富士宮市の古民家と農地の相続・売買: 法的ステップとアドバイス

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富士宮市での不動産取引では、古民家や農地の相続と売買に関する制度の理解が重要です。この記事では、相続した農地や古民家をどのように管理し、適切に売買を進めるかのステップを詳しく解説します。また、農地法の基本情報と近年の改正点、相続や売買を進める際の想定事例やよくある質問も取り上げます。これから不動産の相続や売買を考えている方に役立つ情報をお届けします。

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不動産相続と農地法の基本を知る

不動産の相続において農地は特に法的な規制が厳しい領域です。相続することで、思わぬ問題に直面することも少なくありません。ここでは、不動産相続で知っておくべき農地法の基本と関連する手続きについて解説します。

農地法ってどんな法律?

農地法は、農地の権利移動や転用などのルールを定め、農地を適正かつ効率的に利用することを図る法律です。農地の売買や貸借を耕作目的で行う場合は原則として第3条の許可が必要で、農地以外の用途に使う場合は第4条または第5条の転用手続きが関係します。農地法は農地を単に保護するだけでなく、農地の権利を適正に移動させ、農業上の有効利用を確保する役割も持っています。

農地法では、耕作目的の権利移動と農地転用で手続きが異なります。農地を耕作目的で売買・貸借する場合は原則として農業委員会の第3条許可が必要です。自己所有農地の転用は第4条、転用目的の権利移動は第5条が基本で、市街化区域内では届出となる場合があります。富士宮市の公式案内でも、耕作目的の権利移動、第4条転用、第5条転用を分けて申請・届出の方法を示しています。

初めて農地を購入する場合も、農地法第3条の許可要件を満たす必要があります。売主が農業を営むことは要件ではありませんが、買主には農地を効率的に利用することなどが求められます。なお、従来の下限面積要件は2023年4月に廃止されています。

農地を相続すること自体に農地法第3条の許可は不要ですが、相続や遺産分割で農地を取得した場合は農業委員会への届出が必要です。また、相続登記も別途必要です。相続未登記の農地を売却する場合は、売買による所有権移転登記ができるよう権利関係を整理します。

このように農地法は、耕作目的の権利移動、農地転用、相続後の届出など、行為ごとに手続きが異なります。農地を相続・売却する際は、登記簿の地目だけでなく現況や区域区分、農振農用地、地域計画なども確認し、農業委員会等へ事前相談することが重要です。富士宮市の農地については、市農業委員会が農地法に基づく申請や届出の窓口となっています。土地ごとに必要書類や申請時期も確認しましょう。


相続する農地に関わる法律

相続する農地では、農地法の届出と不動産登記を分けて考える必要があります。相続や遺産分割などで農地の権利を取得した場合は、所在地の農業委員会へ第3条の3の届出を行います。また、相続により不動産を取得した相続人には原則3年以内の相続登記義務があります。農業委員会への相続届出を行っても、不動産登記簿の名義が自動的に変更されるわけではありません。両方の手続きを忘れないようにしましょう。

相続未登記の農地を売却する場合は、相続関係を整理し、売買による所有権移転登記ができる状態にすることが基本です。遺産分割で一人が取得する場合は原則として相続人全員の協議が必要ですが、遺言や法定相続などでは必要な手続きが異なります。売買契約自体をいつ締結するかは案件によって異なりますが、決済・所有権移転までに相続登記と農地法上の許可関係を整える必要があります。

相続した農地を農業以外の目的で利用する場合は、農地転用の手続きが必要です。自己転用は農地法第4条、転用目的の権利移動は第5条が基本です。富士宮市では市街化調整区域内は許可申請、市街化区域内は原則として届出となり、農振や地域計画の確認も必要です。地域計画の対象農地では、転用申請前に計画変更が必要となる場合があります。農振農用地であれば農振除外の可否も別途確認します。

相続した農地を他人に貸して耕作してもらう場合も、通常の賃貸借契約だけでは足りません。原則として農地法第3条の許可、または農地バンクを利用する手続きなどが必要です。契約内容と利用制度を農業委員会へ確認してから進めましょう。

このように、相続農地には相続登記、農業委員会への届出、売買・貸借の許可、転用手続きなど複数の制度が関係します。必要な手続きは相続方法、土地の指定、買主や借主の利用目的によって異なるため、権利関係と土地利用規制を先に整理することが大切です。早い段階で必要な手続きを一覧化しておくと、売却や貸借の際に許可待ちで予定が大きくずれるリスクを減らしやすくなります。

相続した農地はどう活用する?具体策を検討

相続した農地は、保有、耕作、貸借、売却、転用など複数の選択肢があります。ただし自由に用途変更できる土地ではないため、まず耕作状況、農地区分、地域計画などを確認し、実現可能な方法を比較しましょう。

農業以外の利用方法を考える

相続した農地について農業以外の利用方法を検討することはできますが、自由に用途を変更できるわけではありません。駐車場、資材置場、店舗、イベント施設などとして利用する場合は農地転用に当たる可能性があるため、農地区分と許可の可否を事前に確認しましょう。

一つの方法として、農業を続けながら収穫体験や直売などを行うことが考えられます。ただし、いちご狩りや野菜収穫体験でも、駐車場や受付施設などを農地上に設ける場合は、内容によって農地転用その他の手続きが必要になることがあります。集客や収益も立地や運営方法によって異なるため、必要な許認可と事業性を確認して計画することが大切です。また、農産物の販売や飲食提供を伴う場合は、農地法以外の営業許可や施設基準が関係することもあります。利用内容を具体化してから確認しましょう。

農地をイベントやワークショップの場所に利用する場合も、反復継続して農業以外の用途に供したり、駐車場や工作物を設けたりすると農地転用に該当する可能性があります。一時利用でも扱いは内容によって異なるため、利用期間や設備を整理し、農業委員会等へ事前に確認しましょう。近隣への騒音や車両の出入りが生じる利用では、農地法だけでなく道路や近隣環境への影響も確認し、運営方法まで含めて検討する必要があります。

自然環境を生かした体験事業などを検討する場合も、農地として利用する範囲を超えると転用手続きが必要になることがあります。エコツーリズムという名称だけで農地法の規制が外れるものではありません。設備、駐車場、安全対策、需要なども合わせて確認しましょう。

このように、相続した農地では条件を満たせば農業以外の活用を検討できる場合もあります。ただし、収益化や地域貢献が必ず実現するわけではなく、農地法、農振法、都市計画法などの制限を受けます。まず農地の区分と利用目的を確認し、許可の見込みや整備費、需要を比較することが大切です。特に農振農用地や地域計画の対象農地では、転用の前提となる手続きに時間を要することがあります。アイデアだけで判断せず、実行可能性を先に調べましょう。

農地を売却する前の準備

農地を売却する前には、権利関係と農地法上の条件を確認することが重要です。耕作目的の売買と転用目的の売買では必要な許可が異なるため、登記、現況、農地区分、買主の利用目的を整理してから価格や条件を検討しましょう。

農地の価格を検討する際は、近隣の取引事例のほか、面積、形状、接道、用水、土質、耕作状況、農地区分などを確認します。農地は宅地と同じ市場で取引されるとは限りません。不動産会社の査定や公的な地価情報を参考にし、農業委員会には制度や許可条件を確認しましょう。農地の利用目的が耕作のままか、転用を前提とするかでも想定できる買主層は変わります。査定の前提条件を明確にして比較することが重要です。

売却にかかる費用も事前に整理しましょう。仲介の場合は仲介手数料が発生することがあり、印紙税、登記関係費用、測量費などが必要になる場合もあります。譲渡所得税は取得費や所有期間、特例によって異なるため、手取り額は個別に確認することが大切です。

売却条件では、引渡し時期だけでなく、農地法の許可が得られなかった場合の扱い、境界、残置物、農作物や設備の処理なども確認しましょう。転用目的の取引では、買主の事業計画や都市計画法上の許可が関係する場合があるため、契約条件を具体的に整える必要があります。

農地の売却では、耕作目的なら農地法第3条、転用目的なら第5条の手続きを確認します。相続登記が未了ならその整理も必要です。不動産会社は取引、司法書士は登記、行政書士は許認可書類など専門家ごとに業務範囲が異なるため、必要な相談先を分けて利用しましょう。

直ちに売却しない場合は、農地として貸す方法もあります。ただし賃貸借契約だけで自由に貸せるわけではなく、原則として農地法第3条の許可や農地バンクの手続きなどが必要です。賃料、管理負担、借り手の需要、将来の利用方針を比較して判断しましょう。2025年4月以降、農地バンクを経由する貸借の仕組みがより重要になっています。どの方法が使えるかは所在地の農業委員会で確認しましょう。

古民家の売買で押さえておきたいポイント

古民家は築年数や状態、立地で評価が異なり、古い意匠を好む買主がいても、需要が一律に高いとは限りません。接道や修繕費も確認します。

古民家の価値を高めるために

古民家の売却では、最初から大規模なリノベーションを行うことが必ず有利とは限りません。改修費を売却価格で回収できない場合もあるため、まず屋根、基礎、雨漏り、設備などの状態を確認し、現況販売と修繕後の販売を比較することが重要です。

屋根や外壁、基礎、配管、電気設備などの修繕で安全性や使用性を改善できる場合があります。ただし、修繕すれば物件価値が飛躍的に高まるとは限りません。工事費、工期、買主層、売却見込み価格を比較し、費用対効果を確認してから工事を検討しましょう。

古民家らしい意匠を残しながら設備を更新する方法もありますが、改修内容は建物ごとに判断が必要です。間取り変更や構造部分に関わる工事では法令や安全性の確認が必要になる場合があります。売却前の改修は、状態、予算、想定する買主の需要を踏まえて検討しましょう。大規模な修繕や模様替えでは、建物の規模や工事内容によって建築確認が必要となる場合もあります。施工前に専門家へ確認しましょう。

販売では、周辺の交通、買物、医療、自然環境など生活に関係する情報を具体的に伝えることが役立ちます。ただし、観光名所や地域文化が必ず売却価格や需要を高めるわけではありません。利点だけでなく、アクセス、災害リスク、管理負担なども含めて説明しましょう。また、富士宮市内でも市街地と山間部では交通や生活利便性が異なります。抽象的な地域評価ではなく、物件周辺の具体的情報を示しましょう。

販売活動では、室内外の写真、間取り、物件状態、周辺環境などを分かりやすく掲載することが重要です。専門の撮影者やSNSを使う方法もありますが、必須ではなく、広範囲から反響が得られる保証もありません。物件に合う媒体を選び、誇張のない情報発信を行いましょう。

こうした取り組みは古民家の特徴を購入希望者へ伝えるために役立ちますが、改修や広告を行えば希望価格で売れることを保証するものではありません。まず現況査定を受け、修繕した場合とそのまま販売した場合の費用対効果を比較し、現実的な販売条件を設定しましょう。


売買契約の際の注意点

古民家の売買契約を締結する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが非常に重要です。古民家特有の特性や潜在的なリスクを理解し、契約内容を明確にすることで、トラブルを避けることができるでしょう。

まず、契約書の内容を十分に確認することが重要です。契約書には物件の表示、売買価格、引渡し日、設備、解除条件、契約不適合責任などを記載します。現在の民法では従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」として整理されているため、古民家では雨漏りや設備故障など把握している状態を契約内容や告知書等に具体的に反映させることが大切です。

古民家は築年数が古く、目視だけでは分からない劣化が存在することがあります。売主が把握している不具合や修繕履歴は整理し、買主へ説明することが重要です。必要に応じて建物調査を検討できますが、調査ですべての不具合を発見できるわけではありません。責任範囲と告知内容を分けて確認しましょう。売主が知っている不具合を告げずに契約した場合は、特約の内容だけでは整理できない問題が生じることがあります。事実の告知を丁寧に行いましょう。

契約では、融資利用、農地が含まれる場合の許可、測量や登記の完了などを条件として定めることがあります。融資承認や農地法許可が得られなかった場合の解除条件、期限、費用負担などを明確にしておくことで、条件が成就しなかった場合の扱いを整理しやすくなります。

契約内容が複雑な場合は専門家への相談も有効です。不動産会社は取引条件、司法書士は登記、土地家屋調査士は表示登記や測量、弁護士は法的紛争など、それぞれ業務範囲が異なります。農地が含まれる場合は農業委員会や行政書士への確認が必要になることもあります。

こうした点を確認しながら契約を進めることで、古民家特有の状態や法令条件を契約内容に反映しやすくなります。「古い建物だから現状有姿でよい」と一律に考えず、売主が把握する情報と双方の合意を明確にすることが、適切な中古住宅取引につながります。


農地と古民家の相続におけるよくあるお悩み

農地や古民家の相続には、それぞれ特有の確認事項があります。権利関係、管理、売却条件を物件ごとに整理しましょう。

相続した農地の売買に関する疑問

相続した農地では、「売却できるか」「農業をしない相続人でも所有できるか」「誰に売れるか」といった疑問が生じます。相続による取得自体に第3条許可は不要ですが、農業委員会への届出と相続登記が必要です。その後の売却は、買主が耕作するか転用するかで手続きが変わります。

相続農地を第三者へ売却する場合、売買による所有権移転登記を行うため、相続登記を先に整えることが基本です。ただし、相続人全員の共有登記が必須ではありません。遺言、遺産分割、法定相続などで取得者や持分が異なり、必要な同意や書類も変わるため個別に確認しましょう。

耕作目的で農地を買う人には農地法第3条の許可要件があります。2023年4月に下限面積要件は廃止されましたが、農地を効率的に利用すること、個人は必要な農作業に常時従事すること、周辺農地の利用に支障を生じさせないことなどは引き続き確認されます。

売却価格は、農地の取引事例、地形、面積、接道、用排水、耕作状況、農地区分などを確認して検討します。農業委員会は許可や農地制度を確認する窓口で、個別の売却価格を決める機関ではありません。不動産会社の査定や公的な土地価格情報なども参考にしましょう。

農地の利用状況、農振農用地、地域計画、市街化区域か市街化調整区域かなどは取引条件に関係します。買主に将来の利用可能性を説明するときは、「住宅を建てられる」「転用できる」と未確認で断定せず、富士宮市の農業委員会や関係部署への確認結果を踏まえて説明しましょう。

相続農地の売却では、相続登記、農業委員会への相続届出、買主の利用目的に応じた農地法の許可や届出を順番に整理します。農振法や都市計画法が関係する場合もあるため、農業委員会、関係部署、司法書士などへ確認しながら進めることが重要です。

古民家を相続する際の落とし穴

古民家を相続した場合は、相続税評価と売却査定、修繕費を分けて考えることが重要です。固定資産税上の評価が低くても土地に市場価値がある場合があり、売却時には雨漏り、耐震性、設備、接道などが価格に影響します。「古民家だから特別な価値がある」と決めつけず個別に確認しましょう。相続税上の評価、固定資産税評価、実際の売却価格はそれぞれ目的と算定方法が異なります。同じ「評価額」として混同しないことが重要です。

相続後は固定資産税、保険、草刈り、清掃、換気、屋根や外壁の点検など、保有中の費用を確認しましょう。古い建物で修繕費が大きくなる場合はありますが、すべての古民家で高額になるとは限りません。建物状態と保有期間を踏まえて資金計画を立てることが重要です。

古民家を相続したときは土地と建物にかかる法令を確認します。富士宮市には市街化区域、市街化調整区域、都市計画区域外があり、市街化調整区域では建築や用途変更が制限されます。農地が付属する場合は農地法、登録文化財等なら文化財関係の手続きが関係することもあります。

複数の相続人がいる場合は、誰が建物や土地を取得するか、共有するか、売却するかを整理しましょう。遺産分割協議で分け方を決める場合は相続人全員の合意が必要ですが、遺言がある場合などは手続きが異なります。共有後の売却や管理まで見据えて検討することが大切です。

古民家の相続では、相続登記、建物の登記状況、維持管理、接道、都市計画、修繕費などを確認します。農地付き住宅なら住宅部分と農地部分で手続きが異なる点にも注意が必要です。現況売却、修繕、賃貸などを比較し、必要に応じて各分野の専門家へ確認しましょう。

農地法改正と影響:何が変わったのか?

農地制度は近年も改正されています。改正内容を「転用規制の緩和」と一括りにせず、取得要件の見直しと農地確保の強化を分けて理解しましょう。

最新の農地法改正のポイント

近年の制度改正で重要なのは、農地転用規制が一律に緩和されたことではありません。2024年に成立した農振法等の改正では、農地の確保や転用後の確実な事業実施を図る措置などが整備されました。富士宮市でも、地域計画内の農地は転用申請前に計画変更が必要な場合があります。改正後は、許可を受けた転用事業を確実に実施させるための条件や報告に関する仕組みも整備されており、単純な規制緩和とは逆の面があります。

農地取得では、2023年4月に農地法第3条許可の下限面積要件が廃止されました。一方、農地を効率的に利用すること、個人は必要な農作業に常時従事すること、周辺農地の利用に支障を生じさせないことなどの要件は残っています。投資目的で自由に取得できる制度ではありません。法人が農地を所有する場合には農地所有適格法人の要件など別のルールがあります。個人と法人では確認すべき条件が異なる点にも注意が必要です。

農地の利用調整では、地域計画や農地バンクを活用する仕組みも進められています。2025年4月から農地バンクを経由する貸借の仕組みが中心になりましたが、農地法第3条許可による売買や貸借も引き続き利用できます。公開情報だけで取引の可否や価格が決まるわけではありません。

近年の制度では、新規参入の一部要件が見直される一方、農地の総量確保や適正利用を重視する措置も強化されています。改正を単なる規制緩和と捉えず、売買、貸借、転用の時点で有効な農地法、農振法、地域計画を確認することが重要です。富士宮市でも制度改正に合わせて地域計画や転用手続きの案内が更新されているため、古い解説だけで判断しないことが大切です。

改正がもたらす具体的な影響

制度改正によって農地転用が全般的に容易になったとはいえません。むしろ優良農地を確保する観点から農振法等の措置が強化され、地域計画との整合も重要になっています。観光農業や体験事業でも、施設や駐車場の整備では転用手続きが必要になる可能性があります。富士宮市では、地域計画内の農地について農地転用許可申請前に地域計画の変更手続きが必要な場合があり、市はその手続きに概ね2か月を要すると案内しています。

一方、2023年の下限面積要件廃止により、小規模な農地から新規就農を考える人にとって面積だけを理由に第3条許可を受けられない仕組みはなくなりました。ただし農業をしない人が自由に所有できる制度ではなく、営農や周辺農地への影響に関する要件は残っています。新規就農者にとって入口が広がった面はありますが、許可審査では実際に農業を続けられる計画かどうかが重要です。取得後の利用まで含めて検討しましょう。

農地情報のデジタル化や地域計画の公表により、農地を調べる手段は増えています。富士宮市でも地域計画や目標地図が公表されています。ただし公開情報は取引の可否や適正価格を保証するものではなく、所有者の意向、農地区分、買主の要件などを個別に確認する必要があります。

これらの制度変更では、農地を確保しつつ適正に利用するための仕組みが整えられています。相続農地の所有者は「改正で売りやすくなった」と考えるのではなく、自分の土地に適用される制度を確認することが重要です。売却、貸借、転用を考える段階で関係機関へ相談しましょう。

市街化調整区域における農地の特性と取引

市街化調整区域の農地は、農地法に加えて都市計画法の開発・建築制限も確認する必要があります。

市街化調整区域と農地利用

市街化調整区域は、都市計画法に基づき市街化を抑制すべき区域です。富士宮市の市街化調整区域では、許可不要のものを除き、建築物の新築、改築、用途変更などに都市計画法上の許可が必要です。農地法の転用許可だけで住宅や店舗を建てられるわけではありません。

市街化調整区域内の農地は、住宅地への転用や建築が制限されるため、転用を前提とする買主が限定されることがあります。一方、耕作目的の取得は農地法第3条の要件を満たす必要があります。農業上の使いやすさも面積、形状、用排水、接道などによって異なります。市街化調整区域という指定だけで農地の品質や農業収益性が決まるわけではありません。現地の営農条件を確認する必要があります。

市街化調整区域内でも必要な農地法手続きは行為によって異なります。耕作目的の売買・貸借は第3条、自己転用は第4条、転用目的の権利移動は第5条が基本です。建築を伴う場合は都市計画法上の開発許可や建築許可が必要になる場合もあります。

市街化調整区域の農地を保有・取得する場合は、農業利用を続けるのか、転用を検討するのかで確認内容が異なります。農業利用では用排水や接道等、転用では農地区分、農振農用地、地域計画、都市計画法上の立地基準などを確認しましょう。


取引を進める際の法的留意点

市街化調整区域の農地を耕作目的で売買する場合は、原則として農地法第3条許可が必要です。転用目的なら第5条が関係し、建物を建てる計画では都市計画法上の許可も確認します。農地法と都市計画法の土地利用規制を分けて確認することが重要です。

売買契約では、農地法や都市計画法の許可など取引に必要な条件を明確にしましょう。「地域の都市計画や条例に従った文言」を必ず契約書に入れるという一律のルールはありません。許可が得られない場合の解除、申請協力、費用負担、引渡し時期などを具体的に定めることが重要です。

耕作目的で農地を取得する買主は、市街化調整区域かどうかにかかわらず農地法第3条の要件を確認します。下限面積要件は廃止されましたが、効率的な利用や農作業への従事などは引き続き確認されます。転用目的なら第5条許可等を確認する必要があります。

これらの条件を確認し、許可の見込みと契約内容を整理してから取引を進めることが重要です。農地法、農振法、地域計画、都市計画法などが同時に関係する場合もあります。不動産会社だけで判断せず、農業委員会や関係部署、専門家と確認しましょう。

購入希望者からのよくある相談:どう答えるべきか

農地や古民家の購入希望者から想定される相談をもとに、取得条件や修繕、利用方法の確認ポイントを整理します。

農地購入希望者の悩み相談

農地を購入したい方には、「どのような農地なら取得できるか」「どこで探せるか」という疑問があります。耕作目的なら農地法第3条の許可要件を確認し、物件探しでは不動産会社、農地バンク、eMAFF農地ナビなどを参考にできます。農業委員会が必ず物件を紹介するわけではありません。富士宮市では農地台帳の閲覧や記録事項要約書の交付制度もありますが、所有者の売却意思や取得許可まで確認できるものではありません。

購入条件は、面積だけでなく栽培する作物、用水、農機具の出入り、接道、傾斜、土質、周辺の営農状況などを整理しましょう。住宅と農地を一緒に購入する場合でも、農地部分には農地法上の許可が必要です。許可の見込みを確認して契約や決済時期を調整することが重要です。

農地価格は一般の宅地と同じように周辺地価だけで判断できません。耕作条件、農地区分、転用可能性、買主の範囲、接道や用排水などで市場性が変わります。不動産会社の査定や取引事例等を参考にし、利用目的と許可条件を踏まえて判断しましょう。

古民家購入者の不安に応える

古民家の購入では、購入価格だけでなく、修繕、耐震、給排水、電気設備、屋根、雨漏り、シロアリなどを確認しましょう。築年数が古いから必ず修繕費が高額になるわけではありません。また、接道や市街化調整区域などの指定で建替えや用途変更が制限される場合があります。

購入前の建物調査は有効ですが、調査をすれば将来の修繕費を完全に予測できるわけではありません。調査には範囲や方法の限界があります。修繕履歴や不具合を確認し、改修予定があれば建築士や施工業者に概算費用を相談し、購入価格と改修費の総額で判断しましょう。

購入後の利用方法も事前に整理しましょう。自宅、賃貸、店舗、宿泊施設など用途によって必要な設備や許認可は異なります。市街化調整区域では用途変更や建築に許可が必要な場合があり、農地付きなら農地法も関係します。希望する利用が法的に可能か先に確認しましょう。

不動産相続と売買の成功事例から学ぶポイント

ここでは、農地や古民家を相続した場合に起こりやすい状況をもとに、手続きを進める際の考え方を想定事例として整理します。個別の案件では関係機関や専門家への確認が必要です。


円滑に進んだ相続手続きのケース

農地と古民家を所有していた親が亡くなり、複数の相続人がいる場合を考えます。相続開始後に戸籍、遺言、登記事項、固定資産税資料を確認し、誰が不動産を取得するか整理します。農地は農業委員会への相続届出、土地建物は相続登記を進め、売却時は農地法の許可を確認します。必要に応じて司法書士や不動産会社等へ相談することがポイントです。相続人間で意見がまとまらない場合は、無理に売却を進めず、遺産分割の方法を先に整理します。農地と宅地・建物ではその後の処分条件が異なるため、各筆ごとに確認することが大切です。

古民家売買における成功例

古民家を相続した家族が売却する際には、まず大規模な改修をせず建物状態と土地条件を調べ、現況査定を受けます。雨漏り、設備、接道、未登記部分などを整理し、修繕後と現状のまま売る場合を比較します。把握している状態を買主へ説明し、契約不適合責任も契約書で確認します。改修や広告で希望価格が保証されるわけではないため、工事費と市場性を比較して販売方法を選びます。売却前に費用をかける場合は、その工事が安全確保のために必要なのか、販売促進のためなのかも分けて考えます。買主が自分で改修したいケースもあるため、現況を正確に示すことが基本です。

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