相続した空き家は何から始める?不動産を放置するリスクと売却までにやること7選
相続した空き家は何から始める?不動産を放置するリスクと売却までにやること7選
親や祖父母が亡くなり、実家や土地を相続することになったものの、
「空き家を相続したけれど、何から始めればよいのか分からない」
「相続登記をしてから不動産会社へ相談するの?」
「家財道具が残ったままでも査定してもらえる?」
「古い家なので、先に解体した方が売りやすい?」
「遠方に住んでいて管理できない」
「兄弟で相続したが、誰が売却手続きをするのか決まっていない」
と悩む方は少なくありません。
結論からいうと、相続した空き家について最初にすることは、家の片付けでも解体でもありません。
まず確認したいのは、**「誰が相続するのか」「どの不動産を相続するのか」「借金などを含めて相続して問題ないのか」**という相続そのものです。
そのうえで、
相続人・遺言・相続放棄の可能性を確認する
土地・建物など相続不動産を漏れなく把握する
相続登記と権利関係を整理する
空き家を最低限管理する
売却に必要な不動産調査を行う
査定を受けて売却方法を比較する
税金・費用を確認して販売を開始する
という順番で進めると整理しやすくなります。
重要なのは、すべてを自分で解決してから不動産会社へ相談する必要はないということです。
相続登記が終わっていなくても、家財が残っていても、建物が古くても、不動産査定や売却に向けた調査を先行できる場合があります。
むしろ、先に片付けや解体へ大きなお金をかけてから「実はそのままでも売却できた」「再建築に制限があった」「農地が含まれていた」と分かることの方が避けたいところです。
この記事では、相続した空き家を放置するリスクと、売却までにすることを7つに分けて、初めて相続不動産を扱う方にも分かるように解説します。
株式会社Wakka
株式会社Wakkaは、山梨県南部町を拠点として、不動産売却、空き家、相続不動産、中古住宅、土地などの相談に対応する不動産会社です。
南部町、身延町など山梨県南部地域に加え、静岡県富士宮市・富士市などの不動産についても相談を受けています。
特に地方の相続不動産では、単純に「査定して売る」だけでは進まないことがあります。
例えば、
・相続登記が終わっていない
・建物が未登記になっている
・古い抵当権が残っている
・農地が付いている
・境界が分からない
・残置物が大量にある
・建物が老朽化している
・相続人が複数いる
といった問題です。
株式会社Wakkaでは、すぐに「売れる・売れない」と判断するのではなく、現在の問題点を整理し、必要に応じて司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁護士などと連携しながら、次の選択肢を考えることを重視しています。
また、株式会社Wakkaは南部町と空き家対策に関する協定を締結しています。
行政制度を代行する立場ではなく、相続後に空き家となった住宅について、管理、相続登記、未登記建物、残置物、売却など、不動産実務の側から整理し、空き家を次の利用につなげていくことを重視しています。
株式会社Wakka
〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
目次
相続した空き家は何から始める?最初に知っておきたい全体像
空き家の片付けより先に確認すること
売却までにやること7選
相続した空き家を放置するとどうなる?5つのリスク
建物・庭・設備の劣化と近隣トラブル
管理不全空家・固定資産税にも注意
【やること1・2】相続人と相続不動産を確認する
遺言・相続人・借金・相続放棄を確認する
土地・建物を漏れなく把握する
【やること3】相続登記と権利関係を整理する
相続登記は2024年から義務化されている
未登記建物・抵当権・共有にも注意する
【やること4・5】空き家を管理しながら売却条件を調査する
売却まで最低限の管理を行う
道路・境界・農地・インフラなどを調べる
【やること6】査定を受けて売却方法を比較する
片付け・解体する前に査定を受ける
中古住宅・古家付き土地・現況売却・買取を比較する
【やること7】税金・費用を確認して販売を始める
相続した空き家の売却で確認したい税金
媒介契約から売買契約・引渡しまで
自分だけで整理できない空き家は誰に相談する?
問題別に専門家を使い分ける
「分からない状態」のまま相談してもよい
1.相続した空き家は何から始める?最初に知っておきたい全体像
1-1.空き家の片付けより先に確認すること
親が亡くなった直後は、
「早く家を片付けなければ」
「庭が荒れる前に業者を呼ぼう」
「古い家だから解体してしまおう」
と考えやすいものです。
しかし、最初に確認するべきなのは建物ではなく相続関係です。
特に重要なのが、相続放棄の可能性です。
相続人は原則として、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に、単純承認、限定承認または相続放棄を選択します。
相続財産の状況を調査しても3か月以内に判断できない場合には、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てられる制度があります。
ここで注意したいのが、亡くなった方の財産を自由に処分してしまうことです。
民法921条では、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、一定の例外を除き、相続を正式に受け入れたものと扱われる「法定単純承認」に該当することがあります。
したがって、
「借金があるか分からない」
「相続放棄する可能性がある」
という段階では、家財の売却や高価品の処分、不動産売却などを自己判断で進めることは避けた方が安全です。
雨漏りを防ぐなど財産を維持するための保存行為と、財産を売却・処分する行為では法的な意味が異なります。
判断に迷う場合は、家庭裁判所の手続を確認したり、弁護士や司法書士などへ相談したりしてから進めましょう。
また、相続税についても期限があります。
相続税の申告が必要な場合、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税します。
すべての相続に相続税が発生するわけではありません。
相続税の基礎控除額は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
です。
遺産総額などが基礎控除額を超える可能性がある場合には、早い段階で税理士や税務署へ確認することが重要です。
1-2.売却までにやること7選
相続した空き家を売却するまでの基本的な流れを、7つに整理すると次のようになります。
やること1 相続人・遺言・相続放棄の可能性を確認する
まず、誰が相続人なのか、遺言書があるのか、借金を含めて相続してよいのかを確認します。
やること2 相続した不動産をすべて把握する
自宅だけでなく、隣接する土地、畑、山林、道路持分、離れ、倉庫などがないか確認します。
やること3 相続登記と権利関係を整理する
誰が不動産を取得するのかを決め、相続登記を進めます。
やること4 空き家を適切に管理する
売却までの期間も建物の換気、雨漏り、庭木、郵便物、防犯などを確認します。
やること5 売却に必要な不動産調査をする
道路、境界、都市計画、農地、上下水道、浄化槽、建物登記などを調べます。
やること6 査定を受け、売却方法を比較する
中古住宅、古家付き土地、現況売却、解体後売却、買取などを比較します。
やること7 税金・費用を確認して販売を開始する
売却後の譲渡所得税、仲介手数料、測量費、残置物撤去費なども含めて手取り額を考えます。
この7つは完全に一つずつ終了させる必要はありません。
例えば、司法書士が相続登記を進めている間に、不動産会社が現地調査や査定を行うこともできます。
「相続登記が終わるまで何もしない」のではなく、並行して準備することで売却までの時間を短縮できる場合があります。
2.相続した空き家を放置するとどうなる?5つのリスク
2-1.建物・庭・設備の劣化と近隣トラブル
空き家は、人が住んでいないから傷まないわけではありません。
むしろ長期間使用されない住宅では、不具合を発見する人がいないため、劣化が進んでも気付くのが遅れる傾向があります。
国土交通省も、空き家を所有し続ける場合には、外部・内部の点検、通気・換気、通水、清掃などを定期的に行うことが重要と案内しています。
空き家を放置する主なリスクは次の5つです。
①建物が劣化する
雨漏り、小動物の侵入、シロアリ、湿気、カビ、給排水設備の不具合などが進む可能性があります。
最初は小規模な修繕で済んだ問題でも、数年間放置すると屋根、床、柱などまで傷み、住宅としての利用が難しくなる場合があります。
②庭木・雑草が伸びる
地方の空き家では敷地が広く、数か月管理しないだけでも草木が伸びることがあります。
枝が隣地や道路へ伸びたり、落ち葉が雨どいを詰まらせたりすることもあります。
③防犯・衛生上の問題が発生する
窓ガラスが割れたままの住宅や郵便物がたまった住宅は、長期間利用されていないことが外から分かりやすくなります。
国土交通省も、放置空き家について倒壊だけでなく、害虫・ねずみ、不法侵入などの衛生・防犯上の問題を挙げています。
④近隣への影響が発生する
屋根材の落下、外壁の剥離、樹木の越境などが発生すれば、近隣との問題につながる可能性があります。
⑤売却できる状態から遠ざかる
これが不動産売却では重要です。
相続直後には中古住宅として検討できた建物でも、数年間放置したことにより、
「雨漏りが拡大した」
「床が抜けた」
「給排水設備が使えなくなった」
となれば、買主の検討条件や査定価格に影響する可能性があります。
「今は売らない」という判断自体が間違いなのではありません。
ただし、所有し続けるのであれば、維持管理費を含めて判断する必要があります。
2-2.管理不全空家・固定資産税にも注意
空き家を放置した場合、行政上の問題につながることもあります。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」、一般に空家法と呼ばれる法律では、適切に管理されていない空き家に対する制度が設けられています。
2023年12月13日に改正法が施行され、「特定空家」になる前の段階として管理不全空家という仕組みが導入されました。
管理不全空家とは、適切に管理されておらず、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある状態の空き家です。
市区町村長は所有者に対して必要な措置をとるよう指導でき、さらに一定の場合には勧告を行うことができます。
税金についても注意が必要です。
住宅の敷地には一定の要件のもとで「住宅用地特例」があり、200㎡以下の小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が原則として6分の1になるなど、税負担が軽減されています。
しかし、管理不全空家や特定空家について市区町村から勧告を受けた場合には、住宅用地特例の対象から外れることがあります。
ここは誤解しないことが重要です。
「空き家になったら固定資産税が6倍になる」という単純な制度ではありません。
また、管理不全空家に認定されただけで自動的に住宅用地特例が解除されるという説明も正確ではありません。
実際には空き家の状態、行政による措置、土地の状況などによって判断されます。
一方で、「誰も住んでいないから放置しても問題ない」と考えるのも適切ではありません。
空き家を相続したら、
売却するのか、貸すのか、管理し続けるのか、解体するのか
をできるだけ早い段階で考えることが大切です。
3.【やること1・2】相続人と相続不動産を確認する
3-1.やること1|遺言・相続人・借金・相続放棄を確認する
最初の実務は、誰が相続するのかを確認することです。
まず遺言書の有無を確認します。
遺言書がある場合には、その内容によって不動産を取得する人が指定されている可能性があります。
遺言書がなく複数の相続人がいる場合には、戸籍を集めて法定相続人を確定し、必要に応じて遺産分割協議を行います。
例えば、父親名義の空き家について、
「長男がずっと固定資産税を払っているから長男の家」
とは限りません。
正式な相続関係を確認しなければ、長男一人の判断で売却できないことがあります。
また、相続で確認するのは資産だけではありません。
・預貯金
・株式
・土地
・建物
といったプラスの財産だけでなく、
・住宅ローン
・事業借入
・カードローン
・保証債務
・税金の未納
などがないかも確認します。
特に「空き家だけなら価値がありそうだから相続しよう」と判断し、後から大きな債務が分かることは避けたいところです。
相続放棄を検討する可能性がある場合には、3か月という期限を意識して早めに財産・債務を調べます。
相続人同士で意見が対立し、話し合いで遺産分割がまとまらない場合には、不動産会社が一方の代理人として紛争を解決することはできません。
このような場合は弁護士への相談を検討します。
3-2.やること2|土地・建物を漏れなく把握する
次に行うのが、亡くなった方が所有していた不動産の確認です。
「実家の住所が分かっているから大丈夫」と考えると、漏れが発生することがあります。
地方の住宅では、
・宅地が複数筆に分かれている
・家の裏に山林がある
・家庭菜園と思っていた土地が登記上は畑
・私道持分がある
・離れや倉庫がある
・自宅から離れた場所に別の農地がある
というケースも考えられます。
まず確認したい資料は、
・固定資産税納税通知書
・固定資産課税明細書
・名寄帳
・登記事項証明書
・公図
・地積測量図
・建物図面
などです。
さらに2026年2月2日からは、所有不動産記録証明制度がスタートしています。
これは、登記官が特定の人について、所有権の登記名義人として記録されている不動産を検索し、一覧化した証明書を交付する制度です。
本人だけでなく相続人なども請求でき、従来より相続不動産を一覧的に把握しやすくなりました。
ただし注意点があります。
所有不動産記録証明書は、請求時に指定した氏名・住所などの検索条件をもとに検索されます。
過去の住所や氏名と登記記録が一致していない場合などは、抽出されない可能性があります。
また、そもそも登記されていない建物を把握する制度ではありません。
そのため、
登記情報+固定資産税関係資料+現地確認
を組み合わせることが大切です。
例えば現地に、
・母屋
・離れ
・物置
・車庫
の4棟があるのに、登記簿には母屋しか記録されていないことも考えられます。
相続した空き家の売却では、「現地にあるもの」と「登記されているもの」が一致しているかを確認しましょう。
4.【やること3】相続登記と権利関係を整理する
4-1.相続登記は2024年から義務化されている
不動産を相続したら相続登記を確認します。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。
相続により不動産を取得した相続人は、原則として、その不動産を相続により取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
2024年4月1日より前に発生した相続についても対象です。
義務化前から相続したことを知っている未登記不動産については、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
そのため、
「父が亡くなったのは10年前だから、相続登記義務化とは関係ない」
とはなりません。
また、遺産分割が決まらないため期限内に通常の相続登記が難しい場合には、「相続人申告登記」という制度があります。
ただし、相続人申告登記は申請義務を簡易に履行するための制度です。
空き家を売却するための名義変更を完成させる制度ではありません。
売却するためには、原則として最終的に売主となる相続人へ所有権の登記を整える必要があります。
「登記が終わらないと査定を頼めない」ということではありません。
不動産会社への査定相談と司法書士による登記準備を並行して進めることもできます。
4-2.未登記建物・抵当権・共有にも注意する
相続空き家で確認するのは相続登記だけではありません。
特に古い住宅では、
未登記建物
が見つかる場合があります。
現地には建物があるのに、不動産登記簿に建物が存在しない状態です。
また、
「母屋は登記されているが、後から増築した部分が登記と一致していない」
という場合もあります。
建物の物理的な現況に関する登記である建物表題登記や変更登記などは、土地家屋調査士の専門分野です。
一方、
・所有権保存登記
・相続による所有権移転登記
・抵当権抹消登記
などの権利に関する登記は司法書士の専門分野です。
古い抵当権にも注意します。
住宅ローンを完済していても抵当権抹消登記をしていなければ、登記簿上は抵当権が残っています。
買主へ所有権を移転する際には、通常、抵当権など買主の権利を妨げる登記を整理する必要があります。
数十年前の抵当権で、金融機関が合併・解散している場合などは、整理に時間がかかる可能性があります。
共有不動産も注意が必要です。
兄弟3人がそれぞれ3分の1ずつ共有している場合、不動産全体を売却するには原則として共有者全員の意思をそろえる必要があります。
「自分の持分だけなら売れる」という場面はありますが、不動産全体を通常の住宅として売ることとは別問題です。
売却予定があるなら、相続登記をする段階から「最終的に誰が売主になるのか」まで考えておくことが大切です。
5.【やること4・5】空き家を管理しながら売却条件を調査する
5-1.やること4|売却まで最低限の管理を行う
相続した空き家は、売却すると決めてもすぐに買主が見つかるとは限りません。
その間も管理が必要です。
最低限確認したいのは、
・屋根や外壁の破損
・雨漏り
・窓や玄関の施錠
・郵便物
・雑草
・庭木
・害虫、害獣
・室内の換気
・給排水設備
・凍結のおそれ
・近隣への越境
などです。
特に遠方に住んでいる場合、
「半年後に確認したら雨漏りしていた」
ということになれば、建物の価値に影響する可能性があります。
電気・水道・ガスも、すぐにすべて停止するのが正しいとは限りません。
物件の管理方法、冬季の凍結リスク、内覧時の使用などによって判断が変わります。
火災保険などについても、住宅が空き家になったことで契約条件に影響する場合があるため、保険会社へ確認しておくと安心です。
残置物については、売却前に全部処分しなければならないとは限りません。
一般的には、
・売主が全部撤去する
・買主の了承を得て一部を残す
・撤去費用を価格交渉に反映する
などの方法が考えられます。
査定前に何十万円、場合によってはそれ以上の費用をかけて処分するより、まず不動産会社へ「この状態で売却できるか」を確認した方がよい場合があります。
5-2.やること5|道路・境界・農地・インフラなどを調べる
査定価格だけを見る前に、不動産そのものの条件を調べます。
相続した空き家では、少なくとも次の項目を確認したいところです。
道路・接道
敷地の前に道路があるからといって、建築上問題がないとは限りません。
道路の種類、幅員、接道状況、私道持分などを確認します。
再建築の可否は買主にとって重要なため、査定価格にも影響する可能性があります。
都市計画・建築制限
市街化区域、市街化調整区域、用途地域、都市計画区域外など、所在地によって建築・利用条件が異なります。
例えば富士宮市では市街化調整区域の住宅もあるため、建物が現存していることだけで将来の建替えや用途変更が自由にできると判断することはできません。
境界・越境
境界杭があるか、ブロック塀や建物、樹木が隣地へ越境していないか確認します。
境界が不明だから必ず売却前に確定測量が必要というわけではありません。
ただし、境界紛争がある場合や分筆が必要な場合などは、土地家屋調査士への相談が必要になる可能性があります。
農地
地方の実家では宅地の隣に畑や田が付いていることがあります。
農地は宅地とは異なり、農地法上の許可や届出が関係するため、住宅と一緒に誰へでも自由に売却できるとは限りません。
耕作目的での権利移転では原則として農地法3条の許可、転用を伴う権利移転では農地法5条の許可または届出などが関係します。
具体的な手続は農地の所在地や利用方法によって異なるため、農業委員会等への個別確認が必要です。
上下水道・浄化槽・井戸
山梨県南部町、身延町などの地方物件や富士宮市郊外では、物件によってインフラ条件が異なります。
公共下水ではなく浄化槽、上水道ではなく井戸を使用している住宅もあります。
長期間使っていない設備については、使用可能か確認が必要になる場合があります。
ハザード
洪水、土砂災害、地震、火山災害などについて、自治体が公開しているハザードマップを確認します。
ハザード区域だから売れないという意味ではありません。
重要なのは、正しい情報を確認し、買主が判断できるようにすることです。
6.【やること6】査定を受けて売却方法を比較する
6-1.片付け・解体する前に査定を受ける
相続した空き家について特におすすめしたいのが、
大きなお金を使う前に査定を受けること
です。
よくある考え方として、
「古いから解体して更地にした方が売れる」
「家財道具が残っているから査定を頼めない」
「リフォームしてから売った方が高くなる」
というものがあります。
しかし、必ずそうなるとは限りません。
例えば築年数が古くても、
・古民家として使いたい
・自分でDIYしたい
・セカンドハウスにしたい
・移住用住宅として購入したい
・土地より建物付きで探している
という買主が現れる可能性があります。
先に解体してしまえば、その選択肢はなくなります。
また、更地にすると土地の固定資産税等に適用されていた住宅用地特例が使えなくなる可能性があります。
一方で、建物の状態が非常に悪く、土地としての需要の方が高い場合には、解体した方が販売しやすくなることもあります。
つまり、
「古い=解体」ではなく、解体前と解体後を比較する
ことが重要です。
残置物も同じです。
査定時には、
「売主が撤去した場合」
「買主負担で現況引渡しした場合」
など複数の条件を比較すると判断しやすくなります。
不動産査定では、単に「売却価格はいくらです」と提示してもらうだけでは不十分です。
・その価格の根拠
・どのような買主を想定するのか
・そのまま販売できるのか
・何を先に整理する必要があるのか
・売却までにかかりそうな費用
まで確認しましょう。
6-2.中古住宅・古家付き土地・現況売却・買取を比較する
空き家の売却方法は一つではありません。
代表的には次のような方法があります。
①中古住宅として売却する
建物を住宅として利用できる場合は中古戸建として販売します。
築年数が古くても、間取り、敷地の広さ、立地、駐車場、建物の雰囲気などを評価する買主がいる可能性があります。
②古家付き土地として売却する
建物の価値を積極的に評価せず、建物が付いた土地として販売する方法です。
ただし「古家扱いだから建物について何も説明しなくてよい」という意味ではありません。
建物の状態や登記状況などは確認する必要があります。
③現況のまま売却する
残置物や庭木などを一部残したまま、買主の了承を得て引き渡す方法です。
売主の費用を減らせる可能性がある一方、買主が負担する処分費用などを考慮して売買価格が調整されることがあります。
④建物を解体して土地として売る
建物の状態が悪く、土地需要が期待できる場合には選択肢になります。
ただし、
・解体費
・再建築の可否
・固定資産税
・相続空き家の税制特例
・埋設物
・土地の需要
まで確認してから判断します。
⑤不動産会社へ買い取ってもらう
一般の買主を募集する仲介ではなく、不動産会社が直接購入する方法です。
一般に仲介による売却価格より低くなる傾向がありますが、条件次第では短期間で売却できる可能性があります。
⑥空き家バンク等を利用する
自治体によっては空き家バンク制度があります。
地方への移住希望者などに物件を知ってもらう手段の一つです。
ただし、空き家バンクの制度や登録要件、契約方法は自治体によって異なります。
例えば南部町の空き家バンクでは、町が物件情報を提供しますが、町自身が売買・賃貸借の媒介や契約を行う制度ではありません。
そのため、
不動産会社での販売と空き家バンクのどちらか一つ
と決めつけず、物件や地域の制度に応じて販売経路を検討するとよいでしょう。
7.【やること7】税金・費用を確認して販売を始める
7-1.相続した空き家の売却で確認したい税金
不動産を売却するときは、「売却価格」ではなく最終的な手取り額まで考えます。
代表的な費用は、
・仲介手数料
・印紙税
・司法書士費用
・測量費
・残置物撤去費
・解体費
・登記関係費用
などです。
そして、売却によって利益が生じれば譲渡所得税・住民税が関係します。
基本的な譲渡所得は、
売却代金-取得費-譲渡費用-適用できる特別控除
という考え方で計算します。
相続不動産について重要なのが「取得費」です。
「相続したときの固定資産税評価額」がそのまま取得費になるわけではありません。
原則として、亡くなった方がその不動産を取得したときの取得費や取得時期を相続人が引き継ぎます。
そのため、昔の、
・売買契約書
・建築請負契約書
・領収書
・購入時の精算書
などが残っていれば、安易に捨てないことが重要です。
相続した空き家では、被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除も確認します。
一定の要件を満たした場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
2026年8月時点では、2027年12月31日までの譲渡が制度の対象期間となっています。
代表的な要件として、
・1981年5月31日以前に建築された家屋
・区分所有建物ではない
・原則として相続開始直前に被相続人以外が居住していなかった
・一定期間内に売却する
・売却代金が一定額以下
などがあります。
2024年1月1日以降の譲渡からは、一定の要件のもとで、買主が譲渡年の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを行う場合にも対象となり得る仕組みが設けられています。
また、対象となる不動産を取得した相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以後の譲渡については、一人当たりの特別控除額の上限が2,000万円となります。
すべての相続空き家に使える制度ではないため、
「古い実家だから3,000万円控除が使える」
と決めつけないことが重要です。
もう一つ確認したいのが、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例です。
相続税を納めた人が一定期間内に相続財産を売却するなど所定の要件を満たせば、相続税額の一部を取得費に加算できる場合があります。
対象となる売却期限は、
相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで
です。
税制特例には併用できない組み合わせもあるため、売却益が大きくなりそうな場合には契約前から税理士へ相談すると安心です。
仲介手数料についても、地方の低価格空き家では現行制度を確認しておきましょう。
2024年7月1日以降、売買価格800万円以下の宅地建物については「低廉な空家等」の媒介報酬特例があり、不動産会社が依頼者一方から受ける報酬について、一定の条件のもとで税込33万円までとすることができます。
適用する場合、不動産会社は媒介契約の締結時に報酬額を説明し、依頼者と合意する必要があります。
7-2.媒介契約から売買契約・引渡しまで
売却条件が決まったら、不動産会社と媒介契約を締結して販売を開始します。
媒介契約には、
・一般媒介契約
・専任媒介契約
・専属専任媒介契約
があります。
どの契約が必ず有利ということではありません。
相続空き家の場合には広告量だけでなく、
・権利関係を理解しているか
・未登記建物を整理できるか
・農地がある場合に確認できるか
・残置物を含めて提案できるか
・遠方の売主と進められるか
・司法書士や土地家屋調査士等と連携できるか
といった対応力も確認したいところです。
買主が決まったら、
・売買価格
・手付金
・引渡し時期
・境界
・測量
・残置物
・解体
・登記
・住宅ローン
・農地関係手続
などを調整して売買契約を締結します。
古い空き家では「契約不適合責任」にも注意します。
契約不適合責任とは、引き渡された不動産が種類、品質、数量などについて契約内容に適合していない場合に問題となる売主の責任です。
個人が古い中古住宅を売る場合、契約内容に応じて責任の範囲や期間を定めることがあります。
しかし、
「契約不適合責任を免責にすれば、何も説明しなくてよい」
ということではありません。
売主が把握している、
・雨漏り
・シロアリ
・給排水設備の故障
・越境
・境界問題
・過去の増改築
・建物の重大な不具合
などは、不動産会社へ正確に伝えましょう。
契約後は相続登記や抵当権抹消など必要な登記を整え、残代金決済時に買主へ所有権を移転し、鍵や物件を引き渡します。
8.自分だけで整理できない空き家は誰に相談する?
8-1.問題別に専門家を使い分ける
相続した空き家は、不動産会社だけですべての手続きを完結できるとは限りません。
問題によって専門家を使い分けます。
不動産会社
・不動産査定
・売却方法の提案
・媒介契約
・販売活動
・買主との条件調整
・不動産活用の相談
などを担当します。
司法書士
・相続登記
・所有権移転登記
・所有権保存登記
・抵当権抹消登記
など、不動産の権利に関する登記を取り扱います。
土地家屋調査士
・建物表題登記
・建物の変更登記
・土地の分筆
・地積更正
・境界確認
・測量
など、不動産の物理的状況に関する登記や測量を取り扱います。
税理士
・相続税
・譲渡所得税
・贈与税
・取得費加算
・各種税制特例
・税務申告
などを担当します。
弁護士
・遺産分割の争い
・共有者間の紛争
・相続人との交渉
・訴訟
など法律紛争を担当します。
行政書士
農地関係などの行政手続や一定の書類作成を取り扱う場合があります。
ただし、司法書士が取り扱う不動産の権利登記の申請代理を行う専門家として説明することはできません。
例えば、
「母屋は祖父名義、土地は父名義、倉庫は未登記、裏の畑も一緒に売りたい」
という場合、一人の専門家だけですべて解決するのではなく、
不動産会社+司法書士+土地家屋調査士+必要に応じて行政手続の専門家
という形で進める可能性があります。
重要なのは、自分で相談先を全部判断できるようになってから動くことではありません。
最初の窓口で現状を整理し、必要な専門家へつないでもらう方法もあります。
8-2.「分からない状態」のまま相談してもよい
相続した空き家について、
「登記簿を取ってから相談しよう」
「家を全部片付けてから査定を頼もう」
「兄弟全員の意見が決まってから相談しよう」
と考えていると、数か月、場合によっては数年間そのままになってしまうことがあります。
不動産会社へ相談する段階では、
「父の名義だと思う」
「倉庫は登記されているか分からない」
「相続人が何人いるか調査中」
「畑が付いている」
「家財がそのまま残っている」
という状態でも構いません。
株式会社Wakkaでは、相続不動産について、最初から「売却すること」を前提にするのではなく、
①現在の状態を調べる
②問題点を整理する
③売却までに必要な作業を分ける
④費用をかける部分・かけない部分を考える
⑤売却・管理・活用などの選択肢を比較する
という順序を重視しています。
特に山梨県南部町、身延町などの地方物件や、静岡県富士宮市周辺の郊外物件では、
・古い住宅
・農地付き住宅
・未登記建物
・複数筆の土地
・境界不明
・残置物
・市街化調整区域
など、価格以外の条件が売却に影響することがあります。
株式会社Wakkaが南部町との空き家対策に関する協定において重視しているのも、行政制度そのものを代行することではなく、相続後に放置されやすい空き家について、不動産実務の側から問題を整理し、管理・売却・活用など次の段階へつなげることです。
空き家は、
「売れる家」か「売れない家」か
だけで考える必要はありません。
建物をそのまま利用する人を探す、土地として売る、片付けを最小限にして現況売却する、一定期間管理しながら利用方法を検討するなど、複数の方法があります。
まとめ|相続した空き家は「片付ける前」に7つのことを整理しよう
相続した空き家について「何から始めればよいのか」と迷ったら、まず次の7項目を順番に確認してください。
1.相続人・遺言・相続放棄の可能性を確認する
相続放棄を検討する場合は、原則3か月の期限があるため最優先です。
2.相続不動産を漏れなく把握する
土地、建物、農地、山林、私道持分、倉庫などを確認します。
2026年2月から始まった所有不動産記録証明制度も、不動産を把握する方法の一つです。
3.相続登記と権利関係を整理する
相続登記は2024年4月から義務化されています。
相続登記未了、古い抵当権、共有、未登記建物なども確認します。
4.売却するまで空き家を適切に管理する
換気、雨漏り、庭木、防犯、給排水などを確認します。
「売却予定だから管理しなくてよい」ということではありません。
5.道路・境界・農地・都市計画などを確認する
査定価格だけでなく、「買主がどのように利用できる不動産なのか」が重要です。
6.片付け・解体前に査定を受ける
古家付き、現況売却、解体後売却、買取などを比較します。
先に費用をかけるのではなく、必要な費用かどうかを確認してから決めましょう。
7.税金・費用を確認して販売を開始する
3,000万円特別控除などが使える可能性がある場合、売却方法や時期によって税額が変わることがあります。
相続した空き家で特に避けたいのは、
「何をすればよいか分からないので、そのままにしておく」
ことです。
1年程度であれば状況が大きく変わらなくても、時間が経つにつれて、
・建物が劣化する
・庭木が伸びる
・相続人がさらに増える
・境界を知る人がいなくなる
・重要書類が見つからなくなる
・売却できる状態から遠ざかる
可能性があります。
一方で、
「相続したらすぐ全部片付ける」
「古い家だからすぐ解体する」
という判断も急ぐ必要はありません。
最初に行うべきなのは、
「現在どうなっているのかを調べること」
です。
相続登記が終わっていなくても、未登記建物があっても、農地や残置物があっても、まず現状を整理するところから始めることができます。
株式会社Wakkaでは、相続不動産や空き家について、
「売れるか分からない」
「何が問題なのか分からない」
「どこから手を付ければよいか分からない」
という段階からご相談いただけます。
不動産を売ることだけを目的にせず、問題点を整理し、管理、売却、活用などから適した方向性を考えることが、相続した空き家を次へつなげる第一歩です。
株式会社Wakka
〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
株式会社Wakka
住所:山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
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