富士宮市で相続した実家を売却する方法|相続登記から査定・売買までの完全ガイド
富士宮市で相続した実家を売却する方法|相続登記から査定・売買までの完全ガイド
親や祖父母が亡くなり、富士宮市にある実家を相続したものの、
「何から手を付ければよいのか分からない」
「まだ亡くなった親の名義だけれど売却できるのか」
「相続登記と不動産査定は、どちらを先にするのか」
「古い家なので、そのまま売るべきか解体した方がよいのか」
「市街化調整区域や農地が付いていても売れるのか」
と悩む方は少なくありません。
結論からいうと、富士宮市で相続した実家を売却する場合は、いきなり不動産会社へ販売を依頼するのではなく、「相続関係の確認→権利関係・物件状況の調査→相続登記→査定→売却条件の整理→販売→契約・引渡し」という順番で進めることが重要です。
ただし、すべての作業を完全に一つずつ終わらせる必要はありません。相続登記の準備をしながら不動産会社が現地調査や査定を行うなど、並行して進めることで売却までの期間を短縮できる場合があります。
富士宮市では、市街化区域と市街化調整区域の違い、接道、農地、古い建物、未登記建物、境界、富士山を含むハザード情報など、売却前に確認しておきたい項目が多くあります。
特に相続した実家の場合は、「建物は祖父名義、土地は父名義」「増築部分が未登記」「昔の抵当権が残っている」「敷地の一部が畑」「隣地との境界が分からない」といった問題が、査定後に発覚することもあります。
この記事では、富士宮市で相続した実家を売却する方に向けて、相続直後の確認事項から相続登記、不動産査定、販売、契約、税金までを順番に解説します。
株式会社Wakka
株式会社Wakkaは、山梨県南部町を拠点に、富士宮市を含む山梨県南部・静岡県東部で、不動産売却、空き家、相続不動産などのご相談に対応している不動産会社です。
一般的な住宅や土地だけでなく、相続登記未了、未登記建物、古家、農地付き住宅、残置物が多い空き家、境界や権利関係の整理が必要な不動産などについても、まず「何が問題になっているのか」を整理することを重視しています。
必要に応じて司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁護士などと連携し、不動産会社だけで判断できない部分を適切な専門家につなぎながら売却方法を検討します。
また、株式会社Wakkaは山梨県南部町と空き家対策に関する協定を締結しています。行政制度を代行するものではありませんが、相続後の空き家について、売却前に必要となる登記・建物・残置物・管理・利活用などの不動産実務を整理し、次の活用につなげる考え方を富士宮市でのご相談にも生かしています。
株式会社Wakka
〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
目次
富士宮市で相続した実家を売却する全体の流れ
相続直後に最初に確認する期限
相続から売却までの基本的な7ステップ
相続人と相続する不動産を確定する
遺言書・戸籍・遺産分割協議を確認する
土地・建物・未登記部分を漏れなく調べる
実家を売る前に相続登記を行う
2024年から相続登記は義務化されている
相続登記に必要な書類と専門家の役割
富士宮市の実家で売却前に確認したいポイント
市街化調整区域・接道・建物・境界を調査する
農地・ハザード・空き家の状態も確認する
相続した実家を査定し、売却方法を決める
査定価格だけでなく「売れる条件」を確認する
古家付き・現況売却・解体・買取を比較する
販売開始から売買契約・引渡しまでの流れ
媒介契約・販売活動・買主との条件調整
契約不適合責任・残置物・抵当権などを整理する
相続した実家を売却したときの税金と費用
譲渡所得税と「取得費」が重要になる
空き家3,000万円特別控除などを確認する
売却が難しい実家は誰に相談すればよいのか
相続・登記・境界・農地など問題別の相談先
最初から完璧に整理せず、まず現状を把握する
1.富士宮市で相続した実家を売却する全体の流れ
1-1.相続直後に最初に確認する期限
実家の売却を考える前に、まず確認したいのが「相続に関する期限」です。
不動産について特に重要なのは、相続放棄、相続税、相続登記の3つです。
相続放棄を検討する場合、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。財産より借金の方が多い可能性がある場合などは、不動産だけを見て売却を進めるのではなく、相続財産全体を確認してから判断する必要があります。
相続税の申告が必要な場合は、原則として、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内が申告・納付期限です。遺産分割協議が終わっていなくても、この期限そのものが自動的に延長されるわけではありません。
そして、不動産の相続登記については2024年4月1日から申請が義務化されています。
このように、
相続放棄:原則3か月
相続税:申告が必要な場合は原則10か月
相続登記:原則3年
と、それぞれ期限の考え方が異なります。
「実家を売るかどうか」は、この相続手続全体の中で考えることが重要です。
1-2.相続から売却までの基本的な7ステップ
富士宮市で相続した実家を売却する場合、おおむね次の流れで進みます。
STEP1 遺言書と相続人を確認する
誰が相続人なのか、遺言書があるのかを確認します。
STEP2 相続財産と不動産を確認する
土地・建物の登記事項証明書、固定資産税関係資料、名寄帳などを確認します。
STEP3 遺産分割を決める
遺言等で取得者が決まっていない場合は、相続人間で誰が不動産を取得するか話し合います。
STEP4 相続登記を行う
亡くなった方から相続人へ名義を変更します。
STEP5 不動産調査と査定を行う
道路、都市計画、建物、境界、農地、インフラ、ハザードなどを調べます。
STEP6 販売・売買契約を行う
売出価格を決め、買主を募集します。
STEP7 残代金決済・所有権移転・引渡しを行う
代金を受け取り、買主へ所有権を移転して物件を引き渡します。
相続登記が終わっていなくても、状況確認や査定を先行して行える場合があります。
そのため、「登記が終わるまで不動産会社へ相談してはいけない」ということではありません。
むしろ、早い段階で査定を行うことで、
「売却した場合はいくらくらいなのか」
「相続人の誰が取得するのがよいのか」
「解体費用をかけても売却できそうなのか」
といった判断材料を遺産分割前に把握できる場合があります。
2.相続人と相続する不動産を確定する
2-1.遺言書・戸籍・遺産分割協議を確認する
最初に確認するのは遺言書です。
遺言書がある場合は、その内容によって不動産を取得する人が定められている可能性があります。
遺言書がなく、複数の相続人がいる場合は、戸籍を収集して法定相続人を確定させた上で、遺産分割協議を行うのが一般的です。
注意したいのは、相続人の一人が、
「昔から自分が家を管理している」
「固定資産税を自分が払っている」
「兄弟から口頭で任されている」
という理由だけで自由に売却できるとは限らないことです。
売却するには、誰がその不動産を取得するのかを法的に整理し、売主となる人へ適切に登記を移しておく必要があります。
相続人が多い場合や、長期間相続登記がされていない場合には注意が必要です。
例えば祖父名義のまま父も亡くなっている場合、祖父の相続と父の相続が重なる「数次相続」になっていることがあります。
こうしたケースでは、現在の家族だけでなく、過去の相続人の戸籍や遺産分割の確認が必要となり、通常の相続登記より時間がかかる可能性があります。
相続人同士で不動産の取得について意見が対立している場合は、不動産会社が遺産分割の争いを代理して解決することはできません。必要に応じて弁護士への相談が必要です。
2-2.土地・建物・未登記部分を漏れなく調べる
相続した「実家」は、必ずしも土地1筆、建物1棟だけとは限りません。
地方の不動産では、
・自宅敷地が複数の筆に分かれている
・家の裏側に山林がある
・離れや倉庫がある
・敷地の一部が畑になっている
・昔の道路持分がある
・増築部分だけ登記されていない
といったケースがあります。
固定資産税の納税通知書だけを見て判断するのではなく、登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面などを確認することが重要です。
2026年2月2日からは「所有不動産記録証明制度」も始まっています。
これは、登記官が特定の人について、登記簿上の所有者として記録されている不動産を検索し、一覧化して証明する制度です。所有者本人のほか、相続人等も請求できます。相続する土地を把握しきれていない場合には有効な制度です。
ただし、検索条件となる氏名や住所と登記記録が一致しない不動産などは抽出されない場合があり、万能ではありません。
また、そもそも登記されていない建物は、不動産登記記録からは把握できません。
例えば現地には母屋、離れ、倉庫の3棟があるのに、登記されているのは母屋だけということもあります。
このような未登記建物については、土地家屋調査士に建物の状態や表題登記の必要性を確認します。
建物表題登記など建物の物理的な登記は土地家屋調査士、所有権保存登記や相続による所有権移転など権利の登記は司法書士という役割の違いを覚えておくと分かりやすいでしょう。
3.実家を売る前に相続登記を行う
3-1.2024年から相続登記は義務化されている
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。
相続により不動産を取得した相続人は、原則として「自己のために相続が開始したこと」と「その不動産を取得したこと」を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。
以前から相続したことを知っていたにもかかわらず相続登記をしていない不動産については、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
また、遺産分割によって不動産を取得する人が決まった場合には、その遺産分割の日から3年以内に、遺産分割の内容を反映した登記を申請する義務があります。
遺産分割がまとまらず期限までに相続登記ができない場合には、「相続人申告登記」という制度もあります。
ただし、ここは誤解しやすいところです。
相続人申告登記をしただけでは、その不動産を売却するための所有権登記が完成したことにはなりません。
法務省も、相続人申告登記は相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度であり、不動産を売却したり抵当権を設定したりする場合には、別途相続登記が必要と案内しています。
そのため、富士宮市の実家を売却するのであれば、最終的には売主となる相続人までの権利関係を正式に登記する必要があります。
3-2.相続登記に必要な書類と専門家の役割
必要書類は相続方法によって異なりますが、遺産分割協議による一般的な相続登記では、
・被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍
・被相続人の住民票除票または戸籍の附票
・相続人の戸籍
・遺産分割協議書
・必要な相続人の印鑑証明書
・不動産を取得する相続人の住所を証明する書類
・固定資産評価額が分かる資料
などを使用します。
遺言による相続では、必要書類が変わります。
相続登記の登録免許税は、原則として対象不動産の固定資産税評価額を基礎として0.4%で計算されます。
なお、一定の相続登記や一定額以下の土地については登録免許税の免税措置があり、現在の適用期限は2027年3月31日です。条件に該当するかは個別に確認する必要があります。
相続登記は本人申請も可能ですが、
・相続人が多い
・数次相続になっている
・遺言がある
・住所のつながりが取れない
・古い抵当権が残っている
・売却期限が決まっている
といった場合は司法書士へ相談した方が進めやすいことがあります。
不動産会社は査定や販売を担当し、司法書士は相続登記等の権利登記を担当するというように、業務を分けて進めます。
4.富士宮市の実家で売却前に確認したいポイント
4-1.市街化調整区域・接道・建物・境界を調査する
富士宮市の不動産売却で特に重要なのが都市計画です。
富士宮市は富士市とともに岳南広域都市計画区域を構成し、市街化区域と市街化調整区域を分ける「区域区分」が導入されています。
市街化調整区域は、市街化を抑制する区域であり、原則として開発や建築行為が制限されています。
ここで重要なのは、
「現在住宅が建っているから、買主も自由に建替えられる」とは限らない
ということです。
既存建物の建築経緯、用途、都市計画法上の許可状況、建替えや用途変更の可否などを確認する必要があります。
市街化調整区域の住宅でも売却自体ができないという意味ではありません。
しかし、買主が将来どのように利用できるのかによって市場性が変わるため、査定価格にも影響します。
接道状況も重要です。
「敷地の前に道路らしきものがある」というだけでは判断できません。
道路の種類、幅員、敷地がどの程度接しているか、私道持分の有無、建築基準法上どのような扱いになるかなどを確認します。
境界も同様です。
境界杭がないから必ず測量が必要というわけではありませんが、
・隣地との境界位置に争いがある
・塀や建物が越境している
・登記面積と現況が大きく異なる
・土地を分筆して売却する
といった場合は、土地家屋調査士による測量や境界確認が必要になる可能性があります。
4-2.農地・ハザード・空き家の状態も確認する
富士宮市では、市街地の住宅だけでなく、郊外に農地や山林を伴う住宅もあります。
相続した実家に田や畑が付いている場合、宅地と同じ感覚で売却することはできません。
農地を相続した場合には農地法第3条の3に基づく届出が関係し、農地を耕作目的で売買する場合には原則として農地法第3条の許可、農地を転用して権利移転する場合には農地法第5条の許可または届出が関係します。
富士宮市では、市街化調整区域内の転用と市街化区域内の転用でも手続が異なります。
「家は売れるが、隣の畑の処理が決まらない」ということもあり得るため、農地が付いている場合は販売開始前に確認しておくことが重要です。
ハザード情報も確認します。
富士宮市は2026年に総合防災マップを更新しており、洪水、土砂災害、地震、富士山の火山災害などについて確認できるようになっています。
ハザード区域だから売却できないということではありません。
重要なのは、買主が判断できるよう正確な情報を把握し、不動産の特徴として適切に説明することです。
さらに空き家の場合は、
・雨漏り
・シロアリ被害
・床の腐食
・給排水設備
・浄化槽
・井戸
・庭木
・残置物
・屋根や外壁の劣化
なども確認します。
富士宮市が令和4年度に実施した空き家実態調査では、市内で1,530件が空き家と判定されています。市も空き家の適正管理や相続・処分について情報発信を行っています。
使用予定のない実家は、長期間そのままにするより、早めに「売る・貸す・管理する・解体する」など今後の方向性を決めておくことが重要です。
5.相続した実家を査定し、売却方法を決める
5-1.査定価格だけでなく「売れる条件」を確認する
不動産査定というと「いくらで売れるか」だけに注目しがちですが、相続した実家では価格以外の確認が重要です。
特に確認したいのは、
・誰が売主になるのか
・相続登記はいつ終わるのか
・建物はすべて登記されているか
・抵当権は残っていないか
・再建築や用途変更に問題はないか
・境界は確認できるか
・残置物を撤去するのか
・農地は一緒に売れるのか
という点です。
査定金額が高くても、買主への引渡しまでに解決できない問題が多数残っていれば、実際には売却が進みません。
反対に、建物が古くても、
「古家付き土地として販売する」
「現況のまま引き渡す」
「買主によるリフォームを前提とする」
など条件を整理することで、売却できる可能性があります。
査定では、周辺の成約事例や売出物件だけでなく、土地の形状、接道、都市計画、建物状態、生活利便性、インフラ、ハザード、再利用方法などを総合的に見ます。
富士宮市の場合、市街化区域内の一般住宅と、市街化調整区域にある古い住宅とでは、同じ土地面積・建物面積であっても評価の考え方が異なることがあります。
そのため、「固定資産税評価額が○○万円だから○○万円で売れる」という単純な計算ではありません。
5-2.古家付き・現況売却・解体・買取を比較する
古い実家の場合、主に次のような売却方法があります。
①中古住宅として売る
建物を利用できる状態であれば、中古戸建として販売します。
多少古くても、立地や間取り、土地の広さ、駐車場、リフォーム可能性などを評価する買主がいる場合があります。
②古家付き土地として売る
建物の価値を積極的に評価せず、既存建物がある土地として販売する方法です。
ただし、「古家付き土地」としたから建物に関する説明が不要になるわけではありません。
③残置物を残して現況売却する
家具や家財が大量に残っている場合、買主の承諾を得て現況のまま売却する方法も考えられます。
売主の撤去費用を抑えられる一方、買主が負担する処分費用を考慮して売買価格が調整される可能性があります。
④解体して土地として売る
建物の劣化が激しく、土地需要が高い場合には解体後の売却も選択肢になります。
ただし、査定前に解体を決めることはおすすめできません。
建物を解体すると、一定の場合に住宅用地に対する固定資産税等の特例が使えなくなる可能性があります。富士宮市では、小規模住宅用地について固定資産税の課税標準を原則6分の1とする特例があります。
また、後述する相続空き家の3,000万円特別控除との関係、再建築の可否、解体費と土地価格のバランスも確認する必要があります。
⑤不動産会社による買取
仲介より価格が低くなる傾向はありますが、条件次第では早期処分につながります。
どの方法が適しているかは物件によって異なります。
重要なのは、「解体してから相談する」のではなく、「建物を残した状態で複数の売却方法を比較してから決める」ことです。
6.販売開始から売買契約・引渡しまでの流れ
6-1.媒介契約・販売活動・買主との条件調整
売却方法が決まったら、不動産会社と媒介契約を締結して販売を開始します。
媒介契約には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介があります。
どれを選べば必ず高く売れるというものではありません。
相続不動産では、単純な広告量よりも、
・権利関係を説明できるか
・未登記建物に対応できるか
・農地を整理できるか
・古家の利用方法を買主に提案できるか
・遠方の相続人と連絡を取りながら進められるか
といった実務対応も重要です。
販売開始後は、不動産ポータルサイト、自社ホームページ、指定流通機構などを利用して買主を募集します。
購入希望者が現れたら、
・売買価格
・手付金
・引渡し時期
・残置物
・境界
・測量
・解体
・農地関係手続
・住宅ローン
・契約不適合責任
などを調整します。
相続登記を進めながら販売する場合は、「いつまでに売主名義へ登記できるのか」も契約スケジュールに影響します。
6-2.契約不適合責任・残置物・抵当権などを整理する
古い実家を売却する際に重要なのが、物件の不具合をどのように取り扱うかです。
売買契約の内容に適合しない状態があった場合に、一定の要件のもとで売主が負う責任を「契約不適合責任」といいます。
個人が売主となる中古住宅では、物件の状態に応じて責任の範囲や期間について特約を設けることがあります。
しかし、「古い家だからすべて免責と書けば何も説明しなくてよい」という考え方は適切ではありません。
売主が把握している、
・雨漏り
・シロアリ
・給排水の不具合
・越境
・過去の事故
・増改築
・境界問題
などは、不動産会社に正確に伝えてください。
残置物についても「家の中にあるもの全部込み」という曖昧な状態にせず、何を残し、何を撤去するのか契約前に整理することが重要です。
また、昔の住宅ローンや借入に伴う抵当権が登記簿に残っていることがあります。
借金そのものは完済していても、抵当権抹消登記がされていなければ登記記録には残ります。
売買代金の決済時には、原則として買主が問題なく所有権を取得できる状態にする必要があるため、抵当権が残っていれば司法書士と抹消方法を確認します。
数十年前の抵当権で金融機関が合併・解散している場合などは、通常より整理に時間がかかる可能性があります。
7.相続した実家を売却したときの税金と費用
7-1.譲渡所得税と「取得費」が重要になる
相続した実家を売却した場合、売却代金そのものにそのまま所得税がかかるわけではありません。
基本的には、
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-適用できる特別控除=課税譲渡所得
という考え方で計算します。
「取得費」とは、原則としてその不動産を取得するためにかかった金額です。
ここで非常に重要なのが、相続したときの固定資産税評価額や相続税評価額が、そのまま売却時の取得費になるわけではないということです。
相続した土地・建物については、原則として被相続人が購入したときの取得費を引き継ぎます。
さらに所有期間についても、被相続人の取得時期を引き継ぎます。
したがって、相続したばかりの実家をすぐに売ったからといって、必ず短期譲渡所得になるわけではありません。
親が30年前に購入した不動産なら、その取得時期を引き継いで判定します。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得です。
2026年中の譲渡について、通常の長期譲渡所得は所得税15%・住民税5%、短期譲渡所得は所得税30%・住民税9%が基本となり、所得税には別途復興特別所得税が加算されます。
取得費が分からない場合には、一定の場合、売却金額の5%を概算取得費とする方法があります。
しかし、実際の取得費が大きかったにもかかわらず資料が見つからず5%しか取得費として扱えないと、譲渡所得が大きくなる可能性があります。
そのため、相続した実家では、
・昔の売買契約書
・建築工事請負契約書
・領収書
・購入時の精算書
などを安易に処分しないことが重要です。
売却に直接必要となった仲介手数料、一定の測量費、売買契約書の印紙代、一定の解体費などは、譲渡費用に含められる場合があります。
7-2.空き家3,000万円特別控除などを確認する
相続した実家で特に確認したいのが、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」です。
一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
2026年8月現在、この制度の適用期間は2027年12月31日までとされています。
代表的な要件には、
・1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
・区分所有建物ではないこと
・原則として相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったこと
・相続から売却まで事業、貸付け、居住などに使用していないこと
・相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・売却代金が1億円以下であること
などがあります。
老人ホーム等に入所していた場合でも、一定の要件を満たせば対象になる場合があります。
また、2024年1月1日以後の譲渡については、売却時点で耐震基準を満たしていない家屋でも、買主が譲渡年の翌年2月15日までに耐震改修または建物の取壊しを行うなど、一定の要件を満たせば適用対象となる仕組みが追加されています。
なお、2024年1月1日以後の譲渡で、この特例の対象となる不動産を取得した相続人が3人以上いる場合は、一人当たりの特別控除額の上限が2,000万円となります。
富士宮市では、この制度の申告に必要となる「被相続人居住用家屋等確認書」を建築住宅課で発行しています。
ただし、「古い空き家なら3,000万円控除が使える」という制度ではありません。
建築時期、居住状況、相続後の使用状況、売却期限、耐震・解体状況など複数の要件があるため、売買契約をする前に税理士や税務署へ確認することをおすすめします。
もう一つ確認したいのが「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」です。
相続税を納めた人が、相続した不動産を一定期間内に売却するなど所定の要件を満たす場合、相続税額の一部を取得費に加算できることがあります。対象期間は、正確には「相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」です。
ただし、相続空き家の3,000万円特別控除との併用には制限があります。
どちらが有利かは取得費、売却価格、相続税額などで変わるため、金額が大きい場合は売却前に税理士へ試算を依頼するとよいでしょう。
売却時にはこのほか、
・仲介手数料
・司法書士費用
・測量費
・残置物撤去費
・解体費
・印紙税
などが発生する場合があります。
不動産会社の売買仲介手数料には法定の上限があります。
また、2024年7月1日以降、売買価格800万円以下の「低廉な空家等」については、媒介に要する費用を考慮し、依頼者一方から受けられる報酬について税込33万円までとする特例が設けられています。適用する場合は媒介契約時などに条件を確認しておきましょう。
8.売却が難しい実家は誰に相談すればよいのか
8-1.相続・登記・境界・農地など問題別の相談先
相続した実家は、問題によって相談先が異なります。
不動産会社
査定、売却方法の提案、媒介、販売活動、買主との売買条件調整などを担当します。
司法書士
相続登記、所有権移転登記、抵当権抹消など、不動産の権利に関する登記を担当します。
土地家屋調査士
建物表題登記、土地分筆、地積更正、測量、境界確認などを担当します。
税理士
相続税、譲渡所得税、取得費加算、各種税制特例など税務の相談・申告を担当します。
弁護士
遺産分割の争い、他の相続人との交渉、訴訟その他の法律紛争を担当します。
行政書士
農地関係など一定の行政手続や書類作成を取り扱う場合があります。ただし、司法書士が行う不動産の権利登記の申請代理を行う専門家ではありません。
例えば、
「父名義の土地に祖父名義の建物がある」
「建物が未登記」
「敷地の一部が農地」
「相続人同士で意見が合わない」
という案件なら、一つの専門家だけで完結しない可能性があります。
そのため、最初に不動産全体の問題を整理し、「どの作業を誰に依頼するのか」を決めることが重要です。
8-2.最初から完璧に整理せず、まず現状を把握する
相続した実家について相談する際、
「相続登記を全部終わらせてからでないと、不動産会社には相談できない」と考える必要はありません。
株式会社Wakkaでは、例えば、
・まだ被相続人名義
・相続人が複数いる
・未登記建物がある
・古い抵当権が残っている
・残置物が大量にある
・農地が付いている
・境界が分からない
・建物がかなり老朽化している
といった段階でも、まず現在の状況を確認し、売却までに整理する項目を洗い出すことを重視しています。
「そのまま売れる部分」と「先に解決すべき部分」を分ければ、すべてを最初に完璧にする必要がない場合もあります。
これは、空き家を単に「売却できる・できない」で判断するのではなく、
まもる、活かす、つなぐ
という視点で次の利用方法を考えることにもつながります。
株式会社Wakkaが南部町と締結している空き家対策に関する協定でも、行政制度を置き換えるのではなく、相続後の空き家が管理・売却・活用につながっていくために必要な不動産実務を民間の立場から補完することを重視しています。
富士宮市の不動産についても同様に、行政の空き家施策とは別に、不動産会社として売却、査定、権利関係の確認、専門家との連携などを行うことができます。
富士宮市自身も、空き家について「建物付きで売却する」「貸家にする」「更地にして土地を売却する」などの方法を案内しており、処分や利活用について宅地建物取引業者へ相談する方法を紹介しています。
まとめ|富士宮市で相続した実家は「相続」と「不動産」を同時に整理する
富士宮市で相続した実家を売却するときに最も重要なのは、単に「いくらで売れるか」を確認するだけではありません。
まず、
1.遺言書と相続人を確認する
2.相続した土地・建物を漏れなく把握する
3.登記名義・未登記建物・抵当権を確認する
4.相続登記を進める
5.都市計画・道路・境界・農地・ハザード等を調査する
6.建物を残すか、現況売却か、解体するかを比較する
7.査定後に販売条件を決める
8.売買契約・引渡しを行う
9.譲渡所得や税制特例を確認する
という順番で考えると整理しやすくなります。
特に富士宮市では、市街化区域と市街化調整区域、農地、古い住宅、郊外の土地、富士山・洪水・土砂災害等のハザードなど、所在地によって確認事項が大きく変わります。
また、相続した実家を長期間放置すると、建物の劣化だけでなく、相続人が増える、登記が複雑になる、境界資料を知る人がいなくなるなど、将来の売却が難しくなる要因が増える可能性があります。
2023年施行の改正空家法では、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」に対する仕組みも導入されており、市区町村から勧告を受けた管理不全空家や特定空家の敷地については、固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れることがあります。
使う予定がないのであれば、「いつか考える」ではなく、まず現在の状態とおおよその査定価格を確認することが第一歩です。
相続登記が未了でも、未登記建物があっても、残置物が多くても、最初の相談段階ですべてを解決しておく必要はありません。
重要なのは、
「何が問題なのか」
「売却までに何を解決する必要があるのか」
「どこまで費用をかけるべきなのか」
「誰に依頼すればよいのか」
を順番に整理することです。
株式会社Wakkaでは、富士宮市の相続不動産、空き家、土地、中古住宅、古家、農地付き住宅などについて、売却査定だけでなく、売却前に確認すべき問題点の整理からご相談いただけます。
相続した実家について、
「売れるかどうか分からない」
「登記がどうなっているのか分からない」
「片付けてから相談した方がよいのか迷っている」
という段階でも、まずは現在の状態を確認するところから始めてみてください。
株式会社Wakka
〒409-2217
山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
電話番号:0556-64-8064
株式会社Wakka
住所:山梨県南巨摩郡南部町本郷6507
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