農地付きの家は売却できる?農地法3条・5条と売買手続きを不動産会社が解説

農地付きの家は売却できる?農地法3条・5条と売買手続きを不動産会社が解説

農地付きの家は売却できる?農地法3条・5条と売買手続きを不動産会社が解説


地方の実家や空き家を売却しようとしたところ、住宅の敷地だけでなく、隣接する畑や田も一緒に所有していたことが分かる場合があります。

「家と畑をまとめて売りたい」

「農家ではない人でも購入できるのか」

「家は売れるのに畑だけ売れないと言われた」

「農地法3条と5条の違いが分からない」

「使っていない畑なので宅地として売れないのか」

このような疑問を持つ方は少なくありません。


結論からいうと、農地付きの家でも売却することはできます。

ただし、住宅の敷地である「宅地」と、田・畑などの「農地」は、法律上まったく同じように所有権を移転できるわけではありません。

農地を農地のまま買主へ譲る場合には、原則として農地法第3条の許可が必要です。


一方、農地を駐車場や住宅敷地など農地以外の用途へ変更しながら買主へ所有権を移す場合には、原則として農地法第5条の許可が関係します。市街化区域内の農地では、一定の場合に許可ではなく、あらかじめ農業委員会へ届出を行う仕組みになっています。


そのため、「農地付き住宅を売りたい」ときは、単に家の査定価格を決めるだけではなく、

・どの土地が宅地で、どの土地が農地なのか
・農地を買主が今後も耕作するのか
・農地を住宅敷地などへ転用するのか
・買主が農地法3条の要件を満たせるのか
・農地転用できる土地なのか
・農業振興地域の農用地区域に入っていないか

などを先に確認することが重要です。


また、「農家でなければ農地を買えない」「50アール以上耕作しなければ農地を買えない」といった説明を見かけることがありますが、現在の制度では注意が必要です。


農地法3条に以前存在した原則50アールなどの下限面積要件は2023年4月1日に廃止されています。

現在は、取得後に農地を効率的に利用できるか、必要な農作業に常時従事できるか、周辺農地の利用に支障を与えないかなどを農業委員会が確認します。


したがって、農業経験のない移住希望者や小規模な農業を始めたい人でも、条件を満たせば農地を取得できる可能性があります。

この記事では、農地付き住宅を売却するときに知っておきたい農地法3条・4条・5条の違い、買主の条件、農地転用、農振除外、売買契約から所有権移転までの具体的な流れを、不動産会社の視点から分かりやすく解説します。


株式会社Wakka


株式会社Wakkaは、山梨県南部町に拠点を置き、不動産売却、空き家、相続不動産、中古住宅、土地、農地付き住宅などのご相談に対応する不動産会社です。

地方の相続不動産では、住宅だけでなく、敷地の隣に畑や田、山林、道路状の土地などを一緒に所有していることがあります。


株式会社Wakkaでは、単に「家はいくらで売れるか」だけではなく、農地法、相続登記、未登記建物、境界、接道、残置物などを確認し、売却までに何を整理する必要があるのかを考えることを重視しています。

必要に応じて、農業委員会や行政機関への確認のほか、司法書士、土地家屋調査士、税理士、行政書士など専門家との連携も検討します。


また、株式会社Wakkaは南部町と空き家対策に関する協定を結んでいます。地域の空き家を次の所有者や移住希望者へつなげるとき、農地付き住宅では住宅部分の売却だけでなく、農地をどのように引き継ぐかまで考えることが重要です。


南部町・身延町など峡南地域のほか、静岡県富士宮市・富士市周辺の農地付き住宅や相続不動産についてもご相談を承っています。


株式会社Wakka
住所:〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507

電話番号:0556-64-8064


目次


  1. 農地付きの家は売却できる?

    1. 宅地と農地は別々に考える必要がある

    2. 登記地目だけで農地かどうかを判断しない

  2. 農地法3条とは?農地を農地のまま売る場合

    1. 農地法3条許可の基本的な考え方

    2. 「農家でないと買えない」「50a必要」は現在どうなっている?

  3. 農地法5条とは?農地を転用して売る場合

    1. 3条・4条・5条の違いを整理する

    2. 市街化区域と市街化調整区域などで手続きが異なる

  4. 農地ならどこでも5条転用できるわけではない

    1. 農振農用地区域・甲種農地・第1種農地などを確認する

    2. 「耕作放棄地」「農振白地」なら自由に転用できるとは限らない

  5. 農地付き住宅を売る前に調べること

    1. 土地の筆・地目・農地台帳・農振区分を確認する

    2. 境界・接道・水路・耕作者・賃借権なども確認する

  6. 買主が農家ではない場合はどうする?

    1. 農地を耕作するなら3条許可の可能性を検討する

    2. 農地を住宅敷地等として使うなら5条転用を検討する

  7. 農地付き住宅を売却する具体的な流れ

    1. 査定・事前相談・売買契約から農地法申請まで

    2. 許可後の決済・所有権移転で注意すること

  8. まとめ|農地付き住宅は「買主を決める前の調査」が重要

    1. 不動産会社・農業委員会・専門家の役割

    2. 農地があるから売れないと決めつけない

1. 農地付きの家は売却できる?


1-1. 宅地と農地は別々に考える必要がある


農地付きの家でも売却は可能です。

ただし、住宅が建っている宅地と、田や畑については所有権移転のルールが異なります。


例えば、次のような不動産を一人の所有者が持っているとします。

宅地 300㎡
居宅 100㎡
畑 500㎡
田 300㎡

売主としては、

「全部まとめて1,000万円で売りたい」

と考えるかもしれません。


売買契約書へこれらをすべて記載して一つの取引として扱うこと自体は考えられますが、農地部分の所有権を買主へ移すためには、農地法上の手続きをクリアしなければなりません。

農地を今後も農地として利用するのであれば農地法3条、農地以外として利用するために権利を移転するのであれば農地法5条が中心になります。


つまり、農地付き住宅では、

住宅を買える人

と、

その農地を取得できる人

が必ずしも同じ条件ではないことがあります。


例えば、住宅だけなら一般の会社員でも問題なく購入できます。

しかし、隣の畑も農地として取得するのであれば、買主について農地法3条の許可要件が審査されます。

そのため、農地付き住宅は通常の中古住宅より、購入希望者が見つかった後の手続きが複雑になりやすい傾向があります。


重要なのは、販売開始前に、

「この畑は3条で売るのか」

「5条転用を想定するのか」

をある程度整理しておくことです。


1-2. 登記地目だけで農地かどうかを判断しない


農地法を考えるときに注意したいのが、登記簿上の「地目」だけでは農地法の適用を判断できないという点です。

土地の登記事項証明書には、

宅地


山林
雑種地

などの地目が記録されています。


しかし、農地法上の「農地」に当たるかどうかは、原則として土地の現況を基に判断されます。


例えば、登記地目が「原野」でも、現地では長年畑として耕作されている場合には、農地法の対象となることがあります。

反対に、登記地目が「畑」だからといって、所有者の判断だけで、

「何十年も耕作していないから農地ではない」

と決めることも適切ではありません。


長期間耕作されず、森林化・原野化している土地については、農業委員会による非農地判断などが関係する場合があります。


売主が勝手に農地ではないと判断して売却するのではなく、農業委員会へ確認することが重要です。


農地付き住宅を査定するときには、

登記地目

だけでなく、

現況

固定資産税資料

農地台帳

農振法上の区分

なども確認していきます。


2. 農地法3条とは?農地を農地のまま売る場合


2-1. 農地法3条許可の基本的な考え方


農地法3条は、農地を農地として利用する目的で、所有権を移転したり、賃借権などを設定したりする場合の制度です。

例えば、

売主 畑を所有

買主 購入後も畑として耕作

という場合です。


農地法では、農地について所有権を移転する場合、原則として当事者が農業委員会の許可を受ける必要があります。

そして、必要な3条許可を受けないまま行った農地の権利移転は、法律上その効力を生じません。

そのため、一般的な土地売買のように、

売買契約

代金支払い

所有権移転登記

と自由に進められるわけではありません。


農地付き住宅の売買では、農地法の許可を取得できることを前提として売買契約を締結し、許可後に残代金決済・所有権移転を行う方法が一般的です。


農地法3条で個人が農地を取得する場合には、主に、

・取得する農地を含め、農地を効率的に利用できるか
・必要な農作業に常時従事できるか
・周辺地域の農地利用へ支障を与えないか

などが確認されます。


農作業への常時従事について、農林水産省は原則年間150日以上を一つの基準として示しています。

ただし、150日に満たない場合でも、農作業が必要な時期に必要な作業へ従事できる状況などを踏まえて判断されるため、単純に「149日なら不許可」という仕組みではありません。

具体的な営農計画や生活拠点、農機具、労働力などを農業委員会へ説明することになります。


2-2. 「農家でないと買えない」「50a必要」は現在どうなっている?


農地付き住宅の購入希望者からよく出る質問が、

「私は農家ではありませんが、畑も買えますか」

というものです。

ここは制度改正もあり、古い情報に注意が必要です。


以前の農地法3条には、農地を取得した後の経営農地面積について、原則50アール以上などとする「下限面積要件」がありました。

地域によっては、空き家に付属する小さな農地について農業委員会が10アール、1アールなど別段の面積を設定していたこともあります。

しかし、この下限面積要件は2023年4月1日に廃止されました。


小さな畑であっても、その他の3条許可要件を満たせば取得できる可能性があります。

これは、地方の農地付き空き家を購入したい移住希望者にとって重要な変更です。


ただし、

下限面積要件がなくなった=誰でも簡単に農地を買える

という意味でもありません。

例えば、住宅を購入した会社員が、

「畑は管理しません」

「年に1回しか現地へ行きません」

「誰が耕作するか決まっていません」

という状態では、農地を適切に利用する計画として認められない可能性があります。


反対に、これまで農家ではなかった人でも、

・住宅へ移住する
・畑を継続して耕作する
・必要な農作業を行う時間がある
・農機具や作業方法を準備している
・周囲の農地利用にも配慮する

といった具体的な営農計画を立てることで、3条許可を検討できる可能性があります。

したがって、「農家かどうか」という肩書だけではなく、取得後に農地を適正に利用できるかを見ることが重要です。


3. 農地法5条とは?農地を転用して売る場合


3-1. 3条・4条・5条の違いを整理する


農地法3条・4条・5条は名前が似ているため、混同されやすい制度です。


簡単に整理すると次のようになります。

農地法3条

農地を農地のまま他人へ売る・貸す場合。

例:
畑を購入した人が引き続き畑として耕作する。


農地法4条

所有者本人が、自分の農地を農地以外へ転用する場合。

例:
自分の畑を自分で駐車場へ変更する。


農地法5条

農地を農地以外へ転用することを目的として、所有権移転や賃借権設定などを行う場合。


例:
売主の畑を買主が購入し、その土地を住宅敷地や駐車場として利用する。

農地付き住宅の売却では、3条か5条が特に問題になります。

例えば、住宅横の300㎡の畑について、

買主がそのまま野菜を栽培
→3条を検討

買主が住宅の駐車場として利用
→5条を検討

という違いです。


売主があらかじめ自分で農地転用したうえで土地として販売する方法なら、4条が関係することがあります。

ただし、4条・5条の転用許可を取得しただけで、登記地目が自動的に「宅地」や「雑種地」へ変更されるわけではありません。

実際に転用工事を行い、土地の現況が変わった後に、必要に応じて土地地目変更登記を行います。

地目変更登記は土地家屋調査士の専門分野です。


3-2. 市街化区域と市街化調整区域などで手続きが異なる


農地法5条は、どの地域でも同じ手続きになるわけではありません。

市街化区域内の農地については、農地転用を目的とする権利移転の場合、原則としてあらかじめ農業委員会へ5条の届出を行うことで、転用許可は不要となります。


一方、市街化区域外では、原則として農地転用許可が必要です。

許可権者は都道府県知事または農林水産大臣の指定を受けた指定市町村などとなります。

例えば富士宮市では、市街化区域内の農地については4条・5条の届出、市街化調整区域内では4条・5条の許可申請という形で案内されています。


つまり、同じ「富士宮市の農地付き住宅」であっても、

市街化区域なのか
市街化調整区域なのか

によって手続きが異なります。


山梨県南部町や身延町のような地域についても、農地の位置づけを農業委員会や農政担当課で確認する必要があります。

なお、「市街化区域なら何をしてもよい」という意味ではありません。

農地法の転用許可が届出扱いになったとしても、都市計画法、建築基準法、道路、造成、排水など別の法令制限は残ります。

農地法5条だけ確認して売却可能と判断しないことが重要です。


4. 農地ならどこでも5条転用できるわけではない


4-1. 農振農用地区域・甲種農地・第1種農地などを確認する


農地付き住宅を、

「買主が農業をしなくても、畑を宅地に変えれば売れる」

と考えることがあります。

しかし、すべての農地が自由に転用できるわけではありません。

農地転用許可制度では、優良な農地を守るため、農地の位置・整備状況などにより転用の可否が判断されます。

特に重要なのが「農用地区域内農地」です。


市町村が農業振興地域整備計画で、将来にわたって農業利用を確保すべき土地として設定している農用地区域は、一般に「農振青地」と呼ばれます。

農用地区域内農地は、原則として農地転用が認められません。

転用を検討する場合には、まず農用地区域から除外する「農振除外」が必要となることがあります。


ただし、

「申請すれば必ず農振除外できる」

わけではありません。

農振除外にも条件があるため、除外できなければ住宅敷地等への転用が難しい場合があります。

また、農用地区域外であっても、

甲種農地
第1種農地
第2種農地
第3種農地

など農地の区分によって許可方針が異なります。

例えば優良な第1種農地は原則として転用が制限され、例外的に認められる用途が定められています。


そのため、売主が、

「家の隣だから宅地へ変えられるだろう」

と判断せず、農業委員会等へ事前確認することが重要です。


4-2. 「耕作放棄地」「農振白地」なら自由に転用できるとは限らない


農地売却でよくある誤解が、

「何十年も畑として使っていないから転用許可はいらない」

というものです。

長期間耕作されていない土地でも、農地法上の農地として扱われている場合があります。


雑草が生えているだけの状態を所有者が自分で、

「もう農地ではない」

と判断することはできません。

荒廃状況によっては農業委員会が非農地と判断する制度もありますが、土地ごとの確認が必要です。


もう一つが「農振白地」です。

農業振興地域の中でも農用地区域に指定されていない土地などを、一般に農振白地と呼ぶことがあります。

青地から外れているため転用の可能性は高くなることがありますが、

白地=必ず転用許可が下りる

という意味ではありません。

農地転用では、

・農地の区分
・周辺の土地利用
・転用目的
・必要な資金
・事業を実施できる可能性
・周辺農業への影響
・排水計画

なども審査されます。


そのため、農地付き住宅の販売前に、

「5条で転用できる前提の価格」

を決めてしまうのではなく、行政へ転用可能性を確認してから販売条件を考える方が安全です。


5. 農地付き住宅を売る前に調べること


5-1. 土地の筆・地目・農地台帳・農振区分を確認する


農地付き住宅を売却するときは、まず所有している土地を一筆ずつ整理します。

例えば固定資産税の課税明細を見ると、

123番1 宅地 400㎡
123番2 畑 250㎡
124番 田 700㎡
125番 山林 1,000㎡

というように複数の土地が記載されている場合があります。


登記事項証明書、公図、固定資産税資料などを確認し、現地と照合します。

農地についてはさらに、

・農地台帳にどのように登録されているか
・農業振興地域か
・農用地区域内か
・農地転用の区分は何か
・都市計画区域上の位置づけはどうか

を確認します。


農林水産省の「eMAFF農地ナビ」でも、公表されている農地情報や農振法上の区分などを確認できます。

ただし、インターネット上の情報だけで最終判断するのではなく、具体的な売却や転用を予定する場合は農業委員会等への確認が必要です。

また、相続した農地については、農地法3条の許可を受けて取得する必要はありません。


相続そのものは3条許可の対象外ですが、相続等によって農地の権利を取得した場合には、農地法3条の3に基づき、その農地の所在する農業委員会へ届出が必要です。

農林水産省は相続発生日からおおむね10か月以内の届出を案内しています。

これは法務局で行う相続登記とは別の手続きです。


5-2. 境界・接道・水路・耕作者・賃借権なども確認する


農地法上売却できるとしても、不動産としての調査が終わったわけではありません。

農地付き住宅では、一般的な中古住宅以上に土地の利用関係を確認する必要があります。


例えば、

住宅敷地と畑の境界が分からない
畑へ入るために第三者の土地を通っている
敷地の間に水路がある
畑の一部を近所の人へ貸している
第三者が無償で耕作している
農業用水路の管理負担がある

といったケースがあります。


特に、農地に賃借権などが設定されている場合には、売却前に権利関係の整理が必要になることがあります。


口頭で、

「近所の方に畑を使ってもらっているだけ」

と思っていても、実際の利用状況によって確認事項が生じます。

また、住宅と農地を一括で売る場合は、農地だけ所有権移転が遅れることがないよう、契約条件を組み立てることも重要です。


例えば、

「住宅と宅地の決済だけ先に行い、畑について3条許可が下りなかった」

となると、買主は住宅だけ取得し、売主が隣の畑を持ち続けることになります。

最初からセット売却を前提としているなら、農地法許可を売買契約の重要な条件として設定する方法を検討します。


6. 買主が農家ではない場合はどうする?


6-1. 農地を耕作するなら3条許可の可能性を検討する


地方の農地付き住宅では、

「家庭菜園をしたい」

「移住後に野菜を育てたい」

という購入希望者が現れることがあります。

農業経験がないからといって、直ちに農地を購入できないわけではありません。

先ほど説明したとおり、農地法3条の下限面積要件は2023年4月に廃止されています。

そのため、小規模な農地付き住宅についても取得の可能性を検討しやすくなっています。


ただし、買主が、

「畑は付いてくるので仕方なく買います」

「実際には耕作する予定はありません」

という状態で3条許可を受けようとするのは問題があります。

3条は、農地を農地として適正に利用する人へ権利を移転するための制度だからです。

購入希望者には、

・何を栽培する予定か
・誰が農作業をするか
・年間どの程度作業するか
・農機具はどうするか
・現在の仕事との両立は可能か
・農地まで通えるのか

など、具体的な営農計画が求められることがあります。


週末農業であっても、それだけで直ちに不許可と決まるわけではありませんが、必要な農作業を適切に行えるかを説明できることが重要です。

購入前に買主本人が農業委員会へ相談することも有効です。


6-2. 農地を住宅敷地等として使うなら5条転用を検討する


買主が農業をする予定がない場合には、

「5条で転用できないか」

を検討します。

例えば住宅の隣の畑を、

・駐車場
・住宅の庭や敷地
・進入路
・資材置場

など農地以外の用途に変更する場合です。


この場合、3条ではなく5条の転用手続が問題になります。

しかし、買主が、

「農業はしないので5条で転用します」

と言えば必ず認められるものでもありません。


そもそも転用可能な農地なのかを確認する必要があります。

また、住宅敷地へ転用できるとしても、建築基準法上の接道、都市計画法上の建築制限、排水、造成など別の問題がある場合があります。

特に市街化調整区域では、農地法5条の許可が得られるかだけではなく、その土地を予定している住宅用途等に利用できるかを都市計画担当部署にも確認することが重要です。

したがって、

農地法5条が通る=家が建てられる

ではありません。

農地法と建築・都市計画の両面を確認します。


7. 農地付き住宅を売却する具体的な流れ


7-1. 査定・事前相談・売買契約から農地法申請まで


農地付き住宅を売却するときの一般的な流れを整理します。

1.所有不動産を確認する

登記事項証明書、公図、固定資産税課税明細などから、宅地・農地・山林等を整理します。

2.現地と照合する

家の敷地、畑、田、道路、水路などを確認します。

3.農業委員会等へ事前相談する

農地を3条で売るのか、5条転用できる可能性があるのか、農用地区域内農地ではないかなどを確認します。

南部町でも農地の権利移動や転用について、事前に農業委員会へ相談するよう案内しています。

4.不動産査定を行う

住宅部分だけではなく、農地をどの条件で引き継げるかを考えたうえで売却価格を検討します。

5.販売方法を決める

例えば、

住宅+農地を3条でセット販売
住宅+5条転用予定地として販売
住宅だけ売却し、農地は別の農業者へ売却・貸付け

などを比較します。

6.購入希望者の利用目的を確認する

「農地として使うのか」

「転用するのか」

によって必要な許可が変わります。

7.売買条件を調整する

農地法の許可が得られることを前提条件とし、許可されなかった場合の契約の扱い、手付金の返還などを明確にします。

8.農地法3条または5条の申請を行う

3条では売主・買主など当事者が農業委員会へ申請します。


5条では、転用を目的とした権利移転について譲渡人と譲受人が申請します。

行政書士へ申請書類の作成・代理等を依頼する場合もあります。

申請に必要な書類や受付時期は農業委員会ごとに確認します。


7-2. 許可後の決済・所有権移転で注意すること


農地法の許可が得られたら、決済・所有権移転へ進みます。

農地の所有権移転登記については司法書士へ依頼することが一般的です。

農地法上必要な許可を取得していなければ、農地の所有権移転を有効に完了できないため、許可状況を確認したうえで決済します。

住宅+宅地+農地を一括で売却する場合は、

宅地の所有権移転
建物の所有権移転
農地の所有権移転

を同じ決済日に行えるよう準備する方が分かりやすいケースが多いでしょう。


ただし、相続登記、境界、未登記建物、抵当権抹消など別の手続が残っている場合は、これらも同時に整理します。

また、5条許可を受けて農地を転用する場合には、許可後に計画どおり転用を実施する必要があります。

許可を取得しただけで農地が宅地になるわけではありません。

転用完了後、土地の現況が変われば地目変更登記を行うことがあります。


この登記を扱う専門家は土地家屋調査士です。

農地付き住宅では、

売買契約

3条・5条手続

許可

決済

所有権移転

必要に応じて転用工事・地目変更

というように、通常の中古住宅より工程が増える場合があります。

そのため、最初から余裕を持った売却スケジュールを考えることが重要です。


8. まとめ|農地付き住宅は「買主を決める前の調査」が重要


8-1. 不動産会社・農業委員会・専門家の役割


農地付き住宅の売却では、一つの専門家だけですべてを判断するわけではありません。


それぞれの役割を整理しておきましょう。

不動産会社

・住宅と土地の査定
・農地を含めた販売方法の検討
・媒介契約
・購入希望者の募集
・売買条件の調整
・農地法許可を考慮した契約・決済スケジュールの整理

を担当します。

農業委員会・農政担当部署

・3条許可の相談
・4条・5条転用の相談
・農地台帳
・農地の利用状況
・農地転用や農振制度の確認

などの相談先になります。

司法書士

・相続登記
・売買による所有権移転登記
・抵当権抹消登記

など権利に関する登記を扱います。

土地家屋調査士

・土地分筆
・地積更正
・境界・測量
・転用後の地目変更登記

などを扱います。

行政書士

農地法の許可申請など、行政手続に関する書類作成や代理を業務として取り扱うことがあります。

ただし、売買による所有権移転登記や相続登記を代理する専門家として説明するものではありません。

税理士

農地や住宅を売却した後の譲渡所得税、相続税など税務相談・申告を扱います。

農地付き住宅では、

不動産会社
+農業委員会
+必要な専門家

がそれぞれの役割を確認しながら進めることが重要です。


8-2. 農地があるから売れないと決めつけない


農地付き住宅を売却するときに最も避けたいのは、

「農地が付いているから普通の人には売れない」

と最初から諦めてしまうことです。

2023年4月に3条許可の下限面積要件が廃止されたことで、小規模な農地を取得して農業へ新規参入することについては、以前より検討しやすい制度になっています。

農業経験がない移住希望者でも、農地を適切に利用する計画があれば、3条許可を検討できる可能性があります。

一方で、

「下限面積がなくなったから誰でも畑を買える」

という考えも正しくありません。

農地を農地として引き継ぐなら、農地を効率的に利用し、必要な農作業へ従事することなどの条件があります。

買主が農業をしないのであれば、5条転用を検討します。

ただし、農振農用地区域や優良農地では転用が難しい場合があります。


したがって、農地付き住宅を売却する場合は、

1.土地を一筆ずつ確認する

宅地・田・畑・山林などを整理します。

2.農地の現況と農地台帳を確認する

登記地目だけで判断しません。

3.農振区分・転用可能性を確認する

農業委員会等へ相談します。

4.3条で売るのか、5条を利用するのか考える

買主の利用目的によって変わります。

5.売却方法と価格を決める

農地の条件を踏まえて査定します。

6.購入希望者の利用計画を確認する

農業をするのか、転用するのかを確認します。

7.農地法許可等を売買契約の条件にする

許可されなかった場合の扱いも明確にします。

8.許可後に決済・所有権移転へ進む

という順番で考えることが重要です。


株式会社Wakkaが拠点を置く山梨県南部町や身延町などの峡南地域には、住宅の隣に畑や田が付いた不動産もあります。

静岡県富士宮市周辺でも、住宅と農地を一緒に所有している不動産では、市街化区域・市街化調整区域、農地転用などを確認しながら売却を進める必要があります。


株式会社Wakkaでは、南部町との空き家対策に関する協定で培う地域課題への視点も踏まえ、農地付き住宅について、

「農地だから売れません」

と最初から判断するのではなく、

住宅と農地をどのような形なら次の所有者へ引き継げるのか

を整理することを重視しています。

場合によっては住宅と農地を一緒に売る方法だけでなく、

住宅は住宅購入者へ売却
農地は別の農業者へ売却・貸付け

という方法も検討できます。

農地付きの実家を相続した。

使っていない畑が住宅の隣にある。

農家ではない購入希望者から問い合わせがあった。

農地法の手続きが分からない。

このような段階でも、不動産会社へ売却相談を始めることはできます。


先に買主を探してから農地法の問題に気付くのではなく、

農地の状況を調べる

3条・5条のどちらが考えられるか確認する

売却方法を決める

条件に合う買主を探す

という順番で進めることが、農地付き住宅を円滑に売却するための重要なポイントです。

株式会社Wakka
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山梨県南巨摩郡南部町本郷6507

電話番号:0556-64-8064



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