農家でなくても農地を買える?農地法3条許可の条件と注意点をわかりやすく解説
農家でなくても農地を買える?農地法3条許可の条件と注意点をわかりやすく解説
「農家ではないけれど、畑を買うことはできますか?」
「田舎へ移住して、家の横にある農地で野菜を育てたい」
「農地付きの中古住宅を見つけたが、農業経験がなくても購入できるのか」
「会社員を続けながら農地を取得することはできるのか」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
特に山梨県南部町や身延町などの地方では、住宅だけでなく、畑や田が一緒になった「農地付き住宅」が売りに出されることがあります。静岡県富士宮市周辺でも、住宅の隣に畑が付いていたり、複数の農地を一緒に所有していたりする不動産があります。
結論からいうと、これまで農家ではなかった個人でも、一定の条件を満たせば農地を購入できる可能性があります。
農地を購入するために、「農家」という特別な資格や免許を持っていること自体が、全国一律の必須条件になっているわけではありません。
農地法で重視されるのは、
「その人が本当に農地を適切に耕作し、継続して利用できるのか」
という点です。
農地を農地のまま売買する場合には、原則として農地法第3条に基づき、その農地がある市町村の農業委員会の許可を受ける必要があります。
そして2023年4月1日には、農地法3条の許可要件の一つだった「下限面積要件」が廃止されました。
以前は、農地取得後の経営面積について都府県では原則50アール以上などの基準がありましたが、現在はこの面積要件はありません。
そのため、小規模な畑を取得して農業へ新規参入することは、以前より制度上検討しやすくなっています。
ただし、
「50アール要件がなくなった=誰でも自由に農地を買える」
という意味ではありません。
現在も、
・取得する農地をすべて効率的に利用できること
・必要な農作業に常時従事できること
・周辺の農地利用へ支障を生じさせないこと
などの条件があります。
また、農業をするつもりがなく、購入した畑を駐車場、住宅敷地、資材置場などとして利用したい場合は、農地法3条ではなく、農地法5条による農地転用を検討する必要があります。
この記事では、
・農家でなくても農地を購入できるのか
・農地法3条とは何か
・2023年に廃止された下限面積要件
・年間150日の農作業要件
・会社員や移住者でも許可される可能性があるのか
・農業経験や農機具は必要なのか
・農地付き住宅を購入するときの注意点
・売買契約から3条許可、所有権移転までの流れ
を、不動産会社の視点から初心者にも分かるように解説します。
株式会社Wakka
株式会社Wakkaは、山梨県南部町に拠点を置き、不動産売買、空き家、相続不動産、中古住宅、土地、農地付き住宅などのご相談に対応する不動産会社です。
地方の不動産では、住宅だけでなく、畑、田、山林、倉庫など複数の不動産が一緒になっていることがあります。
そのため、「家はいくらで買えるか」だけでなく、農地法の許可、相続登記、未登記建物、境界、接道、残置物などを一つずつ確認する必要があります。
株式会社Wakkaでは、単に売る・買うという判断だけでなく、どのような手続きが必要なのかを整理し、必要に応じて農業委員会、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、税理士などと連携しながら進めることを重視しています。
また、株式会社Wakkaは南部町と空き家対策に関する協定を結んでいます。
地方の空き家を次の所有者や移住希望者へつなげるとき、住宅だけでなく、その周囲にある農地をどのように引き継ぐかを考えることも重要です。
農地付きの空き家についても、行政制度を代行するのではなく、不動産実務の立場から売却・購入までの課題を整理することを重視しています。
株式会社Wakka
住所:〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
目次
農家でなくても農地を買える?
「農家」という資格より農地を利用できるかが重要
農地を農地として買うなら農地法3条許可が必要
農地法3条とは?許可を受けない売買はどうなる?
農地の売買・貸借を規制する制度
3条と4条・5条の違いを知っておく
2023年に廃止された「下限面積要件」
「50a以上ないと農地を買えない」は現在は誤り
小さな農地でも他の許可要件は残っている
農地法3条許可の3つの重要条件
農地をすべて効率的に利用できること
農作業への常時従事と周辺農地との調和
会社員・移住者・農業未経験者でも農地を買える?
年間150日は絶対的な足切り基準ではない
通作距離・農機具・経験・営農計画も確認される
農地付き住宅を購入するときの注意点
家を購入できても農地の3条許可が下りるとは限らない
「家庭菜園」「将来使う」だけでは判断できない
農地を購入する具体的な流れ
事前相談・売買契約・3条許可申請まで
許可後の決済・所有権移転と専門家の役割
まとめ|農家でなくても農地取得は検討できる
購入前に確認したい8つのチェックポイント
農地付き住宅は早めに農業委員会へ相談する
1. 農家でなくても農地を買える?
1-1. 「農家」という資格より農地を利用できるかが重要
「農地は農家しか買えない」
という話を聞いたことがある方もいるでしょう。
しかし、現在の農地法では、「農家」という名称や、これまで農業を職業としてきたこと自体を一律の購入条件としているわけではありません。
農林水産省も、個人が農地の権利を取得する場合について、農地を適切に利用できるかという観点から許可要件を示しています。
主に確認されるのは、
・取得する農地をすべて効率的に利用できるか
・必要な農作業に常時従事できるか
・周辺の農地利用へ支障を与えないか
という点です。
したがって、
会社員
自営業者
移住予定者
定年退職者
これまで農業をしたことがない人
であっても、これらの条件を満たせるのであれば、農地法3条許可を検討できる可能性があります。
また、「認定農業者」や「認定新規就農者」でなければ農地を所有できないという一般的なルールでもありません。
これらは農業経営や支援制度に関係する仕組みであり、個人の農地法3条許可について必ず取得していなければならない資格ではありません。
一方で、
「農業経験がないから無条件で認められる」
わけでもありません。
農業委員会は、その人が実際に農地を耕作できるのかを確認します。
つまり重要なのは、
「今まで農家だったか」より「取得した後、本当に農業を続けられるか」
です。
1-2. 農地を農地として買うなら農地法3条許可が必要
農地法3条は、農地や採草放牧地について、農業利用を続けたまま所有権を移転したり、賃借権等を設定したりするときの制度です。
例えば、
売主が所有する畑
↓
買主が購入
↓
購入後も畑として野菜を栽培
という取引です。
この場合、原則として売主と買主が農業委員会へ申請し、農地法3条の許可を受けます。
農林水産省は、農地を売買・貸借する場合には、原則としてその農地が所在する市町村の農業委員会の許可が必要と案内しています。
重要なのは、必要な3条許可を受けないでした農地の売買等は、農地法上その効力を生じないという点です。
つまり、通常の土地のように、
契約書に署名
↓
代金を支払う
↓
所有権移転登記
だけで完了するわけではありません。
農地は日本の農業生産の基盤であるため、投機的に取得されたり、取得後に放置されたりすることを防ぐ目的で権利移動が規制されています。
そのため農地購入では、
「売主が売りたい」
「買主が買いたい」
という双方の合意に加え、
「農地法上、買主が取得できる条件を満たしている」
ことが必要になります。
2. 農地法3条とは?許可を受けない売買はどうなる?
2-1. 農地の売買・貸借を規制する制度
農地法3条の対象になる代表的な取引は、
・売買
・贈与
・農地としての賃貸借
・使用貸借
などです。
例えば、親戚から無償でもらう場合でも、贈与による所有権移転であれば3条許可が必要となることがあります。
「お金を払っていないから農地法は関係ない」
ということではありません。
一方、相続によって農地を取得する場合は、一般的な3条許可の対象ではありません。
ただし、相続等によって農地の権利を取得した場合には、農地法3条の3に基づく農業委員会への届出が別途必要となります。
したがって、
農地を購入する
場合と、
農地を相続する
場合でも手続きは異なります。
また、農地法3条許可申請は、2026年現在、農林水産省共通申請サービス「eMAFF」を利用してオンライン申請できる場合もあります。
ただし、申請先の農業委員会側がオンライン手続きに対応している必要があるため、実際に利用できるかは各農業委員会へ確認します。
2-2. 3条と4条・5条の違いを知っておく
農地を購入するときには、3条だけでなく4条・5条との違いも理解しておくと分かりやすくなります。
農地法3条
農地を農地として売る・買う・貸す。
例:
畑を買って、そのまま畑として利用する。
農地法4条
農地の所有者本人が農地を農地以外へ転用する。
例:
自分が所有する畑を自分の駐車場へ変更する。
農地法5条
農地を転用する目的で所有権移転等を行う。
例:
畑を購入し、購入後に住宅敷地や駐車場として利用する。
したがって、
「畑を買いたい」
といっても、
本当に畑として使うのか
それとも、
土地だけ欲しくて農業はしないのか
によって手続きが変わります。
例えば農地付き住宅を購入する人が、
「住宅は住むために買いますが、畑部分は駐車場にします」
というのであれば、3条許可の問題ではなく5条転用を検討することになります。
ただし、すべての農地が転用できるわけではありません。
農用地区域内農地や優良農地など、転用が原則制限される農地もあります。
そのため、
「3条が難しければ5条にすればよい」
と単純に考えることもできません。
3. 2023年に廃止された「下限面積要件」
3-1. 「50a以上ないと農地を買えない」は現在は誤り
農地法3条についてインターネットで調べると、
「農地を購入するには50アール以上必要」
という情報が出てくることがあります。
これは現在の制度では古い情報です。
以前の農地法には、農地取得後の経営農地面積について、
都府県では原則50アール
北海道では原則2ヘクタール
などとする「下限面積要件」がありました。
農業委員会が地域の実情に合わせ、これより小さい別段面積を定める制度もありました。
そのため以前は、農地付き空き家の流通促進を目的として、空き家に付随する農地について1アールなど小さな面積を設定する自治体もありました。
しかし、農業従事者の減少や新規就農を促進する観点などから法律が改正され、2023年4月1日に農地法3条の下限面積要件は廃止されました。
現在は、
「取得後50アール以上になること」
という全国的な許可要件はありません。
例えば、
畑300㎡
畑500㎡
畑1,000㎡
といった比較的小さな農地であっても、面積だけを理由に3条許可が不可能という制度ではなくなっています。
農地付きの家を購入したい移住希望者にとっても、大きな制度変更です。
3-2. 小さな農地でも他の許可要件は残っている
下限面積が廃止されたことから、
「小さい農地なら簡単に買えるようになった」
と理解されることがあります。
しかし、これは正確ではありません。
廃止されたのはあくまで面積に関する要件です。
現在も、
・全部効率利用
・農作業への常時従事
・地域との調和
といった許可要件は残っています。
例えば500㎡の畑であっても、
「購入後は何もしません」
「年に一度草刈りだけします」
「遠方に住んでいて、ほとんど来られません」
という計画であれば、農地を継続的に耕作する計画として問題になる可能性があります。
反対に、農業経験がない人でも、
「この住宅へ移住し、隣接する畑で年間を通して野菜を栽培します」
「必要な農作業は本人と家族で行います」
「耕運機等は購入予定です」
「農作業が必要な時期に対応できます」
など、実現可能な営農計画を示せるのであれば、許可を検討できる可能性があります。
つまり現在の3条許可では、
面積よりも、取得後の利用実態
がより重要になります。
4. 農地法3条許可の3つの重要条件
4-1. 農地をすべて効率的に利用できること
最初の重要な条件が、「農地のすべてを効率的に利用すること」です。
農地を購入しても、その大部分を放置する予定であれば、農地法の目的に合いません。
農業委員会は、
・取得予定農地の面積
・現在利用している農地
・栽培予定の作物
・農機具
・労働力
・農業経験や技術
・農地までの距離
・現在の営農状況
などから、実際に耕作できるかを確認します。
例えば、農業経験のない人が広大な農地を一人で購入し、
「農機具もありません」
「誰が農作業をするか決めていません」
という状態では、効率的に利用できるのか疑問が生じます。
一方、小規模な農地で、
本人
配偶者
家族
などが作業し、必要な農機具を準備する具体的な計画があれば、判断は変わります。
農機具も必ず購入済みでなければならないという単純なルールではありません。
購入予定、借用予定、農作業委託などを含めて、実際に農地を利用できる計画かどうかが確認されます。
特に新規就農者の場合は、
「農業経験がないから不可」
ではなく、
「経験がない中で、どうやって実際に耕作するのか」
を説明できることが重要です。
4-2. 農作業への常時従事と周辺農地との調和
個人が農地を取得する場合には、必要な農作業へ常時従事することも重要な条件です。
農林水産省は、その判断基準として原則年間150日以上を示しています。
ただし、ここは非常に誤解されやすいところです。
「年間149日なら不許可、150日なら許可」
という機械的な制度ではありません。
農林水産省の農地法運用基準では、年間150日未満であっても、農作業を行う必要がある限り取得者等がその作業へ従事している場合には、「農作業に常時従事する」と認める考え方が示されています。
作物によって必要な作業日数は異なるためです。
例えば、比較的小規模な果樹園と、多くの作業を必要とする露地野菜では、年間の農作業日数が同じとは限りません。
そのため重要なのは、
農作業が必要な時期に本人や世帯員等が適切に作業できるか
です。
もう一つが「周辺の農地利用に支障を与えないこと」です。
例えば、
・地域の水利調整に参加しない
・周辺農地への農道利用を妨げる
・有機農業が行われている地域で周囲へ重大な影響を与える利用を行う
・地域の農地利用の集積・集約化に大きな支障を生じさせる
などは確認対象となります。
農地は一つの土地だけで完結しているとは限りません。
農道、水路、共同作業など地域の農業環境と関係しているため、周辺との調和も審査されます。
5. 会社員・移住者・農業未経験者でも農地を買える?
5-1. 年間150日は絶対的な足切り基準ではない
会社員の方から多いのが、
「平日は仕事をしているため、年間150日も畑に行けません。農地は買えませんか」
という質問です。
先ほど説明したとおり、150日は原則的な判断基準ですが、農作業への従事日数だけで機械的に決まるわけではありません。
農作業が必要な期間や作物、農地面積などを踏まえ、
「必要な農作業に継続して対応できるか」
を確認します。
例えば、会社員であっても、
・勤務日以外に農作業できる
・家族も農作業へ従事する
・農地が自宅の隣にある
・栽培規模が現実的である
・繁忙期には必要な作業時間を確保できる
などの事情があれば、検討できる可能性があります。
一方、
東京に住み続ける
↓
山梨県の農地を購入
↓
年2~3回しか来ない
という状況では、取得後に継続して農地を利用できるかが問題になりやすいでしょう。
ただし、通作距離について「自宅から○km以内でなければ不許可」という全国一律の距離基準があるわけではありません。
実際に通えるのか、必要な農作業を行えるのかという実態が重要です。
そのため、会社員だから不可、遠方居住だから一律不可と判断するのではなく、具体的な営農計画を農業委員会へ相談します。
5-2. 通作距離・農機具・経験・営農計画も確認される
農地を購入するときは、
「許可申請書を書けばよい」
というものではありません。
農業委員会は、取得後に実際に営農できるかを確認します。
自治体や案件によって異なりますが、一般的には、
・取得する農地
・現在所有・利用している農地
・栽培予定作物
・年間の農作業日数
・農作業に従事する人
・農機具の所有・調達状況
・農地までの通作方法
・営農計画
などを申請書や添付資料で確認します。
富士宮市でも、農地法3条許可について、申請書のほか「営農計画書」「耕作計画書」などの様式が公開されています。
農業未経験者の場合は、
「野菜を作りたいです」
だけではなく、
どのくらいの面積で
何を栽培し
誰が
いつ作業し
どのような機械・道具を使い
収穫後どう管理するか
まで考えておく方が、相談を進めやすくなります。
農地取得を目的とするだけの形だけの計画ではなく、実際に継続できる内容であることが重要です。
6. 農地付き住宅を購入するときの注意点
6-1. 家を購入できても農地の3条許可が下りるとは限らない
農地付き住宅では、住宅部分と農地部分を分けて考える必要があります。
例えば、
宅地 300㎡
建物 100㎡
畑 700㎡
という物件を900万円で購入するとします。
宅地と建物については、一般の不動産売買として購入することができます。
しかし、畑700㎡については農地法上の手続きが必要です。
買主が、
「住宅には住みますが、畑は使いません」
という場合、農地法3条の趣旨とは合いません。
したがって、
住宅を購入することができる=付属する農地も必ず購入できる
とは限りません。
農地付き住宅を販売・購入するときには、購入希望者が現れてから初めて農地法を調べるのではなく、できれば事前に、
・農地の面積
・現在の耕作状況
・農地台帳
・農振区分
・3条取得を想定できるか
・5条転用が考えられる土地か
などを確認しておくことが重要です。
株式会社Wakkaでも、農地付き住宅については住宅価格だけを査定するのではなく、農地をどのような条件で次の所有者へ引き継げるかを考えることが重要だと考えています。
6-2. 「家庭菜園」「将来使う」だけでは判断できない
「家庭菜園に使いますと言えば農地を買える」
という説明も注意が必要です。
農地法3条は、取得後にその土地を農地として適切に利用することを求めています。
小規模な農地で自家消費用の野菜を育てる場合であっても、
「家庭菜園という言葉を使えば自動的に許可される」
という制度ではありません。
実際に、
・継続して耕作するのか
・農作業できるのか
・農地全体を利用するのか
が重要です。
同様に、
「将来、定年したら農業をします」
というだけで、現在何も利用しない農地を取得できるとは限りません。
3条許可は原則として取得後の農地利用を審査する制度だからです。
反対に、本格的な販売農家として大規模経営する予定がなくても、取得する農地を継続して耕作できる具体的な計画がある場合には、3条許可を検討できます。
分からない場合には、
「この使い方なら3条許可の対象として検討できるか」
を売買契約前に農業委員会へ相談することが重要です。
7. 農地を購入する具体的な流れ
7-1. 事前相談・売買契約・3条許可申請まで
農家ではない人が農地を購入するときの一般的な流れを整理します。
1.購入する土地が農地か確認する
登記事項証明書だけでなく、現況や農地台帳等も確認します。
登記地目が「畑」「田」であれば当然重要ですが、農地法上の農地かどうかは現況も含めて判断されます。
2.農地の利用目的を決める
購入後も農地として耕作するのか、転用するのかを確認します。
農地として使うなら3条、農地以外として使うなら5条等を検討します。
3.農業委員会へ事前相談する
特に新規参入者は、売買契約を確定する前に相談することをおすすめします。
本人の職業、居住予定、農作業日数、栽培計画などを説明します。
4.営農計画を整理する
何を栽培するのか、農機具、労働力、通作方法等を整理します。
5.売買条件を決める
農地法3条許可が必要な売買では、許可が得られなかった場合を考慮して契約条件を設定します。
実務では、農地法3条許可の取得を前提とした契約とし、許可が得られなかった場合の契約や手付金の取扱いなどを明確にしておく方法があります。
6.3条許可を申請する
原則として、農地の所在する市町村の農業委員会へ申請します。
農林水産省の現行案内でも、個人・法人が農地を売買または貸借する場合には、原則としてその農地が所在する市町村の農業委員会の許可が必要とされています。
提出期限や必要書類、審査日程は各農業委員会で異なるため、事前確認が必要です。
7-2. 許可後の決済・所有権移転と専門家の役割
農地法3条の許可が得られたら、残代金の支払いと所有権移転へ進みます。
農地の所有権移転登記については、司法書士へ依頼することが一般的です。
農地法3条の許可を受けたことを確認できる情報も登記手続きで必要となります。
農地付き住宅を購入する場合には、
宅地
建物
農地
の所有権移転を同じ決済日に行えるよう準備するケースもあります。
また、売主側に、
相続登記未了
抵当権
境界問題
未登記建物
などがある場合は、これらも決済までに整理する必要があります。
専門家の役割を簡単に分けると、
不動産会社
物件調査、査定、媒介、売買契約、条件調整
農業委員会
農地法3条許可の審査・農地に関する相談
行政書士
農地法許可申請など行政手続に関する書類作成・代理等
司法書士
売買による所有権移転登記、相続登記、抵当権抹消等
土地家屋調査士
分筆、地積更正、境界・測量、転用後の地目変更等
となります。
農地を買うときに重要なのは、不動産会社だけで農地法の許可を決定できるわけではないことです。
最終的な3条許可は農業委員会が判断します。
8. まとめ|農家でなくても農地取得は検討できる
8-1. 購入前に確認したい8つのチェックポイント
最後に、農家ではない人が農地を購入するときに確認したいポイントを整理します。
1.農地を本当に耕作する予定があるか
農地法3条は農地として利用するための権利取得です。
2.取得する農地をすべて利用できるか
一部だけ使い、大半を放置する計画では問題になる可能性があります。
3.必要な農作業へ継続して従事できるか
原則年間150日という判断基準がありますが、150日未満でも農作業が必要な限り適切に従事できるかを含めて判断されます。
4.農地まで継続して通えるか
全国一律の距離だけで決まるわけではありませんが、現実的に農作業できる場所か確認します。
5.農機具や労働力を確保できるか
購入・借用・家族の協力などを含めて計画します。
6.周囲の農業へ支障を与えないか
農道、水利、共同作業など地域の農業環境も確認します。
7.本当に3条でよいのか
農業をせず、駐車場や住宅敷地等として利用するなら5条転用等を検討します。
8.売買契約前に農業委員会へ相談したか
特に新規参入者や農地付き住宅の購入では、早めの相談が重要です。
そして最も重要な制度変更として、
2023年4月1日から農地法3条の下限面積要件は廃止されています。
したがって、
「50アール持っていないから農地を買えない」
「小さい畑だから取得できない」
という判断は、現在の制度では適切ではありません。
その一方で、
「面積要件がなくなったから誰でも買える」
というわけでもありません。
現在は、
取得した農地をきちんと使える人かどうか
がより重要になります。
8-2. 農地付き住宅は早めに農業委員会へ相談する
山梨県南部町や身延町などの地方で農地付き住宅を探す方の中には、
「都会から移住して小さな畑をしたい」
「仕事を続けながら自宅の横で野菜を育てたい」
「定年後に少しずつ農業を始めたい」
という方もいます。
こうした希望があるからといって、農家ではないことだけを理由に農地購入を諦める必要はありません。
現在の農地法3条では、「農家」という肩書そのものより、農地を適切に利用できる計画や実態が重視されます。
一方で、農地付き住宅の広告を見て、
「家を買えば畑も自動的に自分のものになる」
と考えることもできません。
農地部分については、別途3条許可を受けられるか確認する必要があります。
株式会社Wakkaが拠点を置く南部町をはじめ、峡南地域では、住宅と農地が一体となった不動産もあります。
株式会社Wakkaは南部町と空き家対策に関する協定を結んでおり、空き家を次の住まいへつなぐ際にも、農地が付いている場合は住宅部分だけではなく、農地の引継ぎ方法まで含めて考えることを重視しています。
また、
相続登記が終わっていない
建物が未登記
農地との境界が分からない
残置物が多い
農地が何筆もある
といった問題があっても、それぞれを整理することで売買方法を検討できる場合があります。
農地付き住宅を買いたい方は、
物件を見つける
↓
農地の状況を確認する
↓
自分の営農計画を考える
↓
農業委員会へ事前相談する
↓
3条許可の見通しを確認する
↓
売買契約・許可申請
↓
決済・所有権移転
という順番を意識してください。
売主側についても、
「農家ではない人には売れない」
と決めつけるのではなく、購入希望者がどのように農地を利用する予定なのかを確認し、農業委員会と相談しながら進めることが重要です。
農地法は、単に農地取引を難しくするための制度ではありません。
限られた農地を適切に利用する人へ引き継ぎ、地域の農業利用を守るための制度です。
農家ではない方が農地購入を検討するときは、
「自分は農家ではないから買えないのではないか」
ではなく、
「この農地を継続して適切に利用できる計画を説明できるか」
という視点から考えてみてください。
株式会社Wakka
住所:〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
株式会社Wakka
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