未登記建物の表題登記
・増築に伴う建物表題部変更登記
・土地分筆
・地積更正
・境界・測量
などを扱います。
税理士
相続税や、不動産を売却した際の譲渡所得税など税務相談・申告を扱います。
株式会社Wakkaが拠点を置く山梨県南部町や身延町などでは、親や祖父母から引き継いだ実家が長期間空き家となり、その間に相続人が各地へ転居していることも考えられます。
静岡県富士宮市周辺の相続不動産についても、共有者が遠方に住んでいる、相続登記が何代にもわたって行われていない、といった場合には、売却の前段階で相続関係の整理が必要になります。
株式会社Wakkaでは、南部町との空き家対策に関する協定で培う地域課題への視点も踏まえ、
「相続人と連絡が取れないので売れません」
と最初から終わらせるのではなく、
誰が相続人なのか
↓
本当に所在不明なのか
↓
遺産分割前なのか共有登記済みなのか
↓
通常の協議で解決できるのか
↓
家庭裁判所の制度が必要なのか
↓
どの状態まで整理すれば売却できるのか
を順番に確認することを重視しています。
相続人の一人と何十年も会っていない。
手紙を送っても返事がない。
住所そのものが分からない。
共有名義の一人が行方不明になっている。
このような場合でも、不動産会社への査定・売却相談を始めることはできます。
ただし、先に買主を見つけてから相続人の問題を解決しようとすると、契約・引渡しまでの期限に間に合わなくなる可能性があります。
そのため、
不動産を確認する
↓
相続人を確認する
↓
連絡・所在調査を行う
↓
必要な法的手続きを選ぶ
↓
相続登記・共有関係を整理する
↓
売却する
という順番で進めることが、相続人と連絡が取れない不動産を売却するときの重要なポイントです。
株式会社Wakka
住所:〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
株式会社Wakka
住所:山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
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