空き家を放置するとどうなる?固定資産税・相続・老朽化・近隣トラブルのリスクを解説

空き家を放置するとどうなる?固定資産税・相続・老朽化・近隣トラブルのリスクを解説

空き家を放置するとどうなる?固定資産税・相続・老朽化・近隣トラブルのリスクを解説

親から相続した実家や、転居後に誰も住まなくなった家について、「今すぐ使う予定はないけれど、急いで売る必要もない」「固定資産税だけ払っていれば、そのままでも問題ない」と考えている方は少なくありません。

しかし、空き家は人が住まなくなった瞬間から急に危険になるわけではない一方、管理しない期間が長くなるほど、建物の劣化、草木の繁茂、雨漏り、害虫・害獣、残置物、近隣への影響などの問題が積み重なりやすくなります。さらに、相続登記をしないまま時間が経過すると、次の相続が発生して相続人が増え、売却や活用の手続きが複雑になることもあります。

2023年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%となっており、いずれも過去最高の水準です。空き家問題は特定の地域だけの話ではなく、全国的な課題になっています。

結論からいうと、空き家を放置する主なリスクは、①固定資産税等の住宅用地特例を受けられなくなる可能性、②相続・権利関係の複雑化、③建物の老朽化と修繕費の増加、④近隣トラブルや損害賠償の可能性、⑤防犯・衛生上の問題、⑥行政からの指導・勧告・命令・代執行、⑦売却・活用しにくくなること、の7つです。国土交通省も、倒壊、外壁落下、害虫、悪臭、不法侵入、枝のはみ出し、資産価値低下などを空き家放置の代表的なリスクとして挙げています。

大切なのは、「空き家になったらすぐ売らなければならない」ということではありません。売却、賃貸、管理、解体などの選択肢を比較し、利用予定がない期間も適切に管理することです。

この記事では、空き家を放置した場合に起こり得る問題を、固定資産税、相続、建物、近隣関係、行政措置、不動産売却の実務まで含めて分かりやすく解説します。

株式会社Wakka

株式会社Wakkaは山梨県南部町を拠点に、空き家、相続不動産、中古住宅、土地、農地付き住宅などの相談に対応しています。南部町とは空き家対策に関する協定を結んでおり、単に「売却するかどうか」だけではなく、相続登記、未登記建物、境界、農地、残置物、建物状態などを整理し、必要に応じて司法書士・土地家屋調査士・税理士・弁護士等と連携しながら、管理・売却・活用の方向性を考えることを重視しています。

株式会社Wakka
住所:
〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:
0556-64-8064

目次

  1. 空き家を放置すると何が起こる?
    1. 空き家は「使っていないだけ」では済まない
    2. 放置による7つの主なリスク
  2. リスク1|固定資産税が高くなる可能性
    1. 住宅用地特例とは
    2. 管理不全空家・特定空家と固定資産税
  3. リスク2|相続・権利関係が複雑になる
    1. 相続登記を放置する問題
    2. 相続人が増えるほど売却しにくくなる
  4. リスク3|建物の老朽化と修繕費が増える
    1. 雨漏り・設備・草木は少しずつ悪化する
    2. 「直して売る」選択肢が狭くなる
  5. リスク4・5|近隣トラブル・防犯・衛生問題
    1. 屋根材・樹木・害虫などが周囲へ影響
    2. 損害賠償責任が問題になる場合もある
  6. リスク6|行政から指導・勧告・命令を受ける可能性
    1. 管理不全空家と特定空家の違い
    2. 最終的には行政代執行の可能性
  7. リスク7|売却・活用が難しくなる
    1. 放置期間が長いほど買主の不安が増える
    2. 売却前に整理しておきたい項目
  8. 空き家を放置しないために今できること
    1. 管理・売却・賃貸・解体を比較する
    2. 南部町・身延町・富士宮市周辺での進め方

1. 空き家を放置すると何が起こる?

空き家について最初に理解しておきたいのは、「誰も住んでいないこと」そのものが直ちに問題なのではなく、適切な管理が行われないまま時間が経つことが問題だという点です。

空家法では、空き家の所有者・管理者に対し、周辺の生活環境へ悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努めるとともに、国や地方公共団体の空き家施策への協力に努めることを求めています。

空き家は「使っていないだけ」では済まない

人が住んでいる家では、日常生活の中で窓を開け、設備を使い、雨漏りや異臭、害虫、設備故障などに気付きます。

ところが空き家になると、数か月現地を見ないことも珍しくありません。

その間に、

  • 屋根材や雨樋が破損する
  • 雨漏りが発生する
  • 外壁や軒裏が傷む
  • 草木が隣地や道路へ越境する
  • 害虫・害獣が侵入する
  • 郵便物や落ち葉がたまる
  • 窓や扉の破損に気付かない

といったことが起こる可能性があります。

特に台風、大雨、積雪、強風の後は、短期間で建物状態が変化することがあります。

国土交通省も、空き家を放置した場合の例として、倒壊、外壁・屋根材の落下、ねずみや害虫、悪臭、景観悪化、不法侵入、枝のはみ出しなどを挙げています。

つまり、「固定資産税を払っているから問題ない」ということではありません。所有している間は、建物と敷地を適切に管理することが重要です。


放置による7つの主なリスク

1. 固定資産税等の住宅用地特例を受けられなくなる可能性

管理状態が悪化し、市区町村から管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、土地について住宅用地特例の対象から外れる場合があります。

2. 相続関係が複雑になる

親名義のまま相続登記をせずに放置すると、相続人の死亡によって次の相続が発生し、関係者が増える可能性があります。

3. 建物が老朽化する

雨漏りや外壁、設備などの劣化が進み、将来の修繕費や解体費の負担が大きくなる場合があります。

4. 近隣トラブルが発生する

屋根材、樹木、雑草、排水、害虫などが隣地や道路へ影響する可能性があります。

5. 防犯・衛生上の問題が生じる

不法侵入、動物の侵入、害虫、ごみ、悪臭などの問題につながることがあります。

6. 行政措置の対象になる可能性

管理不全空家・特定空家として、指導、勧告、命令、代執行などの対象となる可能性があります。

7. 売却や活用が難しくなる

建物状態や権利関係が悪化すると、買主が判断しにくくなり、売却前に必要な費用や手続きも増える可能性があります。国土交通省も、空き家放置によって資産価値が低下し、売買等が困難になる可能性を指摘しています。

この7つはそれぞれ独立しているわけではありません。

「相続登記をしていないため売却できない間に建物が劣化し、草木が繁茂し、近隣から苦情が入り、最終的に解体費まで必要になる」といったように、問題が連鎖することがあります。


2. リスク1|固定資産税が高くなる可能性

「空き家にすると固定資産税が6倍になる」と聞いたことがある方もいるかもしれません。

しかし、この表現は正確ではありません。

空き家になっただけで自動的に固定資産税が6倍になるわけではなく、住宅用地特例の適用条件や市区町村からの勧告などを正しく理解する必要があります。

住宅用地特例とは

住宅の敷地として利用されている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する「住宅用地特例」があります。

固定資産税では、住宅1戸につき200㎡以下の小規模住宅用地について課税標準が価格の6分の1、200㎡を超える一般住宅用地部分については3分の1とされています。都市計画税にも別の住宅用地特例があります。

この「課税標準が6分の1」という仕組みから、「空き家を壊すと税金が6倍」という説明がされることがあります。

しかし実際の税額は、土地の固定資産税評価額、課税標準、負担調整措置、都市計画税の有無、自治体の条例、土地の利用状況などによって変わります。国土交通省も、住宅用地特例が適用されない場合の税額について負担調整措置等を踏まえて決まることを示しています。

したがって、「解体すると必ず固定資産税が6倍」「空き家ならずっと住宅用地特例が使える」とどちらも一律には言えません。


管理不全空家・特定空家と固定資産税

2023年12月に施行された改正空家法では、新たに「管理不全空家」という仕組みが設けられました。管理不全空家とは、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある状態の空き家です。

市区町村から管理不全空家について指導を受けても改善せず、さらに勧告を受けた場合、その敷地について住宅用地特例の対象から外れることがあります。

特定空家についても、必要な措置について勧告を受けると住宅用地特例の対象外となる場合があります。

重要なのは、空き家になった瞬間に特例が外れるわけではないという点です。

一方で、「古い家を残しておけば永久に税金が安い」というわけでもありません。

国のガイドラインでは、管理不全空家の状態例として、屋根ふき材の破損、立木の腐朽、排水設備の破損などが挙げられています。

また、住宅そのものを解体して翌年1月1日時点で住宅用地に該当しなくなれば、通常は住宅用地特例が適用されなくなります。

そのため、解体するかどうかは、

解体費
+ 解体後の固定資産税等
+ 更地での売却可能性
+ 古家を残した場合の管理・修繕費

を比較して判断することが重要です。


3. リスク2|相続・権利関係が複雑になる

相続した空き家を「そのうち考えよう」と放置する場合、建物だけでなく登記にも注意が必要です。

相続登記を放置する問題

2024年4月1日から相続登記は義務化されています。

相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続が開始したことと不動産の取得を知った日から、原則3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく義務を怠った場合は10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

さらに、2024年4月1日より前に発生した相続についても義務化の対象です。

制度開始前から相続による取得を知っていた不動産で相続登記をしていない場合は、原則として2027年3月31日までが期限になります。

つまり、

「父が10年前に亡くなったが、固定資産税は自分が払っているので問題ない」

という状態でも、登記を確認する必要があります。

空き家を売却する場合は、最終的に買主へ所有権移転登記を行える状態にする必要があるため、相続登記を放置したままでは取引が進みにくくなります。


相続人が増えるほど売却しにくくなる

相続登記をしない間に相続人の一人が亡くなると、その人の相続人が新たに権利関係へ加わることがあります。

例えば父の相続人が母・長男・長女の3人だったところ、遺産分割をしないまま長男が亡くれれば、長男の配偶者や子などが次の相続関係に入る可能性があります。

時間が経過するほど、必要な戸籍が増える、相続人の住所確認が必要になる、遠方の相続人が増える、一度も会ったことのない親族が関係する、遺産分割の合意形成が難しくなる、といった問題が起こりやすくなります。

空き家を売る予定がまだなくても、「誰が所有するのか」だけは早めに整理しておくことが重要です。

また、田舎の実家では、土地は父名義、母屋は祖父名義、納屋は未登記というように、土地・建物ごとに登記状況が違うこともあります。

相続登記と併せて、建物表題登記の有無、所有権保存登記、抵当権、解体済み建物の滅失登記、増築部分の登記なども確認しましょう。


4. リスク3|建物の老朽化と修繕費が増える

家は、人が住んでいないから劣化しないわけではありません。

むしろ異常に気付く人がいなくなることで、小さな不具合が長期間放置されやすくなります。


雨漏り・設備・草木は少しずつ悪化する

例えば屋根の一部に不具合が発生して雨水が入り始めても、居住中であれば天井の染みや音などで気付く可能性があります。

空き家の場合、数か月後に訪れたときには、天井材が傷んでいる、柱や梁まで湿気の影響を受けている、床が傷んでいる、カビが広がっている、ということも考えられます。

水回りも同様です。

給水・排水設備、給湯器、浄化槽、井戸などは、長期間使用していないと現在利用できるか分からなくなる場合があります。

庭や敷地についても、草木は成長します。

最初は草刈りだけで済んだものが、数年後には庭木が道路や隣地へ越境し、伐採や高所作業が必要になることがあります。

国の管理指針でも、屋根材、立木、排水設備などを一定の頻度で点検・補修する考え方が示されています。

空き家管理では、単に室内を見るだけでなく、屋根・外壁、雨樋、基礎、窓・玄関、庭木、擁壁、排水、浄化槽、郵便物、害虫・害獣などを定期的に確認することが大切です。


「直して売る」選択肢が狭くなる

建物状態が比較的良いうちなら、中古住宅として売る、最低限修繕して賃貸する、DIY向け住宅として売る、自分や家族が利用する、といった選択肢があります。

しかし、長期間放置して構造部分まで傷むと、修繕より解体の方が現実的になる場合があります。

もちろん、空き家は時間が経てば必ず価値がなくなるわけではありません。

土地としての価値が中心の物件や、古民家として需要がある物件もあります。

重要なのは、「いつか売る」と考えているのであれば、使える状態を維持するのか、古家付き土地として売るのか、解体するのかを早めに比較することです。


5. リスク4・5|近隣トラブル・防犯・衛生問題

空き家は所有者自身だけの問題で終わらない場合があります。

屋根材・樹木・害虫などが周囲へ影響

国土交通省は、放置空き家による周囲への悪影響として、倒壊、外壁・屋根材の落下、害虫・ねずみ、悪臭、景観悪化、不法侵入、枝のはみ出しなどを挙げています。

例えば強風で屋根材が飛んだり、腐った木が倒れたりすれば、隣家や車、歩行者へ被害を及ぼす可能性があります。

庭木が隣地へ大きく越境すれば、落ち葉や建物への接触などから近隣関係が悪化することもあります。

また、窓ガラスが割れたまま、玄関が施錠できないままといった状態では、不法侵入のリスクも高まります。

残置物やごみがある場合には、害虫、悪臭、動物の侵入につながることもあります。

「誰も住んでいないので近所に迷惑をかけない」という考えではなく、人が住んでいないからこそ外部への影響を定期的に確認する必要があります。


損害賠償責任が問題になる場合もある

空き家の建物や樹木が他人へ損害を与えた場合、民事上の損害賠償責任が問題になることがあります。

民法717条では、土地の工作物の設置・保存に瑕疵があって他人に損害を生じさせた場合について占有者・所有者の責任を定め、竹木の栽植・支持の瑕疵についても準用しています。実際の責任関係は占有状況や事故原因など個別事情によって異なります。

そのため、

「空き家の瓦が飛んで隣家を壊しても保険で全部解決する」

「自分は遠方に住んでいるので責任はない」

と決めつけるのは適切ではありません。

火災保険等についても、空き家になったことで契約条件や引受け条件が変わる場合があるため、加入中の保険会社・代理店へ確認しておくとよいでしょう。

近隣トラブルを防ぐためには、大きな修繕より先に、草木の越境、屋根材の飛散、外壁の剥落、窓・扉の施錠、ごみ・残置物、排水、擁壁など、周囲へ影響する部分から優先して確認することが重要です。


6. リスク6|行政から指導・勧告・命令を受ける可能性

空き家を放置すると、状態によっては空家法に基づく行政措置の対象になる可能性があります。

管理不全空家と特定空家の違い

管理不全空家は、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家に該当するおそれがある状態の空き家です。

例えば国のガイドラインでは、屋根ふき材の破損、立木の腐朽、排水設備の破損などが管理不全空家の状態例として示されています。

管理不全空家について、市区町村は所有者に必要な措置を指導し、改善されなければ勧告することができます。

一方、特定空家とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれ、著しく衛生上有害となるおそれ、著しく景観を損なっている状態、その他周辺生活環境の保全上放置が不適切な状態にあると認められる空き家です。

特定空家では、助言・指導、勧告、命令へ段階的に進む可能性があります。

なお、空き家だから自動的に「管理不全空家」「特定空家」になるわけではなく、物件の状態や周辺への影響等を踏まえて市区町村が判断します。


最終的には行政代執行の可能性

特定空家について必要な措置を命じられたにもかかわらず、所有者が履行しない場合、履行が不十分な場合、期限までに完了する見込みがない場合などには、行政代執行により市区町村が除却等を行うことがあります。災害その他非常の場合には、一定の条件のもと緊急代執行も可能です。

代執行は、「自治体が無料で解体してくれる制度」ではありません。

代執行費用は所有者等の負担として徴収され得ます。改正法では、略式代執行等についても費用徴収の仕組みが整備されています。

さらに、空家法に基づく市町村長の命令に違反した場合は50万円以下の過料の対象です。

この行政手続きは、通常いきなり解体から始まるわけではありません。

重要なのは、行政から通知や指導を受けた段階で放置しないことです。

屋根の修繕、草木の伐採、残置物整理、解体、売却など、状況に応じて対応を検討しましょう。


7. リスク7|売却・活用が難しくなる

空き家を長期間放置すると、「売ろうと思ったとき」にすぐ売れないことがあります。

国土交通省も、空き家放置のリスクとして資産価値が低下し、売買等が困難になる可能性を挙げています。

放置期間が長いほど買主の不安が増える

買主が中古住宅を見るとき、単に築年数だけを見ているわけではありません。

例えば、

  • いつから空き家なのか
  • 雨漏りはないか
  • 水道は使えるか
  • 浄化槽は動くか
  • シロアリ被害はないか
  • 残置物は誰が撤去するか
  • 庭木をどうするか
  • 未登記建物はないか
  • 相続登記は終わっているか
  • 境界は分かるか

などを確認します。

空き家期間が長く、所有者も建物状態を把握していないと、買主は「購入後にいくらかかるのか分からない」と感じやすくなります。

その場合、価格を下げても買主が決まらないことがあります。

田舎の空き家では、売却価格そのものより、

購入後の費用が読めない
+ 手続きの見通しが立たない

ことが売却の障害になる場合があります。


売却前に整理しておきたい項目

売却を検討するなら、次の順番で整理すると進めやすくなります。

1. 登記を確認

土地・建物の登記事項証明書を取得し、所有者、抵当権、建物登記の有無を確認します。

2. 固定資産税資料と現地を照合

課税明細や名寄帳に載っている母屋、納屋、倉庫等と現地を確認します。

3. 相続関係を確認

亡くなった親名義なら、相続人・遺言・遺産分割状況を整理します。

4. 建物状態を確認

雨漏り、シロアリ、設備、残置物など、分かる範囲で整理します。

5. 土地条件を確認

道路、境界、農地、上下水道、浄化槽、井戸、ハザードなどを確認します。

すべてを売主負担で解決してから販売しなければならないわけではありません。

例えば残置物は現況で売る、古い設備はそのまま引き渡す、境界は契約条件を調整するなど、買主との契約で整理できる場合があります。

一方、相続登記や農地の許可など、取引そのものに関係する問題は早めに確認する必要があります。

重要なのは、**「直すべきこと」「説明して引き継げること」「売却までに必ず整理すること」**を分けることです。


8. 空き家を放置しないために今できること

空き家になったからといって、すぐに売却や解体を決める必要はありません。

ただし、「決められないので何もしない」という状態は避けるべきです。

管理・売却・賃貸・解体を比較する

空き家になったら、まず次の4つを比較します。

管理して残す

数年以内に家族が使う具体的な予定があるなら選択肢になります。ただし、固定資産税、保険、草刈り、修繕など年間費用を確認し、定期的な管理を行います。

売却する

今後使う予定がなく、維持負担を終えたい場合に検討します。相続登記や未登記建物などを確認しながら、査定・販売準備を並行できる場合があります。

賃貸する

一定の賃貸需要があり、修繕費との収支が合う場合に検討できます。ただし、空室、管理、修繕、賃貸借契約、不動産所得なども考える必要があります。

解体する

危険な老朽建物や利用需要が乏しい建物では選択肢になります。ただし、固定資産税等の住宅用地特例、再建築可能性、解体費、解体後の土地管理を確認してから判断します。

判断を先送りする場合も、「1年間は管理して来年再検討する」など期限を設定する方法があります。

その際は、年間管理費を数字にしましょう。

例えば、

固定資産税 6万円
火災保険 4万円
草刈り 6万円
交通費 4万円
小修繕 5万円

なら、年間25万円です。

5年間で125万円になります。

「いつか使うかもしれない」という理由だけで残すのであれば、その費用を負担しても残したいのかを家族で考える必要があります。

南部町・身延町・富士宮市周辺での進め方

山梨県南部町、身延町、早川町、静岡県富士宮市などの空き家では、一般的な住宅だけでなく、農地付き住宅、古家、未登記の納屋、山林、井戸、浄化槽、狭い道路、境界不明、残置物多数といった条件が重なることがあります。

そのため、「空き家を売りたい」と考えたときも、価格査定だけでは不十分なことがあります。

株式会社Wakkaでは、南部町との空き家対策に関する協定を通じ、空き家を放置せず、管理・売却・活用へつなげるための地域連携に取り組んでいます。

空き家の問題は、

建物の問題
+ 登記の問題
+ 相続の問題
+ 土地利用の問題
+ 管理の問題

に分けて考えると整理しやすくなります。

例えば、

  • 相続登記 → 司法書士
  • 未登記建物・境界 → 土地家屋調査士
  • 相続争い → 弁護士
  • 税金 → 税理士
  • 売却・賃貸・管理 → 不動産会社

というように、必要な専門家を使い分けます。

不動産会社は、すべての法律・登記・税務手続きを自ら行うのではなく、不動産の売却・活用という視点から問題点を整理し、必要な専門家へつないで全体の進め方を組み立てる役割があります。


行政から連絡が来る前に確認しておきたいこと

空き家対策では、「市町村から指導を受けてから対応する」のではなく、その前に所有者自身で危険箇所を把握しておく方が、費用や対応方法を選びやすくなります。

少なくとも年に数回、または台風・大雨・大雪などの後には、建物の外周から次の点を確認しましょう。

  • 屋根材や雨樋が外れかけていないか
  • 外壁、軒裏、庇に落下しそうな部分がないか
  • 窓ガラスや玄関扉が破損していないか
  • 樹木が道路・隣地・電線方向へ大きく伸びていないか
  • 擁壁、石積み、ブロック塀に大きな傾きや亀裂がないか
  • 敷地にごみの投棄や不審な侵入跡がないか
  • 浄化槽や排水設備から異臭・漏水がないか

特に重要なのは、「室内がきれいだから大丈夫」と判断しないことです。国の管理指針では屋根材、立木、排水設備など、周囲への影響につながる部分の点検・補修等が示されています。

自分で屋根に上ったり危険な建物内部へ入ったりする必要はありません。高所、傾いた建物、腐食した床など危険がある場合は、建築・解体・管理等の専門業者へ確認を依頼しましょう。

遠方に住んでいる所有者は「管理の仕組み」を作る

相続した実家が県外にある場合、「年末年始とお盆に見に行く」だけでは、破損を長期間発見できないことがあります。

遠方所有者の場合は、誰がどの頻度で確認するかを決めることが重要です。

例えば、

月1回程度

  • 外観確認
  • 郵便物確認
  • 簡易的な換気
  • 雨漏り・侵入跡の確認

季節ごと

  • 草刈り
  • 庭木の確認
  • 排水溝・雨樋の確認
  • 台風前後の飛散物確認

年1回程度

  • 建物全体の状態確認
  • 保険内容の確認
  • 固定資産税・年間管理費の集計
  • 売却・賃貸・解体を再検討

というように管理項目を分けると、何をすればよいか明確になります。

管理会社へ依頼する場合も、「巡回しているから安心」と考えるのではなく、写真報告の有無、室内確認、通水、草刈り、緊急時対応など、契約内容を確認しましょう。

そして、管理を続けるなら期限を決めることも重要です。

「2年間管理し、その間に家族が利用しなければ売却を検討する」「相続登記完了後6か月以内に査定を取り、売却か賃貸を決める」など、再検討時期を設定すると、空き家を何年も無目的に保有する状態を避けやすくなります。

よくある質問

Q. 空き家にしただけで固定資産税は上がりますか?

空き家になっただけで自動的に固定資産税が大幅に上がるわけではありません。ただし、管理不全空家・特定空家について市区町村から勧告を受けると、土地の住宅用地特例を受けられなくなる場合があります。

Q. 空き家を解体すると固定資産税が6倍になりますか?

必ず6倍になるわけではありません。住宅用地特例が外れることで課税標準が変わりますが、実際の税額は評価額や負担調整措置などで異なります。

Q. 親名義の空き家をそのままにしていても大丈夫ですか?

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則3年以内の申請が必要で、制度開始前の相続も対象です。

Q. 行政から指導を受けたら、すぐ解体しなければなりませんか?

必ずしも解体だけが対応方法ではありません。特定空家への措置には修繕、立木竹の伐採、除却などがあり、状態に応じた対応が求められます。

Q. 残置物が多くても売却相談できますか?

できます。必ず先にすべて撤去する必要はありません。残置物撤去費と売却価格を比較し、売主が撤去するのか、現況で引き渡すのかを検討します。

Q. 遠方なので管理できません。どうすればよいですか?

定期巡回や草刈り等を管理業者へ依頼する、売却・賃貸を検討するなどの方法があります。「当面何もしない」ではなく、管理方法と今後の期限を決めておくことが重要です。

空き家を放置する最大の問題は、時間が経つほど選択肢が減りやすいことです。

現在なら中古住宅として売れる家が、数年後には大規模修繕や解体を前提にしなければ売れない状態になるかもしれません。

現在なら少人数の相続人で整理できる不動産が、次の相続によってさらに多くの関係者を含む権利関係になる可能性もあります。

そして、近隣へ影響する状態まで悪化すれば、所有者自身の問題だけでは済まなくなります。

まずは、

登記
建物状態
年間管理費
相続関係
今後の利用予定

の5点を確認してください。

この5点が分かれば、「管理する」「売る」「貸す」「解体する」のどこから検討すべきかが見えやすくなります。

空き家は、問題が起きてから対応するより、問題が小さい段階で方向性を決める方が、費用も選択肢もコントロールしやすくなります。


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株式会社Wakka

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