相続した空き家は何から始める?不動産を放置するリスクと売却までにやること7選
相続した空き家は何から始める?不動産を放置するリスクと売却までにやること7選
親や親族が亡くなり、実家や土地を相続することになったものの、「空き家を相続したら何から始めればよいのか分からない」「売るか残すかまだ決められない」「相続登記も片付けも終わっていない」という方は少なくありません。
相続した空き家への対応で重要なのは、最初から「売る」「解体する」「全部片付ける」と決めてしまわないことです。
相続直後には、相続人や遺言書の確認だけでなく、預貯金や借入金を含めた相続財産全体の確認が必要です。相続放棄を検討する可能性がある場合には、原則3か月という期限もあります。
さらに、不動産を相続した場合には相続登記が義務化されており、古い空き家では未登記建物、境界、接道、農地、残置物、浄化槽、雨漏りなど、売却前に整理すべき問題が見つかることもあります。
一方で、空き家を何年も放置すると、建物の劣化だけでなく、草木の繁茂、害虫、倒壊、近隣への影響、売却条件の悪化などにつながる可能性があります。一定の状態になり、市区町村から「管理不全空家等」や「特定空家等」として勧告を受けると、土地に適用されていた固定資産税等の住宅用地特例から外れる場合もあります。
そこでこの記事では、相続した空き家について「最初に何を確認すればよいのか」から、管理、相続登記、不動産調査、査定、売却、税金まで、実際の順番に沿って解説します。
結論から整理すると、相続した空き家でやることは次の7つです。
相続財産と借金を確認し、相続するか判断する
遺言書と相続人を確認し、誰が不動産を取得するか整理する
相続登記を進める
売るまでの間も空き家を適切に管理する
土地・建物・権利関係を調査する
片付けや解体の前に査定を受け、売り方を決める
売却条件を整理し、販売・契約・引渡し・税務まで進める
この順序を意識すると、「先に費用をかけたのに必要なかった」「売却直前になって登記や境界の問題が見つかった」といった失敗を減らしやすくなります。
株式会社Wakka
株式会社Wakkaは、山梨県南部町に拠点を置き、空き家、相続不動産、中古住宅、土地などの売却相談に対応する不動産会社です。
相続した空き家では、単純に査定して販売するだけではなく、相続登記未了、未登記建物、境界、接道、農地、残置物、登記と現況の相違などを整理しなければならないことがあります。
株式会社Wakkaでは、こうした問題について、必要に応じて司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁護士などの専門家と連携しながら、不動産会社として売却までに何を整理する必要があるかを確認することを重視しています。
また、株式会社Wakkaは南部町と空き家対策に関する協定を結んでいます。相続後に使われなくなった実家を放置せず、管理、売却、活用など次の選択肢につなげるため、不動産実務の立場から課題を整理していくことも重要な役割の一つと考えています。
南部町だけでなく、身延町など峡南地域や、静岡県富士宮市・富士市周辺の相続不動産についてもご相談を承っています。
株式会社Wakka
住所:〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
目次
相続した空き家は何から始める?最初に知っておきたい考え方
売却や片付けより先に相続全体を確認する
「今すぐ決めること」と「後から決められること」を分ける
相続した空き家を放置する6つのリスク
建物劣化・近隣トラブル・管理不全空家等のリスク
税金・売却・相続人増加のリスク
やること①②|相続財産・遺言書・相続人を確認する
相続放棄を検討するなら原則3か月を意識する
誰が空き家を相続するのかを確定する
やること③④|相続登記と空き家管理を進める
相続登記は2024年4月から義務化
売却するまでの間も最低限の管理を行う
やること⑤|売却前に土地・建物を調査する
登記・境界・接道・農地・インフラを確認する
建物・残置物・雨漏り・未登記建物を確認する
やること⑥|片付け・解体の前に査定を受ける
古家付き・現況渡し・解体後売却を比較する
査定額だけでなく売却までの問題点を確認する
やること⑦|販売から売買契約・引渡しまで進める
媒介契約・販売・購入申込みまでの流れ
契約・決済・税金まで確認する
まとめ|相続した空き家は「順番」を決めて動くことが重要
専門家ごとの役割を正しく使い分ける
売るか決めていなくても現状整理から始められる
1. 相続した空き家は何から始める?最初に知っておきたい考え方
1-1. 売却や片付けより先に相続全体を確認する
親が亡くなり実家が空き家になると、「とりあえず荷物を片付けなければ」「固定資産税がかかるので早く売らなければ」と考えがちです。
しかし、相続直後に最初に行うべきことは、不動産の処分ではなく、相続財産全体の確認です。
不動産だけを見て「価値がありそうだから相続する」と判断しても、被相続人に住宅ローン以外の借入金、税金の滞納、保証債務などがある場合があります。
相続では、原則として財産だけでなく債務も承継します。
そのため、預貯金、不動産、有価証券、車などのプラスの財産と、借入金、未払金などのマイナスの財産を確認したうえで、相続をどうするか考える必要があります。
特に相続放棄の可能性がある場合には注意が必要です。
民法上、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に、単純承認、限定承認または相続放棄を選択します。
相続財産の状況を調べても3か月以内に判断できない事情がある場合には、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる制度もあります。
また、相続放棄を検討している段階で、相続財産を売却したり処分したりすると、その行為の内容によっては、相続を受け入れたものと扱われる「法定単純承認」が問題になる可能性があります。
ただし、相続財産を守るための保存行為などは別に扱われるため、「何をしてもいけない」という意味ではありません。
高額な動産の売却や不動産の処分などを検討するときは、相続放棄への影響も含め、弁護士などへ確認してから進めた方が安全です。
1-2. 「今すぐ決めること」と「後から決められること」を分ける
相続が発生すると、やるべきことが多く、「売るか」「貸すか」「自分で使うか」まで一度に決めようとしてしまうことがあります。
しかし、すべてを同時に決める必要はありません。
早めに確認したいのは、相続放棄を検討する必要があるか、遺言書があるか、相続人は誰か、空き家の状態に緊急性がないかといった事項です。
一方で、「家を残すか売るか」「リフォームするか」「解体するか」といった判断は、土地・建物の状態や売却価格を確認してからでも遅くない場合があります。
例えば、建物が古くても中古住宅や古家として購入したい人がいる可能性があります。
反対に、室内をきれいにしても、接道条件や建築制限など土地側に課題があれば、想定していた価格で売れないこともあります。
つまり、相続した空き家では、
「先にお金をかける」のではなく、
「先に状態を調べる」
ことが重要です。
特に残置物処分、解体、測量、大規模修繕などは数十万円からそれ以上の費用になることもあるため、必要性を確認してから進める方が合理的です。
2. 相続した空き家を放置する6つのリスク
2-1. 建物劣化・近隣トラブル・管理不全空家等のリスク
相続した実家をすぐに利用する予定がないとしても、何年もそのままにしてよいわけではありません。
空き家を放置する代表的なリスクの一つが建物の劣化です。
人が生活しなくなると、雨漏りや給排水設備の不具合、湿気、カビ、害虫などが発生していても気付きにくくなります。
台風や大雨の後に瓦や外壁が破損していても、定期的に確認していなければ発見が遅れます。
庭がある住宅では、雑草や庭木が伸び、隣地や道路へ枝が越境することもあります。
郵便物が大量にたまったり、外から見て長期間不在と分かる状態になったりすると、防犯上の問題につながる可能性もあります。
さらに、管理されない状態が続き、周囲へ悪影響を与えるようになると、空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる「空家法」に基づく対応の対象になることがあります。
2023年12月に施行された改正空家法では、従来の「特定空家等」だけでなく、放置すれば特定空家等になるおそれのある状態の空き家について「管理不全空家等」として、市区町村が指導・勧告できる制度が設けられました。
例えば、建物の一部が破損している、屋根や外壁が劣化している、草木の管理が著しく不十分など、そのまま放置することで状態が悪化するおそれがある場合です。
すべての古い空き家が管理不全空家等になるわけではありませんが、「誰も住んでいないから何もしなくてよい」と考えるのは避けた方がよいでしょう。
2-2. 税金・売却・相続人増加のリスク
空き家を放置するもう一つの問題が、時間が経つほど解決が難しくなりやすいことです。
まず固定資産税です。
土地の上に一定の住宅がある場合、その敷地には住宅用地特例が適用され、小規模住宅用地
では固定資産税の課税標準が6分の1になるなどの軽減措置があります。
しかし、管理不全空家等または特定空家等について市区町村から勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から外れることがあります。
ここで注意したいのは、「空き家にしただけで固定資産税が6倍になる」ということではない点です。
建物や土地の評価、都市計画税の有無、負担調整措置などによって実際の税額は変わるため、一律に何倍になるとはいえません。
ただし、住宅用地特例から外れれば土地の税負担が増える可能性があることは理解しておく必要があります。
売却面でも放置は不利になりやすくなります。
相続直後なら雨漏りがなかった住宅でも、数年後には屋根や床が傷み、修繕費や解体費を考慮しなければ売れない状態になることがあります。
また、相続登記をしないまま長期間経過すると、当初の相続人が亡くなり、その子や孫へ相続関係が広がる「数次相続」が発生することがあります。
例えば、当初3人だった相続人が、年月が経つことで6人、10人と増えれば、遺産分割の話し合いや書類収集が複雑になる可能性があります。
「今は困っていない」という理由で放置すると、将来の方が処分しにくくなることがあるのです。
3. やること①②|相続財産・遺言書・相続人を確認する
3-1. やること① 相続財産と借金を確認する
空き家を相続したときに最初に行いたいのが、被相続人の財産と債務の確認です。
不動産については、固定資産税納税通知書や課税明細書、権利証・登記識別情報、登記事項証明書などを確認します。
ただし、固定資産税の課税明細に載っている不動産だけで全てとは限りません。
市区町村をまたいで土地を所有している場合や、固定資産税が課税されない土地がある場合もあるため、必要に応じて名寄帳や登記情報なども確認します。
預貯金、証券、生命保険、借入金、未払金なども合わせて整理します。
相続税についても早めの確認が必要です。
相続税の基礎控除額は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
です。
相続財産等から計算した課税価格の合計額が基礎控除を超え、申告が必要となる場合には、相続税の申告・納税期限は原則として、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。
不動産の売却が終わるまで相続税の申告を待てるわけではありません。
空き家の売却に時間がかかりそうな場合でも、相続税申告の期限は別に管理する必要があります。
相続財産より債務が多い可能性がある場合や、財産状況が全く分からない場合には、3か月の熟慮期間を意識して早めに調査することが重要です。
3-2. やること② 遺言書・相続人・取得者を確認する
次に確認するのが遺言書と相続人です。
遺言書があれば、まず内容と形式を確認します。
公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用しているものなどを除き、自宅などで発見された自筆証書遺言については、家庭裁判所で検認が必要となる場合があります。
遺言書がない場合には、戸籍等を収集して法定相続人を確定します。
例えば、父が亡くなり、配偶者と子2人が相続人だからといって、長男だけの判断で実家全体を売却できるわけではありません。
誰が不動産を取得するかについて遺産分割協議が必要となる場合があります。
売却を前提とする場合には、不動産を誰が取得して売るのか、共有で取得して全員で売るのかなども検討します。
共有名義で相続しても売却は可能ですが、不動産全体を売る際には共有者全員の同意が必要です。
販売価格、値下げ、契約条件、引渡し時期などについて共有者の意見が分かれると、売却が進まなくなる可能性があります。
将来売却することが決まっているのであれば、遺産分割の段階から売却方法を意識しておくことも大切です。
相続人同士で争いがある場合、相続人の所在が分からない場合、遺言書の内容に争いがある場合などは、弁護士への相談を検討します。
4. やること③④|相続登記と空き家管理を進める
4-1. やること③ 相続登記を進める
不動産を相続したら、相続登記を進めます。
相続登記とは、亡くなった人の名義になっている土地や建物を、相続した人の名義へ変更する手続きです。
2024年4月1日から相続登記は義務化されています。
相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、原則として、自分が相続人であることと、その不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、この義務化は2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。
2024年4月1日より前に不動産を相続したことを知っていて、まだ相続登記をしていない場合には、原則として2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
2026年時点では、この経過措置の期限が近づいているため、昔の相続だから関係ないと考えないよう注意が必要です。
遺産分割がすぐにまとまらない場合には「相続人申告登記」という制度もあります。
ただし、相続人申告登記は相続登記の義務を簡易に履行するための制度であり、そのまま不動産を買主へ売却できる所有権の登記ではありません。
実際に売却するためには、誰が取得したかを反映した相続登記が必要になります。
相続登記など所有権に関する登記の専門家は司法書士です。
一方、未登記建物の表題登記、建物の種類・構造・床面積などの変更、建物滅失登記、土地の分筆や地積更正、境界・測量などは土地家屋調査士の専門分野です。
古い空き家では、この2種類の登記問題が同時に見つかることもあるため区別して考えます。
4-2. やること④ 売却するまでの間も空き家を管理する
相続登記や遺産分割に時間がかかっていても、建物の管理は待ってくれません。
売却するかどうか決まっていない段階でも、最低限の管理は行いましょう。
確認したいのは、屋根・外壁・雨樋などの破損、雨漏り、室内の湿気、カビ、害虫、庭木、雑草、郵便物、窓や玄関の施錠などです。
大雨や台風の後には、屋根材の飛散、窓の破損、倒木などが起きていないか確認すると安心です。
水道を止める場合には凍結や設備管理にも注意が必要です。浄化槽や給湯器なども、長期間使用していない場合には、将来の売却時に「現在使用できる」と推測せず、使用状況や点検の有無を正確に説明することが重要です。
遠方に住んでいて頻繁に現地へ行けない場合には、親族や管理サービスなどを利用する方法もあります。
空き家管理で大切なのは、住宅を新品のような状態に維持することではありません。
「状態の悪化をできるだけ早く発見すること」と「周囲へ迷惑をかけない状態を維持すること」が目的です。
株式会社Wakkaが拠点を置く南部町のような地方の空き家では、庭や山林、農地が一緒になっている住宅もあります。
建物だけを見ていると、竹や樹木の越境、耕作されていない農地、進入路など、土地側の問題を見落とすことがあります。
空き家全体を一つの不動産として確認する視点が必要です。
5. やること⑤|売却前に土地・建物を調査する
5-1. 登記・境界・接道・農地・インフラを確認する
相続登記が終われば、どの不動産でもそのまま売れるとは限りません。
空き家を売却する前には、土地と建物の状態を確認します。
まず登記事項証明書、公図、地積測量図、固定資産税課税明細などを確認し、相続した不動産の範囲を整理します。
地方の実家では、宅地だけでなく、畑、田、山林、道路状の土地など複数の筆をまとめて所有していることがあります。
「家の敷地だと思っていた場所が別の筆だった」ということもあるため、現地と登記資料を照合します。
境界については、境界標があるか、隣地との塀や石積みがどこにあるか、建物や屋根が越境していないかを確認します。
境界標がないからといって、すべての売買で確定測量が必須になるわけではありません。
ただし、境界に争いがある、面積が合わない、分筆が必要、越境が疑われるといった場合には、土地家屋調査士への相談を検討します。
接道も重要です。
普段車で出入りできている道路でも、建築基準法上の道路かどうか、私道なのか、公道なのか、通行や掘削に必要な権利があるかなどを確認します。
将来の建替えや土地利用に影響する可能性があるためです。
水道、下水道、浄化槽などのインフラも確認します。
特に長期間使用していない浄化槽や井戸、給排水管などは、現在使用できるか分からないことがあります。
農地が含まれている場合には農地法も関係します。
農地を農地として売買する場合は農地法3条、農地を宅地など別の用途へ転用するため権利移転する場合には農地法5条などの許可・届出が問題になることがあります。
具体的な手続きは区域や利用目的で異なるため、農業委員会等への確認が必要です。
5-2. 建物・残置物・雨漏り・未登記建物を確認する
建物については、見た目だけでなく売却時の説明に必要となる情報を確認します。
代表的なのは、雨漏り、シロアリ被害、建物の傾き、基礎や外壁のひび割れ、給排水設備、給湯器、電気設備、浄化槽などです。
売主自身が建物に長期間住んでいない場合、すべての状態が分かるとは限りません。
その場合は、分からないことを無理に「問題ありません」と説明せず、
「長期間未使用のため動作未確認」
「売主は相続取得のため詳細不明」
など、把握している範囲を正確に整理することが重要です。
不動産売買では、引き渡した土地・建物が売買契約で約束した内容に適合しない場合に「契約不適合責任」が問題になることがあります。
中古住宅や空き家について契約不適合責任の範囲を限定する契約をすることはありますが、知っている重要な不具合を意図的に伝えなくてよいという意味ではありません。
残置物も確認します。
家具、家電、衣類、食器、仏壇、農機具、工具、物置の中身などが残っていても、査定を受ける前に全部撤去する必要はありません。
不動産会社に現状を見てもらったうえで、販売までに何を片付けるか決めることもできます。
また、母屋だけでなく離れ、倉庫、車庫、物置なども確認してください。
古い実家では、
・登記されていない建物がある
・増築した部分が登記に反映されていない
・現況は2階建てなのに登記上は平家
・すでに解体された建物が登記簿に残っている
といったことがあります。
売却や買主の住宅ローンに影響する場合もあるため、必要に応じて土地家屋調査士に確認します。
6. やること⑥|片付け・解体の前に査定を受ける
6-1. 古家付き・現況渡し・解体後売却を比較する
相続した空き家の状態が悪いと、「こんな家は壊してからでないと売れない」と考える方もいます。
しかし、先に解体することが必ず有利とは限りません。
売り方には、大きく分けて次のような方法があります。
・中古住宅として売る
・古家付き土地として売る
・残置物等を一定程度残した現況で売る
・売主側で解体して土地として売る
中古住宅として利用できる状態であれば、建物に価値を感じる買主を探すことができます。
築年数が古くても、古民家、DIY、セカンドハウス、移住先などとして検討される可能性もあります。
建物の状態が良くない場合には、「古家付き土地」として、土地価格を中心に販売する方法もあります。
買主が解体することを前提として価格交渉することも可能です。
現況渡しを検討できる場合には、売主の残置物撤去や修繕負担を抑えられる可能性があります。
ただし、「現況渡し」と書けば何も説明しなくてよいわけではありません。
残置物、設備、不具合、解体の有無、契約不適合責任などを契約で具体的に整理する必要があります。
解体後に売る方法は土地を探している買主には分かりやすくなる一方、売れる前に解体費用を負担します。
さらに、住宅を解体すると土地の住宅用地特例が適用されなくなることがあり、翌年度以降の固定資産税等へ影響する可能性があります。
相続空き家の3,000万円特別控除を利用できる可能性がある物件では、解体時期や売却方法も税制要件に関係します。
したがって、
「古いから解体する」
「荷物が多いから全部捨てる」
のではなく、査定と税務上の確認をした後で判断することが重要です。
6-2. 査定額だけでなく売却までの問題点を確認する
不動産会社へ査定を依頼したら、査定価格だけを見るのではなく、「この価格で売却するために何が必要なのか」を確認してください。
例えば、
・相続登記はいつまでに終える必要があるか
・未登記建物をどうするか
・境界確定が必要か
・残置物をどこまで撤去するか
・建物を残した方がよいか
・解体した方がよいか
・接道や建築制限に問題がないか
・農地を一緒に売れるか
・どのような購入者を想定しているか
といった点です。
査定価格が高い不動産会社が、必ず高く売却できるとは限りません。
売出価格は不動産会社が買い取る金額ではなく、買主を探すための募集価格です。
相場より大幅に高い価格で販売を開始しても、問い合わせがなく、長期間売れ残った結果、値下げすることがあります。
特に地方の空き家では、同じ面積、同じ築年数でも、道路、地形、農地、上下水道、建築制限などによって利用価値が大きく変わります。
そのため、
「いくらで売り出すか」だけではなく、
「誰に、どのような利用方法で買ってもらうか」
まで考えることが重要です。
株式会社Wakkaでは、相続登記が終わっていない、残置物が多い、古家がある、未登記建物があるといった段階でも、まず現在の問題を整理し、どの順序で対応するかを検討することを重視しています。
7. やること⑦|販売から売買契約・引渡しまで進める
7-1. 媒介契約・販売・購入申込みまでの流れ
売却方法と価格が決まったら、不動産会社と媒介契約を締結し販売を開始します。
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約があります。
一般媒介契約は複数の不動産会社へ依頼できる方法です。
専任媒介契約・専属専任媒介契約では依頼する不動産会社が原則1社となり、指定流通機構「レインズ」への登録や業務報告などについて宅地建物取引業法上のルールがあります。
どの媒介契約が適しているかは、物件や売主の考え方によって異なります。
販売開始後は、不動産ポータルサイト、自社ホームページ、レインズ、既存顧客への紹介などを通じて買主を探します。
相続空き家では、写真を掲載して募集するだけでなく、物件条件を正確に整理することが重要です。
例えば、
「浄化槽は長期間未使用」
「境界標の一部が確認できない」
「附属建物が未登記」
「残置物は売主負担で撤去予定」
「農地法の手続きが必要」
など、購入判断に影響する条件を事前に整理します。
買主から購入申込みが入ったら、価格だけで決めるのではなく、住宅ローン利用の有無、手付金、引渡し時期、残置物、測量、解体などの条件も確認します。
特に相続人が複数いる場合には、価格交渉のたびに意見が分かれないよう、あらかじめ「いくらまでなら交渉可能か」などを共有しておくと進めやすくなります。
7-2. 売買契約・決済・売却後の税金まで確認する
条件がまとまったら、重要事項説明、売買契約へ進みます。
重要事項説明は、宅地建物取引士が買主に対し、法令上の制限や権利関係など重要な事項を説明する手続きです。
売主側では、物件状況等報告書や設備表などを作成し、知っている建物の状態や設備の状況を整理することがあります。
契約後、決済・引渡しまでに売主が行う事項があれば期限までに実施します。
相続空き家では、
・相続登記
・抵当権抹消の準備
・残置物撤去
・測量
・未登記建物の整理
・建物解体
・滅失登記
などが売主側の条件になることがあります。
決済では、買主から残代金を受け取り、固定資産税等の精算、鍵・書類の引渡しなどを行います。
同時に司法書士が所有権移転登記に必要な書類を確認し、通常は決済後に買主への所有権移転登記を申請します。
売却価格が800万円以下の不動産については、仲介手数料にも知っておきたい特例があります。
2024年7月1日から、「低廉な空家等」に該当する800万円以下の宅地建物については、不動産会社が依頼者の一方から受け取れる媒介報酬について、媒介に要する費用を勘案し、通常の上限を超えて税込33万円まで受領できる特例があります。
対象は使用中か空き家かを問いません。
実際の報酬額は自動的に33万円になるわけではなく、不動産会社から説明を受け、媒介契約で合意した額となります。
地方の低価格な空き家を売却する場合は、査定時に仲介手数料も確認しておきましょう。
売却後は譲渡所得税も確認します。
譲渡所得は基本的に、
売却代金-取得費-譲渡費用-利用できる特別控除
を基礎として計算します。
相続した不動産の場合、原則として被相続人がその不動産を取得したときの取得費を引き継ぎます。
そのため、親が購入したときの売買契約書や建築関係の領収書などが残っている場合は、空き家の片付け時に捨てないよう注意してください。
また、一定の条件を満たす相続空き家については、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。
主な要件には、
・相続または遺贈によって取得したこと
・原則として相続開始直前まで被相続人が居住していたこと
・原則として1981年5月31日以前に建築された家屋であること
・区分所有建物ではないこと
・相続開始から譲渡まで事業、貸付け、居住などに使用していないこと
・相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
・譲渡価額が1億円以下であること
などがあります。
制度の適用期限は2027年12月31日までです。
2024年1月1日以後の譲渡では、一定の要件のもと、売却後に買主側等が耐震改修または取壊しを行い、譲渡した年の翌年2月15日までに要件を満たすケースも対象とされています。
また、対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以後の譲渡では控除限度額が1人当たり最高2,000万円になります。
この特例は細かな要件があり、すべての相続空き家に使える制度ではありません。
「古い実家だから3,000万円控除が使える」と判断せず、解体や売却契約の前に税務署や税理士へ確認することをおすすめします。
8. まとめ|相続した空き家は「順番」を決めて動くことが重要
8-1. 専門家ごとの役割を正しく使い分ける
相続した空き家では、不動産会社だけですべての問題を処理できるわけではありません。
問題の内容によって専門家を使い分ける必要があります。
不動産会社
査定、売却方法の検討、媒介、販売活動、買主との条件調整などを担当します。
司法書士
相続登記、所有権移転登記、抵当権抹消など、権利に関する登記を扱います。
土地家屋調査士
未登記建物の表題登記、建物の表示変更、滅失登記、土地の分筆・地積更正、境界・測量などを扱います。
税理士
相続税、譲渡所得税などの税務相談や申告を扱います。
弁護士
相続人同士の争い、遺産分割の紛争、交渉、調停、訴訟などを扱います。
行政書士
行政手続や一定の書類作成などを扱いますが、相続登記など不動産の権利登記の申請代理を行う専門家として扱うものではありません。
重要なのは、「すべて専門家へ丸投げする」ことではなく、最初に問題を整理し、必要な部分だけ適切な専門家へつなぐことです。
相続した空き家では、
「相続の問題」
「登記の問題」
「建物の問題」
「土地の問題」
「売却の問題」
「税金の問題」
を分けて考えると整理しやすくなります。
8-2. 売るか決めていなくても現状整理から始められる
相続した空き家について、最初から売却を決断する必要はありません。
しかし、「何も決められないから何もしない」という状態を長く続けることはおすすめできません。
改めて、相続した空き家でやること7選を整理します。
1. 相続財産と借金を確認する
相続放棄の可能性がある場合は、原則3か月という期限を意識します。
2. 遺言書・相続人・不動産を取得する人を確認する
誰が所有者になるのかを整理します。
3. 相続登記を進める
相続登記は義務化されています。2024年4月1日より前の相続についても対象です。
4. 空き家を管理する
売るか決まっていなくても、建物・庭・郵便物などの状態を確認します。
5. 土地・建物を調査する
登記、境界、接道、インフラ、農地、未登記建物、雨漏りなどを確認します。
6. 片付けや解体の前に査定を受ける
中古住宅、古家付き土地、現況渡し、解体後売却などを比較します。
7. 売却条件を整理して販売・契約・引渡しまで進める
仲介手数料や譲渡所得税、利用できる税制上の特例も確認します。
特に大切なのは、空き家を「すぐ売れる物件」と「売れない物件」の二つに分けないことです。
相続登記が終わっていない。
家の中に残置物が多い。
建物が古い。
倉庫が未登記になっている。
境界が分からない。
畑が付いている。
雨漏りしている。
こうした問題があっても、その内容を整理することで売却方法を検討できる場合があります。
反対に、見た目がきれいな住宅でも、接道や権利関係に問題があれば、その整理が先になることがあります。
株式会社Wakkaは、山梨県南部町を拠点に、南部町・身延町など峡南地域、静岡県富士宮市・富士市周辺で、空き家や相続不動産の売却相談に対応しています。
南部町とは空き家対策に関する協定を結び、行政制度を代行するのではなく、相続後に空き家となった住宅について、不動産会社として管理・売却・活用へつなげるための課題整理を行っています。
「相続登記が済んでいないから相談するのはまだ早い」
「家の中を片付けてから不動産会社を呼ぼう」
「売るかどうか決めてから相談しよう」
と考える必要はありません。
むしろ、費用をかける前の段階で現状を確認した方が、不要な片付け、解体、測量などを避けられる可能性があります。
相続した実家や空き家をどうすればよいか分からない場合は、
「まず何が問題なのかを整理する」
ところから始めてみてください。
売る、残す、貸す、活用するという判断は、その後でもできます。
相続した不動産を放置するのではなく、現在の状態、相続関係、必要な手続き、売却可能性を一つずつ確認することが、空き家問題を複雑にしないための第一歩です。
株式会社Wakka
住所:〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
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