相続税はいくらからかかる?税金対策と体験談を徹底解説

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相続税は、相続や遺贈によって財産を取得したすべての人に必ずかかる税金ではありません。相続税がかかるかどうかを判断する基本となるのが、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する基礎控除額です。正味の遺産額がこの基礎控除額を超える場合には、原則として相続税の申告・納税を検討する必要があります。


ただし、相続税は「基礎控除を超えた部分にそのまま税率を掛ける」という単純な計算ではありません。また、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、生命保険金の非課税枠、生前贈与の加算など、実際の税額に影響する制度が複数あります。


この記事では、「相続税はいくらからかかるのか」という基本から、税率、財産評価、生前贈与、生命保険、申告期限、不動産を相続した場合の注意点まで分かりやすく解説します。実在を確認できない体験談は使用せず、一般的に考えられる想定ケースとして紹介します。


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相続税の基礎知識:最初の一歩

相続税について考える際は、まず「自分の家族の場合、基礎控除はいくらか」「相続財産には何が含まれるか」を把握することが重要です。

相続税の基礎控除額を知る

相続税の基礎控除額は、次の計算式で求めます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数


例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

となります。


正味の遺産額が4,800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。

ここでいう「正味の遺産額」は、単純に預金や不動産の合計だけを見るものではありません。相続財産等から非課税財産、一定の債務、葬式費用などを差し引き、必要に応じて相続時精算課税の適用財産や加算対象となる生前贈与財産を加えて計算します。


また、基礎控除額の計算に用いるのは「法定相続人の数」です。相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算上は、その放棄がなかったものとして法定相続人の数を数えます。


養子がいる場合は、基礎控除の計算に含めることができる養子の人数に制限があります。被相続人に実子がいる場合は原則1人まで、実子がいない場合は原則2人までです。


そのため、「相続人を増やせば簡単に基礎控除を増やせる」という考え方は適切ではありません。

まず家族関係を確認し、法定相続人が誰になるのかを整理することが相続税計算の出発点です。


また、相続税がかからない場合でも、不動産を相続した場合には相続登記など別の手続きが必要になることがあります。相続税と不動産登記は別の制度として整理しましょう。

相続税の計算方法と主な税額軽減

相続税は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残額へ、そのまま税率を掛けて計算するわけではありません。

まず、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて「課税遺産総額」を求めます。


次に、その課税遺産総額を各法定相続人が法定相続分どおり取得したものと仮定し、それぞれの取得金額に税率を当てはめます。その税額を合計したものが「相続税の総額」です。


その後、実際に各人が取得した財産の割合に応じて相続税の総額を分け、配偶者の税額軽減など各種の税額控除を適用して、各人の納付税額を計算します。

代表的な制度が「配偶者の税額軽減」です。


配偶者が遺産分割や遺贈によって実際に取得した正味の遺産額が、

1億6,000万円
または
配偶者の法定相続分相当額

のいずれか多い金額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。


ただし、この制度を適用して納付税額がゼロになる場合でも、原則として相続税の申告書を提出する必要があります。

また、相続人が18歳未満の場合には「未成年者控除」があります。控除額は、18歳になるまでの年数1年につき10万円です。


例えば相続開始時に15歳9か月の場合、18歳までの年数は3年として計算し、30万円が控除額となります。

障害者控除は、一定の要件を満たす障害者である相続人について、85歳に達するまでの年数1年につき10万円、特別障害者の場合は1年につき20万円で計算します。


相続税には複数の特例や控除があるため、基礎控除を超えたからといって「遺産額だけで税額が決まる」わけではありません。

相続税が発生する金額の目安

相続税がかかるかどうかは正味の遺産額と基礎控除額によって判断しますが、実際の税額は法定相続人の構成や財産の分け方でも変わります。

基礎控除額を超えた場合の税率

相続税の税率は10%から55%までの8段階です。

ただし、次の速算表を「遺産総額そのもの」に直接当てはめるわけではありません。課税遺産総額を法定相続分で分けたと仮定した各法定相続人の取得金額に対して適用します。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%なし
1,000万円超3,000万円以下15%50万円
3,000万円超5,000万円以下20%200万円
5,000万円超1億円以下30%700万円
1億円超2億円以下40%1,700万円
2億円超3億円以下45%2,700万円
3億円超6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円


例えば「遺産が1億円だから1億円に30%を掛ける」という計算ではありません。

まず基礎控除を差し引き、法定相続分で仮に分けたうえで各人の税率を適用し、相続税の総額を求めます。


さらに、実際に取得した財産の割合に応じて各人の税額を計算し、配偶者の税額軽減などを差し引きます。

そのため、同じ1億円の財産でも、法定相続人が配偶者と子ども1人なのか、子ども3人なのかによって税額が変わることがあります。


相続税を確認するときは、「遺産総額」と「法定相続人の数」をセットで確認しましょう。

また、財産を取得する人の続柄によっては「相続税額の2割加算」が関係します。


被相続人の配偶者と一親等の血族以外の人が相続・遺贈等で財産を取得した場合、原則として、その人の相続税額に20%相当額が加算されます。

例えば、兄弟姉妹、おい・めいなどが財産を取得する場合は対象となることがあります。


孫についても注意が必要です。孫を養子にしている場合でも、被相続人の子が存命で、その孫が代襲相続人ではないときは、原則として2割加算の対象です。一方、被相続人の子が先に亡くなっているなどの理由で孫が代襲相続人となった場合は、2割加算の対象外となります。


「孫に財産を渡せば相続税を一世代飛ばせるから必ず有利」と単純に判断せず、贈与税や2割加算、将来の財産承継まで含めて検討する必要があります。

財産別の相続税対象額の確認

相続財産には、現金・預金、不動産、株式、生命保険金などさまざまな種類があります。

それぞれ評価方法が違うため、「不動産の売却価格と預金残高を単純に足す」だけでは相続税評価額を正しく確認できない場合があります。


土地

路線価が設定されている地域では、原則として路線価方式で評価します。

路線価方式では、道路ごとに付された1平方メートル当たりの路線価を基礎に、土地の奥行き、形状、道路との接し方などを考慮して評価します。

路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を掛ける「倍率方式」で評価するのが基本です。

そのため、地方の土地では路線価がないこともあります。


建物

一般的な家屋は、原則として固定資産税評価額を基に相続税評価を行います。


預貯金

原則として相続開始時点の残高等を確認します。定期預金などでは、相続開始時までの既経過利息を含めて評価する場合があります。


上場株式

相続開始日の終値だけで決めるとは限りません。原則として、相続開始日の終値、相続開始月の毎日の終値の平均、前月の平均、前々月の平均のうち最も低い価額により評価します。


非上場株式

会社の規模、株主区分、純資産、利益、配当などによって評価方法が異なり、計算が複雑になることがあります。


財産の種類によって評価方法が異なるため、不動産や非上場株式などが多い相続では、早めに税理士へ相談すると整理しやすくなります。

相続税がかかるかどうかを概算するときは、固定資産税の納税通知書だけで判断しないことも大切です。


例えば、土地について固定資産税評価額が記載されていても、相続税では路線価方式または倍率方式で評価するため、同じ金額になるとは限りません。

一方、建物については固定資産税評価額を基礎にするのが原則です。

そのため、「固定資産税評価額を全部足したら基礎控除以下だったから相続税は絶対にかからない」と判断すると、土地の評価方法や他の財産の見落としによって結果が変わる可能性があります。


預金、有価証券、生命保険、貸付金なども含め、財産全体を確認してから申告の要否を判断しましょう。

税負担を抑えるために確認したい制度

相続税対策は、「税金を払わなくて済む方法」を探すことではありません。現在の財産、家族構成、将来必要な生活資金を確認し、制度の範囲内で適切に準備することが重要です。

生前贈与を活用するときの注意点

暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から110万円の基礎控除を差し引いて贈与税を計算します。

したがって、1年間に受けた贈与の合計額が110万円以下であれば、原則として暦年課税による贈与税はかかりません。

ただし、「毎年110万円を贈与すれば、その金額は必ず相続財産から完全に外れる」と考えるのは正確ではありません。


相続や遺贈によって財産を取得した人が、被相続人から相続開始前の一定期間内に暦年課税による贈与を受けていた場合、その贈与財産の価額を相続税の課税価格へ加算する制度があります。


2024年1月1日以後の贈与から、加算対象期間は従来の3年から7年へ段階的に延長されています。

ただし経過措置があり、2026年12月31日までに相続が開始した場合は相続開始前3年以内、2027年から2030年までに相続が開始した場合は2024年1月1日から相続開始日までの一定期間、2031年以後は原則として相続開始前7年以内が対象になります。


また、相続開始前3年より前の期間に加算される贈与については、一定の場合、その合計額から総額100万円まで加算対象から除かれる仕組みがあります。

そのため、生前贈与は「110万円以下なら相続税にも一切関係しない」という制度ではありません。


さらに、最初から「10年間、毎年100万円を贈与する」といった一つの契約が成立している場合には、毎年独立した贈与とは異なる課税関係になる可能性があります。


生前贈与を行うときは、贈与者自身の老後資金も確保しながら、長期的に計画しましょう。

なお、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度は、2026年3月31日で新規適用が終了しています。


一方、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度は、一定の要件を満たす場合、2026年12月31日までの贈与が対象となっています。適用条件や非課税限度額を確認したうえで利用する必要があります。

生命保険を利用した相続税対策

死亡保険金は、相続対策で利用されることがあります。

ただし、「生命保険金は相続財産ではないので相続税がかからない」という説明は正確ではありません。


被相続人の死亡によって受け取る生命保険金のうち、被相続人が保険料の全部または一部を負担していたものは、相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。


そのうえで、相続人が受け取る死亡保険金には、

500万円×法定相続人の数

という非課税限度額があります。


例えば法定相続人が3人なら、死亡保険金の非課税限度額は1,500万円です。

すべての相続人が受け取った対象となる死亡保険金の合計額が1,500万円以下なら、その範囲は非課税となります。

ただし、相続人以外の人が受け取った死亡保険金には、この非課税制度は適用されません。


生命保険には、死亡後比較的早期に保険金を受け取れる可能性があり、相続税の納税資金や葬儀費用、遺族の生活資金を準備する方法として利用できる場合があります。


一方、必要以上に保険へ加入すれば、保険料負担が大きくなります。

契約者、被保険者、保険料負担者、受取人によって課税関係も異なるため、「生命保険に入れば必ず節税になる」と判断せず、税理士や保険の専門家へ確認しましょう。

相続税にまつわる相談内容と実体験

相続税にまつわるお客様からの相談や、実際に相続を経験した方々の体験談は、これから対策を考える人にとって貴重な情報です。ここでは、実際のケースを元に、どのように相続税問題を解決したのかを紹介します。

不動産が多い相続で確認したいこと

父が亡くなり、配偶者と子ども2人が相続人となったケースです。

相続財産には、自宅、預金、山林、賃貸していない土地などがあり、相続税評価額の合計が基礎控除額を超えているとします。


この場合、「相続税がかかるから自宅をすぐ売却する」と判断する前に、まず財産ごとの相続税評価額を確認します。

自宅の土地については、一定の要件を満たす場合に「小規模宅地等の特例」を利用できる可能性があります。


また、配偶者が財産を取得する場合には、配偶者の税額軽減が利用できる場合があります。


一方で、特例によって相続税額が下がっても、相続した不動産の維持費や固定資産税がなくなるわけではありません。

誰も住まない実家、利用予定のない山林、管理できない農地などがある場合は、相続税の計算と並行して「相続後にどう管理するか」まで考えることが重要です。


また、不動産の評価額が大きく、現預金が少ない場合には、相続税を支払うための現金が不足する可能性があります。

そのため、不動産が多い家庭では、税額だけでなく納税資金の準備も確認しておきましょう。


株式会社Wakkaでは、相続不動産について、相続税そのものの申告は税理士へつなぎながら、不動産会社として査定、売却、空き家管理、未登記建物、農地付き住宅などの問題整理に対応しています。


南部町との空き家対策に関する協定においても、相続後に実家が空き家となる場合、行政制度と不動産実務の役割を分けながら、管理・売却・活用につなげることが重要だと考えています。


生前対策を検討する場合の注意点

親が高齢になり、「将来相続税がかかるかもしれないので、今のうちに子どもへ財産を移したい」と考えるケースがあります。

この場合、生前贈与だけを先に始めるのではなく、まず現在の財産を整理します。


不動産、預金、有価証券、生命保険、借入金などを一覧にし、相続税評価額のおおよその総額と法定相続人を確認します。

そのうえで、

  • 相続税が発生する可能性

  • 親自身の生活費・医療費

  • 将来介護が必要になった場合の費用

  • 誰がどの財産を必要としているか

  • 不動産を誰が相続するか

を考えます。


例えば、税金だけを減らす目的で現金を贈与し続けた結果、親自身の老後資金が不足してしまっては本末転倒です。

また、不動産を共有名義で複数人へ贈与すると、将来売却するときに共有者全員の意思調整が必要になるなど、別の問題が生じることがあります。

相続対策は「税額を最小にすること」だけが目的ではありません。


誰が不動産を管理するのか、家族が円満に財産を引き継げるか、納税資金を準備できるかまで考えて進めることが重要です。

相続税の申告と申告期限

相続税が必要となる場合は、決められた期限までに申告と納付を行います。遺産分割が終わっていない場合でも、期限そのものが延びるわけではありません。

相続税の申告方法を徹底解説

相続税の申告・納付期限は、

被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内

です。


通常は死亡日の翌日から10か月以内と考えます。


例えば、1月10日に死亡したことをその日に知った場合、原則として申告期限はその年の11月10日です。

申告先は、原則として被相続人が死亡した時の住所地を所轄する税務署です。相続人それぞれの住所地の税務署へ申告するわけではありません。

必要書類は相続の内容や利用する特例によって異なります。


一般的には、

  • 相続人関係を確認する戸籍等

  • 遺言書や遺産分割協議書

  • 不動産に関する資料

  • 預貯金・有価証券に関する資料

  • 生命保険金に関する資料

  • 債務・葬式費用に関する資料

  • 特例適用に必要な書類

などを確認します。


申告書は書面で提出する方法のほか、対応する手続についてe-Taxを利用できる場合があります。

重要なのは、相続税は申告納税方式の税金であり、申告後に税務署から「納付通知書が届くまで待つ」という流れではないことです。

原則として、納税者自身が税額を計算し、申告期限までに申告と納付を行います。


金銭で一括納付することが原則ですが、一定の要件を満たし、期限までに申請・許可を受けた場合には延納制度があり、さらに延納でも金銭納付が困難な場合など一定の要件の下で物納制度があります。


自由に分割払いを選べる制度ではないため、納税資金は早めに確認しましょう。

なお、相続税の基礎控除以下で、相続税の申告自体が不要な場合には、通常は申告書を提出する必要はありません。


一方、正味の遺産額が基礎控除を超えているものの、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使った結果、納付税額がゼロになる場合は、特例適用のために相続税申告が必要になることがあります。

「税金が0円になりそうだから申告もしなくてよい」とは限らない点に注意しましょう。


申告の要否が微妙な場合は、国税庁の相続税の申告要否判定コーナーを参考にする方法もありますが、不動産の評価や特例適用に判断が必要な場合は税理士へ確認する方が確実です。

申告期限を守るためのスケジュール管理

相続税の10か月という期限は、長いように見えて、実際には戸籍収集、不動産評価、預貯金の調査、遺産分割などを進めていると短く感じることがあります。

まず相続開始後の早い段階で、

誰が相続人か
何が相続財産か
借金などの債務があるか

を確認します。


相続開始から3か月以内には、相続放棄や限定承認を検討する必要がある場合もあります。

その後、財産評価、遺産分割協議、相続税計算を進め、10か月以内の申告・納付を目指します。

遺産分割協議が10か月以内にまとまらない場合でも、相続税の申告期限は原則として延長されません。


未分割の状態で法定相続分等を基に申告し、後日分割が成立した場合に修正申告や更正の請求等を行うことがあります。


また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、原則として申告期限までに分割されている財産を対象とする制度ですが、「申告期限後3年以内の分割見込書」など必要な手続きを行い、その後一定期間内に分割すれば適用できる場合があります。


「遺産分割が終わらないから相続税申告もしなくてよい」と考えないことが重要です。


不動産が多い場合は評価や売却の検討に時間がかかることがあるため、早めに税理士と不動産会社の両方へ相談すると手続きを並行して進めやすくなります。

また、相続税の納税資金を確保するために相続不動産の売却を検討する場合は、売却に要する期間にも注意が必要です。


不動産は預金のようにすぐ現金化できるとは限りません。相続登記、残置物、境界、未登記建物、農地法上の手続きなどに時間がかかる物件では、売却開始から決済まで数か月以上を要する場合があります。


そのため、「相続税の納付期限直前に不動産を売ればよい」と考えず、納税資金が不足する可能性を把握した段階で早めに査定・調査を進めることが重要です。

特に空き家や農地付き住宅など、一般的な住宅より確認事項が多い不動産は、税理士による税額試算と不動産会社による売却可能性の確認を並行して行うと、現実的な資金計画を立てやすくなります。

相続税の影響を受けやすい財産

相続税は財産の種類ごとに評価方法が異なります。特に不動産は市場価格と相続税評価額が同じとは限らないため注意が必要です。

不動産と相続税:評価額の重要性

土地は原則として、路線価方式または倍率方式で相続税評価額を計算します。

路線価地域では、路線価を基礎に奥行きや土地形状などを考慮して評価します。

倍率地域では、固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を掛けて評価します。

建物は、原則として固定資産税評価額によって評価します。


したがって、

売却査定額
固定資産税評価額
相続税評価額

は、それぞれ異なる金額になることがあります。


例えば、不動産会社が「1,000万円程度で売却できる」と査定した土地が、そのまま相続税でも1,000万円として評価されるとは限りません。

また、宅地については、その利用状況、形状、貸付状況などによって評価方法が変わることがあります。


被相続人の自宅敷地や事業用地、貸付事業用地について一定の要件を満たす場合には、小規模宅地等の特例によって課税価格へ算入する土地の価額を減額できる可能性があります。


代表的には、特定居住用宅地等について一定の要件を満たせば、330平方メートルまで80%減額できる制度があります。

ただし、誰が取得するか、被相続人と同居していたか、申告期限まで保有・居住する必要があるかなど、適用要件はケースによって異なります。


「自宅なら必ず80%減額できる」と考えず、税理士へ確認しましょう。


預金や金融資産の相続税対策

預貯金は、不動産に比べると金額を把握しやすい財産です。

しかし、家族が知らない口座、定期預金、証券口座などがあると、財産調査に時間がかかる場合があります。


相続前から金融機関、口座、証券会社、生命保険などを一覧にしておけば、相続人が財産を確認しやすくなります。


生前贈与によって預金を移す方法もありますが、前述したとおり、暦年課税の110万円の基礎控除だけを見て判断するのは適切ではありません。

相続開始前の一定期間内の贈与は相続税の課税価格へ加算される場合があります。


また、贈与したつもりでも、預金通帳や印鑑を贈与者本人が管理し、受贈者が自由に使えない状態では、実質的な贈与が成立していたか問題になる可能性があります。


贈与を行う場合は、贈与する側と受ける側の意思を明確にし、記録を残しておくことも重要です。


株式など金融資産についても、相続時の評価方法と売却時の価格は同じとは限りません。

「相続税を下げるために金融資産を別の財産へ変更する」といった対策は、その後の価格変動や換金性も含めて検討しましょう。

相続税に備えるための準備

相続税対策は、相続が発生する直前に行えばよいものではありません。財産と家族関係を整理し、税金・登記・不動産の管理を分けて準備することが重要です。

早めの相続準備が肝心

最初に行いたいのは「財産一覧」の作成です。


例えば、

  • 自宅

  • 土地

  • 空き家

  • 農地・山林

  • 預貯金

  • 株式・投資信託

  • 生命保険

  • 貸付金

  • 借入金

などを整理します。


不動産については、固定資産税の納税通知書だけでなく、登記事項証明書で名義を確認することも重要です。


「父の財産だと思っていた土地が祖父名義のままだった」「母屋は登記されているが納屋が未登記だった」というケースでは、相続税とは別に登記手続きの整理が必要になる場合があります。


また、現在使っていない実家がある場合は、

残す
売却する
賃貸する
管理する
解体する

といった選択肢を比較します。


相続税がかからない家庭でも、空き家の管理費、固定資産税、草刈り、建物劣化などの負担は発生します。


株式会社Wakkaでは、南部町との空き家対策に関する協定も踏まえ、相続した実家について、行政制度を代行するのではなく、不動産会社として売却・管理・活用に進む前の問題整理を重視しています。


相続登記は司法書士、未登記建物・境界等は土地家屋調査士、税務は税理士、法律紛争は弁護士というように、必要な専門家を分けて進めることが大切です。

遺産分割協議とその重要性

遺言書ですべての財産の取得者が明確になっている場合などを除き、複数の相続人で財産を分ける場合には遺産分割協議が必要になることがあります。

遺産分割では、相続税だけでなく、その後の管理・売却も考えることが重要です。


例えば実家を兄弟3人の共有名義にすれば、公平に見える場合があります。

しかし、将来その不動産全体を売却するときは原則として共有者全員の意思確認が必要となるため、「誰が管理するのか」「誰かが住むのか」「売る可能性があるのか」まで考えたうえで分割することが重要です。


遺産分割協議が成立した場合は、その合意内容を遺産分割協議書として書面化し、不動産の相続登記や金融機関の手続き等に使用することがあります。

相続人間で意見が対立している場合、不動産会社や税理士が法律紛争の代理交渉を行うことはできません。


争いが生じている場合は弁護士へ相談することが必要です。


一方、争いになる前の段階で財産内容を整理し、不動産の価格や管理費を把握しておくことは、家族で話し合う材料になります。

不動産会社による査定は、「この不動産を誰が相続するか」を決める際の参考情報の一つとして利用できます。

相続税対策の専門家に相談するメリット

相続税には税理士、不動産には不動産会社、登記には司法書士など、それぞれ専門分野があります。一人の専門家ですべてを完結させようとせず、必要な分野を連携させることが重要です。

税理士の役割と相続税対策

税理士は、相続税の相談、財産評価、相続税申告など税務を専門とします。

特に、

  • 不動産が複数ある

  • 非上場株式がある

  • 生前贈与が多数ある

  • 小規模宅地等の特例を検討したい

  • 配偶者の税額軽減を利用したい

  • 相続税の納税資金が心配

といった場合には、早めに相談すると整理しやすくなります。


税理士へ相談するメリットは、単に「税金を減らすこと」ではありません。

正しい財産評価と申告を行い、利用できる特例を確認し、将来の二次相続まで含めて財産の分け方を検討できることも重要です。

例えば、一次相続で配偶者の税額軽減を最大限利用すれば、その時点の税額を大きく抑えられる場合があります。


しかし、その後配偶者が亡くなった二次相続まで考えると、子どもが負担する相続税が増える可能性があります。


「今回の相続税が最も安くなる分け方」と「家族全体で長期的に適した分け方」が同じとは限りません。


相続税対策を考えるときは、「今回の相続だけ」で判断しないことも大切です。

例えば、父が亡くなり、母と子が相続人となる一次相続では、配偶者の税額軽減を使うことで母の相続税を大きく抑えられる場合があります。しかし、その後母が亡くなった二次相続では、配偶者の税額軽減を使える配偶者がいなくなり、法定相続人の数も減ることがあります。


その結果、一次相続で母へ多くの財産を集めた方が家族全体の相続税負担として有利とは限りません。


税額だけでなく、母の生活資金、誰が実家を利用するのか、管理や売却を誰が行うのかまで含めて財産の分け方を考えることが重要です。

具体的な税務判断は税理士へ相談しましょう。

不動産と相続を専門家と連携して整理する

相続財産に不動産が含まれる場合は、税理士だけでなく複数の専門家が関係することがあります。


不動産会社

不動産査定、売却、媒介、空き家管理・活用などの相談。


司法書士

相続登記、所有権移転、抵当権抹消などの権利登記。


土地家屋調査士

建物表題登記、滅失登記、土地分筆、地積更正、境界・測量など。


税理士

相続税、贈与税、譲渡所得税等の税務相談・申告。


弁護士

相続争い、共有者間の紛争、交渉、調停・訴訟など。


相続税がかかるかどうかを確認すると同時に、「この不動産を誰が相続するのか」「売却するのか」「空き家として残すのか」まで整理すると、その後の手続きを進めやすくなります。


株式会社Wakkaでは、相続税の申告を自社で行うのではなく、必要に応じて税理士等の専門家と連携し、不動産会社として相続不動産の査定・売却・活用の部分を整理します。


南部町との空き家対策に関する協定を通じ、相続後に空き家となった住宅についても、相続登記未了、未登記建物、残置物、農地、境界など、不動産の流通を妨げる問題を整理して次の利用につなげることを重視しています。

相続税は、「遺産がいくらあるか」だけで判断することはできません。


まず、

財産の総額
+ 法定相続人
+ 財産の評価方法
+ 利用できる特例・控除
+ 生前贈与
+ 財産の分け方

を確認することが大切です。


そして、不動産が含まれる場合は、税金だけでなく登記や管理、将来の売却まで考えて準備しましょう。


早めに財産を整理し、それぞれの専門家の役割を正しく使い分けることが、円滑な相続につながります。特に不動産は名義・利用状況・売却可能性を早めに確認しておくと、その後の税務・登記・管理の判断を進めやすくなります。

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